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星の想い  作者: 景虎
新たな魔法神
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魔法神エミリー

魔王。

魔界の王、悪魔の王、魔法使いの王、圧倒的な力で全てをねじ伏せ恐怖で世界を征服する絶対王。

かつて魔王が地上にいたという。魔王が世界を滅ぼしたのだろうか?

勇者は魔王を倒すことはできなかったのだろうか?


「魔王が世界を滅ぼしたの?勇者は魔王を倒せなかったの?」

世界がこういう終わり方をするのは何か悲しい。回避する方法はなかったのだろうか。

「うん、魔王が世界を滅ぼしたのは間違いない。まあこの時代は勇者システムを採用してなかったから、勇者はいなかったんだよなあ。」

「そうね、それにしてもちょっと人間の力を甘く見ていたのは否めないわよね。やっぱりこういう時のための危機回避のシステムはあった方がいいわよね。」

「あのう、ちょっと話が見えないんですけど。どういうことなの?」

「まあ、詳しい話は追い追いしていくけど、簡単にいうと人間は恐怖から魔王を生み出して、勝手にみんなを巻き込んで世界を滅ぼしちまったんだけど、それを阻止できる方法が世界にあっても良かったんじゃねーかって話さ。」

「そして今度の世界では魔法の神はエミリー、あなただから魔法をどういう形で世界に採用するか私たちと一緒に考えることになったのよ!わたしは魔法少女システム推しなんだけど、ジェシカは勇者システム推しなの。」

「なん・・・だと・・・!」


少し混乱しているから整理してみよう。まず戦争で私たちは自分たちの世界を破壊した。私は自分の願いから九十九神になって守護神になるため大神様に呼ばれた。私たちの前の時代には妖精やエルフがいて魔法使いもいた。その時代の人間は恐怖から魔王を生み出しやっぱり世界を破壊した。今回再生している世界で私は魔法の神として影響を与える立場にいるらしい。サクヤ姫は魔王の生まれる前後に神になったっぽいし、ジェシカはずっと前から神様っぽい。あれ?ジェシカ実はすごい偉い神様なんじゃない?ってこれはちょっと置いといて・・・。なんかおかしい。

「ねえ、ジェシカ。私の前に魔法の神はいたんじゃないの?だって魔法はあったんだから。」

「あー、まあ後でそこいら辺は話すつもりだったけどまあいいか。前の魔法神は神の国から出て行っちまったんだ。」

「えっ、出て行けちゃうの?」

「普通は神の国から大神(ジジイ)の許可なく出ることはできねーんだけど、普通じゃないことが起きたんだ。エミリーが魔石に魂を宿して九十九神になったことさ。」

「あ、そう言えば大神様もなんか普通じゃないみたいなこと言ってたな。どうゆうこと?」

「エミリーの持っていた魔石は前の魔法神の御神体としての役割があったの。だから神と同義の魔石には普通は干渉できない。でもエミリーさんの強い()()が神の力をも凌駕したの!」

「何で御神体の魔石をエミリーが手にすることになったのかは分かんねーけど、御神体を乗っ取られてちまった魔法神は大神との契約が切れた状態、つまり魂がフリーになっちまったんだ。エミリーもジジイに新しい体をもらったろ?これは神の力を宿した御神体があってこそなりたってた契約だったってことさ。だから出て行っちまったんだ。」


うーん、やっぱりよくわからないけど・・・

「つまり・・・御神体を取っちゃったから私が魔法神になったってこと?」

「ま、そういうことだな。急に前任者がいなくなったけど御神体を引き継いだエミリーがいたから後継者として前倒しで魔法神に抜擢されたってわけだ。早く神になる理由はジジイに聞いてるだろ?」

「聞いてる。九十九神が上位の守護神に加護を与えるのはおかしいからだって。」

「そうそれが一番。でも実はエミリーが守護神に選ばれたのにはもう一つ理由があるんだ。」

「そうなの?」

「そう、エミリーさんは時代の最後を生きた人間で最後まで希望を捨てなかったから。最後まで明るい未来を夢見ていたから。」


2人の話から神様になった理由はわかったけど、一体何をしたらいいんだろう。

私は神様だけど魔法使いじゃないし、勇者でもない。人をまとめるような人格者でも国を動かす政治家でもない。

ただの女の子に何ができるのだろうか?

少し考えていると、ジェシカがこう言った。

「エミリーは世界が終わるのはいやだろう?」

「もちろんイヤよ!当たり前じゃない!」

「あたいたちにとって世界はこの星そのものなんだ。」

「?」

「エミリーさん、人間はね進化のスピードが今までいたどの生物より圧倒的に速いの。今までの生物は自然とのバランスが取れていてゆっくり時間をかけて環境に適応してきたの。でも人間は環境すら自分たちの都合に合わせて変えてしまえるほどの力を持っているわ。千年かけてできた環境や文化をたった十年足らずで作り変えたり、破壊すらしまう。そのスピードは他の生物や自然環境はついていけないの。自然と共存出来なければどんなに便利な生活ができたとしてもでも最後には自滅してしまうのよ。」

「正直言って、人間が滅びるのはエミリーには悪りーけど構わねーんだ。今までもこの星の生物は何度も何度も繁栄しては滅んでる。サクヤが言った環境とのバランスが壊れて適応できなくなってな。」

これは知っている。この星の生物は一定の時代で不思議と生態系がガラリと変わって新しい進化を繰り返してきたとマスターが教えてくれた。それは星の変化そのものの影響だと言っていた。

「人間は星の環境変化よりも早く進化しちまって勝手に自滅の道を歩むんだ。今回も危なかったが、次は星ごと破壊しかねねー。」


そうかもしれない。

「・・・でも私はその人間だよ?星を壊しちゃうような危険な存在だよ。人間はいなくなった方がいいの?そんなのイヤだよ・・・。」

そう言ったら悲しくなって、目を伏せてしまった。

「おいおい、エミリー、何言ってんだ?だからエミリーを神にしたんじゃねーか!」

「そうよ!エミリーさんは世界も人間も滅ぶのは嫌でしょう?人間がまた自滅して世界を、この星を破壊しないように見守って、時には力を貸すのがエミリーさんの神としての役割なのよ!」

「ほんとに・・・?私でいいの?」

「あったりめーだろ!」「もちろんよ!」2人は笑顔でそう答えた。


どうやら私の仕事は人間が自然を破壊しすぎて自滅しないように導いていくことらしい。魔法神だから人間が魔法を使えるようにすることもできるのだろうか。魔法はもちろん悪い事には使えないようにしなければいけないけど攻撃魔法は必要だし・・・あ、ジェシカの神撃の防御もできるかな?サクヤ姫に聞いてみよう。色々学ぶことも多そうだし、これから忙しくなりそうだ。


目の前にある美味しい料理とお酒を飲みながらエミリーはこれから始まる新しい世界に胸をときめかせていた。




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