4話 4回目
4回目
ーーー
《オォ!シトヨ! シンデシマウトハ、ナサケナイ!》
若干聞き取りにくい声が聞こえてきた。神様だ。
またか。
深夜で寝起きすぐだったからか、思考停止していたからか、特に痛みを覚えていなかったので、割と冷静でいられたから、リスタートしてからずっと疑問に感じていたことを聞いてみることにした。
下手に出ないと、もしかしたら楽しめてないからって理由で、答えてくれないかもしれない。
(神様すみません。一つ質問があるのですが、私が死んだ後って、その後はどうなりますか?)
《ハコニワノセカイハ、ツブシテリセットシテイル。イチカラヤリナオシ。コレカラモワレヲタノシマセヨ》
は?リセットってなんだよ?
ツブシテって世界ごと潰してるのかよ。楽しませよってなんだよ。
分かった。コイツは邪神だ。邪神で確定だ。
俺が、俺達が死ぬのを見て楽しんでやがるんだ。もう死なない。死んでやるものか。絶対の絶対だ。
今のとこ5歳の隣村に行くのと、6歳の隣町でのゴブリンがキーポイントだよな。
強盗やゴブリンより強くなる為の方法を探さないと。しまった。
邪神にステータスとかレベルアップとかの概念があるか聞くんだった。無いかな?無いだろうな。邪神だし。
チートスキルまでは無くてもナビゲーターみたいなのはあってもよくない?今更か。なんか、ないかな?生き残る方法。
1歳の現状出来るのは神頼みくらいか?邪神に祈りを捧げるのもなぁ。邪神の使徒じゃあるまいし。
…使徒?邪神はオォシトヨって言ってなかったか?死なないって決意したばかりだけど、確認したい。普段は邪神と交信みたいなのが出来ないから邪神とやり取りするには死ぬしかない。でもここで自決して死んだら楽しませられなかったとして不必要なデスペナルティーとかありそう。
邪神だし。
ひとまず、5歳の隣村は確定で、6歳の隣町をどうするかだな。
村に来た盗賊達は町で確認すればいいかな。ゴブリンについては、巣を刺激したとかなんとかって聞こえてたな。刺激しない方法を探した方がいいのか、もしろ、一緒に刺激してゴブリンを殲滅した方がいいのか、情報が足りない。
元冒険者の父親に隣町での用事の時にでもどうするかを相談するとしよう。それまで前回までの日常を差異のないようにしないと。何かが原因で時系列とかがズレたら、やり直しの経験が活かせないからな。
ただなぁ。日々の日常がどうだったかなんて細かいとこを思い出せない。
完全には無理だよね。はぁ。セーブポイントが欲しいマジで。切実に。
ーーー
5歳になって隣村に行き、6歳で隣町に行く事に成功した。
時系列にズレがなくて良かった。
父親の用事がなんなのか前回聞いてなかったから、聞いてみたら、なんと村近くの盗賊退治をした件だとか。村を襲う盗賊からの襲撃は心配しなくて良かったみたいだ。
日にちが違うとはいえ、村への襲撃がこのゴブリンのと同時進行だったらどうしようとか気になってたんだよね。同じ6歳時点だったから。
いや、待て。父親が盗賊退治をした?マジか!?そんなに強かったんだ。俺の父親。
隣町に着き宿屋で1泊した翌日、宿屋で留守番を言われたが頑なに付いて行くと言い、無理矢理父親に付いて行動をした。隣町に着いてからは前回と違う事をしないとまた生きたままゴブリンに食われてしまう。そんなのは避けたい。
用事があった行先は冒険者ギルドだった。ホントに冒険者ギルドなんてあったんだ。なんて少し感動してると、
「よう、英雄。冒険者復活か?」
なんて父親が何人からか声をかけられていた。
英雄?誰が?ふと、目があったおっちゃんから
「このチビッコは英雄の息子か?」
なんて言われながら頭をガシガシと撫でられた。
「そうだよ。なかなか賢いんだよ。うちの自慢の息子だよ」
なんて顔が赤くなるような事を父親が自慢気に話をしている。いや、英雄って、なにしてるの!?おれの親父様は!?
