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星の想い  作者: 景虎
新たな魔法神
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戯れ

陽炎(かげろう)の中にサラマンダーがいた。

どうやらサラマンダー自身が発する熱気で辺りの空気が揺らいでいるようだ。


「おい、そこのチビとジジイ!私は強くなった!昔とは違うところを見せてやろう!」

サラマンダーは空に上がると大きな炎を纏った火球をいくつも作り出した。

「行くぞ!」

掛け声と共に火球が降ってきた。


「いきなりですか?」

「相変わらず短気じゃのう。」


シルフとノームは本来の妖精の姿に戻って次々と襲ってくる火球を処理していた。


「準備運動はこれくらいだ!これはどうだ!」

大小様々な大きさの火球が四方から飛んでくる。


「加勢するわ!ライアン行くわよ!」

そう言うや否や、カーラとライアンが飛び出した。

カーラのメイスは降りかかる火球を砕き撃ち返す。

ライアン太刀は冷気を纏い、振るたびに冷気の帯が火球の威力を削いでいく。


「あれは貴女の大剣の舞に似ているわ。」

エミリーがミーナに聞いた。

「ライアンは自分の魔力が弱いので、無駄な動きをなくすことで魔術が長く続くようにと考えていたんだ。私の大剣を受ける事で身に付けていたんだわ。」


火球の勢いはますます高まっていった。

「私も行ってくるよ。」

そう言ってミーナが出て行った。


「ねえ、ルーク、サラマンダーは怒ってるのかしら?」

「いいえ、おそらく遊んでるんじゃないかと思いますけど?」

「そうよねぇ、本気だったら天変地異クラスの災害になるものねぇ。」

みんなが取りこぼした火球を処理しながら、エミリーとルークはそんなことを話していた。


サラマンダーが振り落とす火球は数と大火力の力技で力比べの域を出ない。

それでも5対1にもかかわらずシルフ達はほとんど攻撃が出来ていなかった。

確かに強くなったと言うだけはあるのかもしれない。


「どうした?5人がかりでもその程度なのか?これは強くなり過ぎてしまったようだな!」

「何を言うか!そんなもの、ただ数が多いだけじゃ!のう、シルフよ!」


ノームは岩を飛ばして迎撃していたが、その岩を大きなものに変えた。

しかし大きさの分だけ速度が落ちる。

破壊力は増すかもしれないがこれでは間に合わない。


「そうです!これでも食らうがいいです!サラマンダー!いくですよ!」

シルフは叫びながら、大岩に風魔法を纏わせた。

「「ロックンロールストーム!!!」」


大岩は回転を付けてそれぞれが無軌道に火球に向かい、破壊しただけでなくサラマンダーに迫った。


威力重視のためか火球全ての破壊は出来ないが、攻撃を受けるサラマンダーは防御にも時間を割かなくてはいけなくなった。


「これなら私も攻撃が出来るわ!スタンバイ!」

カーラはそう言うと、ファイヤーボールを両手の前に多数出現させた。

「ショットガン!」

無数のファイヤーボールが火球に向かう。

そして火球とぶつかる事で相殺され弾幕ができ視界が遮られる。

「キャノンボーーールッ!!」

カーラは続けて叫ぶ。


弾幕を抜けてキャノンボールがサラマンダーにヒットした。

「うまくいったわ!次はアレやってみましょう!ライアン、冷気を!」


ライアンは意識を集中させ、居合の構えを取る。

「カーラ、いくよ!」

ライアンが空に向かって太刀を抜くと、冷気の帯が空中に浮かんだ。


「キャノンショットォォォッ、アイスエイジッ!!!」

カーラの連射した火の玉は、冷気の帯に向かい通過した。


キャノンショットは冷気を壊す事はなく、それどころか表面に冷気の膜を纏った。

そしてスピードは落ちるどころかさらに加速、先端に冷気の刃を創り出し触れるもの全てを切り裂いてサラマンダーに向かっていく。



変則的な軌道で大岩がサラマンダーに迫った。

「2人合わせれば、流石に強いか。」

大岩を躱したいが、全て避けるのは無理そうだった。

攻撃の手数は減るが仕方がない。

サラマンダーは初めて防御に時間を使った。


ポン、ポンと軽い衝撃があった。

カーラのファイヤーボールだった。

大した威力ではないのは分かっていたので無視していたのだ。

ボスッ!

「!?」

威力はやはり大したことはないが不意打ちだった。


キャノンボールは避けたはず、とサラマンダーは思った。

誘導弾なのは()()()()()()

ギリギリで躱すと背後で爆発した。

なかなかの威力だったが当たらなければどうと言うことはない。

ではこれは?

「追尾弾の目眩しか?なかなかやる・・・」

力押しの精霊の攻撃と違い少しは楽しめるか?


サラマンダーはカーラの攻撃も意識した。

しかし意識の前に次の攻撃が向かっていた。


キラキラと光る魔力弾が近づいて来る。

「アイスブレード?」

氷属性は人間の小僧のはずだ。

「ふ、避けるまでもない。」

サラマンダーは無視して大岩の排除を優先しようとしたが・・・


「!!これは小僧の魔弾ではないっ!!」

大きな魔力を感じる。魔弾自体はさっきよりも小さいのに!

「よ、避けなけ・・・間に合わんっ!」

ガガガガッ

ボボボボンッ!


