6話 6回目
6回目
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《オォ!シトヨ! シンデシマウトハ、ナサケナイ!コレカラモワレヲタノシマセヨ》
若干聞き取りにくい声が聞こえてきた。
邪神だ。
1歳からのリスタートが始まった。さすがに自害からのやり直しだと質問や受け答えをさせてくれないのだろう。まぁいい。それよりも両親だ。
目の前にいて俺を見ている元気な父親と笑顔が満開な母親を見て、つい先程まで聞こえてた慟哭を思い出してしまい、思わず泣いてしまった。
自害からだとやり直しが出来ずに、元に戻せない可能性だってあったのだから。
だから泣いた。聞きたかった母親の笑い声が聞けて、こんなにも嬉しいことはない。しばらくは甘えられるだけ甘えよう。甘えん坊と何度も言われようが構わない。
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5歳になって隣村に行き、6歳で隣町に行く事に成功した。今回も時系列にズレがなくて良かった。
ギルドマスターにも会いたい。あと、サブマスターの事を確認しないと
隣町に着き宿屋で1泊した翌日、宿屋で留守番をするように言われたが、頑なに付いて行くと言い、無理矢理父親に付いて行動をした。
冒険者ギルドに着いて
「よう、英雄。冒険者復活か?」
なんて父親が何人からか声をかけられていた。
ふと、目があったおっちゃんから
「このチビッコは英雄の息子か?」
なんて言われながら頭をガシガシと撫でられた。
「そうだよ。なかなか賢いんだよ。うちの自慢の息子だよ」
なんて顔が赤くなるような事を父親が自慢気に話をしている。親バカな父親には、やはり慣れない。
「それよりも、用事を済まさなきゃ」
照れ隠しなのがバレバレなのか周りがニヤニヤしている。
「おう、そうだな。こっちだ。付いてこい」
ってギルドの奥に行くので付いてった。奥の部屋に入ってから
「よぅギルドマスター。報告に来てやったぞ」
「スマンな。わざわざ英雄に来てもらって」
「なあに。いいって。息子とここまで旅が出来て楽しめてるからよ」
「そうか。ほう。その子が英雄の子供か。将来が楽しみだな」
二人で盛り上がってる。あぁギルドマスターだ。ぼんやりとした記憶になってしまったけれど、家まで来てくれたギルドマスターだよ。しばらく感傷にひたっていると
「なにやら盗賊団を潰したとかって報告がきてたから詳細を聞きたくて来てもらったんだ」
「おう、俺の村の近くにちょっと大きくなりかけてた盗賊団がいたから、下手に影響が大きくなる前に潰したんだよ。どれだけいたかまでは数えてないけどな。それに何人かには逃げられたしな。」
「そのどれだけいたかとか、逃げられた人数を知りたかったんだがな。しょうがないか。分かった。調査員を派遣させるとするよ」
話が進んでた。ゴブリンの事を話すのは、この辺りだったかな?サブマスターの事はどうしよう。
「あの、この町の近くにゴブリンの巣ってあったりしますか?」
「お?おう唐突だな?ゴブリンの巣なら確かにあるな。安易に少人数で刺激するとあまり良くないから、安全策として包囲戦をするために大規模なレイドを組んでからって計画中なんだが」
「そのゴブリンの巣を計画よりも先に刺激する人達がいるかもしれないんです。できれば早く調査をお願いしたいんです。」
「マジか?どこからの情報だ?なんで子供のお前が知ってる?おい、英雄。どういう事だ?」
「俺も知らん。だが、村の近くにいる盗賊団の事は息子から聞いて気付いた。なあ、あの時と同じ感じか?」
「うん。同じ感じ。群れになって出てくるかもしれないんだ」
「もしかしたら、こいつには神からの祝福があるのかもしれないな」
邪神からの祝福かー。なんかやだなー。
毎回1歳からのリスタートなんてのは呪いだよ。呪い。
「神からの祝福か…よし、すぐに調査に向かわせる。場合によっては緊急討伐隊を組まなきゃだな。英雄の息子だ。俺達にも分からないなにかがあるんだろ。英雄、お前にも出てもらうぞ」
慌ただしくギルドマスターが出ていった。
「じゃ、俺も行ってくる。お前はこのままここに居ろ。ここが一番安全だからな」
「早く帰ってきてよ?出来れば行かないでほしいんだけど」
「ここで待ってろ。怪我なんてしないで戻ってくるさ。そんで母さんのとこに一緒に帰るぞ」
あ、サブマスターの事を聞けなかった…
どのくらい時間が経っただろうか。というか、このままここにいたら危険だというのを思い出した。あれ?なにやっちまってんだ?俺?
部屋を出ようとしたらドアが開かない。鍵が外からかけられている?部屋の外に出るにはどうしたらいい?ドンドンと叩いても誰も来ない。やっぱりなんかおかしい。
ギルド職員が監視のためかドアの隙間から様子を見に来るたびにこの人がサブマスターか?ってビクビクしてしまう。
神に祈るとかは出来ないし。何に祈ればいいんだ。天照大御神様。この箱庭世界にはいないって。仏様菩薩様。なんか思い出した。こんな同じ事してる場合じゃないのに…時計が欲しい。違う、何か事態を変えないと。落ち着かない。どうしよう…寝ないように何かをしてないといけない…の、に…
《オォ!シトヨ! シンデシマウトハ、ナサケナイ!》
若干聞き取りにくい声が聞こえてきた。
邪神だ。
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死亡歴
5歳…盗賊(街道)
6歳…ゴブリン
6歳…盗賊(村内)
6歳…???
8歳…自殺
6歳…ギルド職員?