「そ、それよりも、よ、用事を済まさなきゃ」
照れ隠しなのがバレバレなんだろう、周りがニヤニヤしている。
「おう、そうだな。こっちだ。付いてこい」
ってギルドの奥に行きそうだったから慌てて付いてった。窓口で報告だけだと思ったんだけど、違ったらしい。奥の部屋に入ってから
「よぅギルドマスター。報告に来てやったぞ」って。
ギルドマスター?そんな偉い人とフランクに話をするの?俺の父親って何者?さっきも英雄って呼ばれてたよね?
驚いたまま父親を見てると
「スマンな。わざわざ英雄に来てもらって」
「なあに。いいって。息子とここまで旅が出来て楽しめてるからよ」
「そうか。ほう。その子が英雄の子供か。将来が楽しみだな」
なんか二人で盛り上がってる。
「ね、ねえ。用事っていうのは?」
さっきから親バカな父親に慣れない…なんかとても恥ずかしい。こんな筈では…
「なにやら盗賊団を潰したとかって報告がきてたから詳細を聞きたくて来てもらったんだ」
「おう、俺の村の近くにちょっと大きくなりかけてた盗賊団がいたから、下手に影響が大きくなる前に潰したんだよ。どれだけいたかまでは数えてないけどな。それに何人かには逃げられたしな。」
「そのどれだけいたかとか、逃げられた人数を知りたかったんだがな。しょうがないか。分かった。調査員を派遣させるとするよ」
ゴブリンの件をどう切り出そうか考えてると、報告が一段落しそうだったからゴブリンの事を話すなら今か?
「あ、あの、この町の近くにゴブリンの巣ってあったりしますか?」
唐突すぎるのは分かってるが、話を聞いてもらうにはなりふり構っていられない。
「お?おう唐突だな?ゴブリンの巣なら確かにあるな。安易に刺激するとあまり良くないから、安全策として包囲戦をするために大規模なレイドを組んでからって計画中なんだが」
「そのゴブリンの巣を計画よりも先に刺激する人達がいるかもしれないんです。できれば早く調査をお願いしたいんです。」
「マジか?どこからの情報だ?なんで子供のお前が知ってる?おい、英雄。どういう事だ?」
「俺も知らん。だが、村の近くにいる盗賊達の事は息子から聞いて気付いた。なあ、あの時と同じ感じか?」
「うん。同じ感じ。群れになって出てくるかもしれないんだ」
ホントは群れが出てくるかも。じゃなくて、大群になって襲われる。なんだが今はいいか。同じだな。
「もしかしたら、こいつには神からの祝福があるのかもしれないな」
は?神の祝福?やめてくれ。邪神からの祝福なんて嫌過ぎる。今も見てるんだろうなー。勘弁してくれ。
「神からの祝福か…よし、すぐに調査に向かわせる。場合によっては緊急討伐隊を組まなきゃだな。英雄の息子だ。俺達にも分からないなにかがあるんだろ。英雄、お前にも出てもらうぞ」
慌ただしくギルドマスターが出ていった。
「じゃ、俺も行ってくる。お前はこのままここに居ろ。ここが一番安全だからな」
「無事に帰ってきてよ?」
「任せとけ。怪我なんてしないで戻ってくるさ。そんで母さんのとこに一緒に帰るぞ」
どのくらい時間が経っただろうか。
ただ何もしないで待っているのが、こんなにも時間の流れが遅く感じるなんて。
神に祈るとかはしたくないし。邪神だし。何に祈ればいいんだよ。天照大御神様。
この箱庭世界にはいないか。仏様菩薩様。同じだ。意味無いな。
ただただ待つしか出来ないのか。どれだけ時間が経ったのかな。時計が欲しい。
ここから外に出るとギルド職員に迷惑がかかるだろうし。素数でも数えるか?素数って何だったけかな?あかんもう忘れちまってるや。
山羊でも数えるか。羊だったかな?駄目だ寝る前に数えるやつじゃないか。なにかやってないと落ち着かない。………
《オォ!シトヨ! シンデシマウトハ、ナサケナイ!》
若干聞き取りにくい声が聞こえてきた。
邪神だ。
ーーーーー
死亡歴
5歳…盗賊(街道)
6歳…ゴブリン
6歳…盗賊(村内)
6歳…???