炎の盾の前にキャノンショットは阻まれた。

「あーっ、惜しかった!もう一回いくわ、準備して!」

カーラはファイヤーボールで攻撃しながら叫ぶ。


「うーん、カーラとライアンの新しい技、ちょっと面白いわね。」

「そうですね、あれ程の魔力差があるのに、ライアンの魔術が消えずに付与するなんて。」

お茶の支度が終わったキャンディが答えた。

「これは課題の特別魔法と関係あるのかしら?」

「いいえ、エミリー様。サクヤ様が言うには、特別魔法は属性や法則を無視したトンデモ魔法らしいですから、魔力や属性を追加したこの魔法は言ってみれば強化魔法というものでしょうね。」

「そうかぁ、やっぱりシルフの言う通りバニラへの道は簡単ではないわね・・・」

「エ、エミリー様?簡単じゃないのはバニラではなくて、特別魔法ですよ?」

「あら、そうだったわ、いけない、いけない。」

エミリーはキャンディの指摘に舌を出した。


サラマンダーとの魔法合戦はだんだんと大きな魔法が飛び出してくようになり、大気と大地を震わせる様相を呈してきた。


「ふははは、これはどうだ!」

超巨大な火の玉を頭上に掲げたサラマンダーが叫ぶ。


「ふん、そんなものこれで受け止めてやるわい!」

ノームは地面から高い壁を作り出す。


「私の竜巻の敵じゃないです!」

シルフは壁の上に荒れ狂う竜巻を発生させた。

ミーナの魔術の上位互換のようにも見える。


「流石に私ではあれとまともにはぶつかれないな。」

ミーナは防御の姿勢をとった。


「ライアン!一点突破を狙うわ!帯を火の玉に向けて用意して!」

「わかった!」

ライアンはそう言うと刀を火の玉に向けて振り下ろした。

氷の帯が火の玉に向けて伸びた。


「エミリー様、ノアがあれがぶつかり合うと周りへの影響が大き過ぎるといってるよ。」

魔法合戦を見ていたルークが言う。

「どのくらいの影響が出るのかしら?」

「えーと、なになに?あぁ、ここいら一帯が吹き飛ぶくらいの魔法量だって。」


「え、えーっ?エミリー様!私達大丈夫なんですか?」

ハラハラしながらも黙って見ていたミサキも流石に驚いて聞いてきた。

「うん、ここには結界があるし、私達は私の防御魔法でどうにかできるから大丈夫よ。」


「あ、エミリー様、多分俺達は大丈夫なんだけど・・・どうやらここの結界がもたないようなんだ。」

ルークがとんでもないことを言ってきた。

「えっ?結界が?って事はどうなるの?」


「そ、そうですね、たぶん辺り一帯が吹き飛ぶんじゃ・・・」

キャンディが申し訳なさそうに答えた。

うん、やっぱりそうだよね、ど、ど、ど、どうしよう!


「ま、まずいわ!これ、ふもとの村にも絶対被害出るやつじゃない!」


村を壊したらダメだってサクヤが言っていた。

サクヤは見ているから大丈夫と言っていたけれど、もう間に合いそうにない。

エミリーなら魔力を少し解放してこの場の魔法攻撃を一掃するパワープレイは可能だ。

しかし力が大きすぎて周りへの影響があり過ぎる。

被害を抑えるのに必要な力を相殺する魔力コントロールや結界を作る能力は今のエミリーにはなかった。


「ダ、ダメ・・・間に合わない!!」

エミリーは自分達を守る防御魔法を展開するより方法がなかった。


『いい加減にせんかっ!!この馬鹿者どもがっ!!!』

もの凄い威圧が辺りを支配したと同時に結界以外の魔法が解除された。


・・・な、何?

エミリーは何が起きたのかわからなかったが、周りの者も同じように不思議な顔をしていた。

いや、精霊達は青ざめた顔をしてガクブルしている。

そして空には眩しいほどの白い光があった。


白い光はゆっくりと降りて来るとサラマンダーの方に近づいていった。

光が近づくにつれてサラマンダーの大きな体はみるみる小さくなっていく。


仔犬ほどの大きさになったサラマンダーの前で光が徐々に輝きを弱めていくと・・・

そこには美しい女神(アマテラス)の姿があった。


アマテラスは辺りを見廻すと、小さくなって背を向けているシルフとノームに、

「お前達もここに来ぬか!!」

と一喝した。

「「はいっ!!!」」

2人は振り向くや否やアマテラスの前にダッシュするとそのまま正座をしてピクリとも動かなくなった。


カーラとライアンもアマテラスの方へ向かおうと走り出そうとした。

「そなた達は来なくて良いぞ。面白い物を見せてもらった。此奴らの説教が終わったら我がそちらへ行こう。」

アマテラスは笑って言った。


「さて、お前達は我慢が足らん!ちょっと()()()へ行って鍛え直してこい!」

「ひぃっ、む、向こうですか?・・・」

サラマンダーの声は裏返っている。

「安心しろ、ちゃんと案内役は用意してやる!シヴァ!参れ!」


その声に合わせて、空間に切れ間ができると、中から氷を纏った美しい女性が現れた。

「「「ヒィィッ!!!」」」

精霊達が怯えている。

「ではアマテラス様、行って()()()ます。」

シヴァは怯える3精霊をひょいと魔法で浮かせると、一緒にさっき出来た空間の切れ間に消えていった。


「何、ほんの戯れじゃ。」

アマテラスは誰に言うでもなく(うそぶ)いた。

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