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星の想い  作者: 景虎
新たな魔法神
19/51

謁見の儀

神の世界の時間設定の変更に伴い時間経過を変更しました。

案内のエルフについて屋敷を回るように廊下を歩いていた。

かなり大きな屋敷のようで、いくつもの部屋を過ぎていった。

「こちらでございます。」

障子の閉まった部屋の前で立ち止まると、一歩下がった。

「女神様方、御成(おなり)!!」


障子が開かれると、畳の大きな部屋だった。

部屋には座布団が四つ置かれていた。もちろんジェシカ用のものは小さなものだった。

ジェシカはスイッと飛んでいくと胡座(あぐら)をかいてどかっと座った。

「ちょっとジェシカ、お行儀が悪いわよ!」

小声で言ったがジェシカは気にすんなとばかりにカカっと笑うばかりだった。

ジェシカの横にはサクヤ、カーラ、エミリーの順で座った。

ホッとして正面を見ると、平伏した大勢の人、エルフがいた!!


よく見ると四人がいる場所は一段高くなった上座になっていて、正面は広い謁見の間になっていたのだ!

謁見の間にいるのはざっと20人ほどだろうか?

並んで平伏している中で一人だけ前に出ている者がいた。

右に大小二本の刀を置いていて長く黒い髪を後ろで結んでいる。

服装は男物の袴を着用していて、なるほどサムライのようである。

顔は伏せているのでわからないが、佇まいや格好からきっとこの人がエルフの女王イワナガ姫なのだろう。


「出迎えご苦労である、磐長姫命よ。」

ジェシカが厳かな口調でイワナガ姫に声を掛けた。

イワナガ姫は顔を上げる事なく平伏したまま答えた。

「女神ジェシカ殿、サクヤ殿、カーラ殿、そして新しく魔法神と成られたエミリー殿。この度のこの地への御降臨、恐悦至極に存じ奉ります。」

「うむ。」

「カーラ殿におきましては、短刀を送った者として永きに渡り見守って参りましたが、此度(こたび)その短刀が真の姿である太刀と成りしは立派な女神となられた事の証明。この磐長、重畳(ちょうじょう)の至りに存じ奉ります。」

「えっっ?」

突然のイワナガ姫の告白に思わず声が出たカーラだったが、ジェシカが遮り話を続ける。

「磐長よ、カーラは九十九神の1000年、女神になってからの数百年、ずっとこの森の守護神だったが、道一つまともに作ることが出来ぬと言っておったぞ。許されないと。しかしなんだ!今この森には自由に入ることができるだろう?何故もっと前にその自由をカーラに与えなかったのだ!そんなに人間が憎かったのか?」


ああ、森に入った時、ジェシカが綺麗な道を気に入らなかったのはそういうことだったんだ。


「ご、誤解で御座います、ジェシカ殿。確かにはるか昔は人間を憎んでいた事も御座いましたが、森を閉ざしていたのは魔石と魔法があるこの土地を魔法を使えなくなった人間から守るためで御座います。

この森には魔獣もおりました。人間の好奇心と環境破壊の力はジェシカ殿もご存知のはず。人間がこの森で活動する自由が増えればきっとあっという間にこの森は滅び、魔法すら他の形で現実化してしまったやもしれなかったのです!カーラ殿も魔法を知らない女神だったからこそ、立派になるまではと森の秘密も魔法に関する事も隠してきたので御座います。この事はアラン殿と決めた事なのです。」


女神の静かな怒りは謁見の間にいる者たちにとって予想外の事態だったに違いない。

畳に顔をつけ平伏している大勢のエルフ達は小さく震えていた。

何もできないエミリーとカーラもただただこの状況を見守る他なかった。


緊張した雰囲気を破ったのはサクヤの一言だった。

「お姉様、ここにはお姉様を恨むものなんていませんわ!さあお顔を上げて、成長したカーラと新しい魔法神エミリーをご覧になってください。ここにいる皆さまも私が許します、顔を上げてあなた方と一緒に新しい世界を造っていく女神をご覧になってください!」


ずっと平伏したままだった者たちは初めて顔を上げて、女神たちを見た。

彼らの目にはどう映ったのだろうか?

多くのものが四人の女神が並ぶ光景にただただ感動しているかのように声もなく見つめていたが、ただ一人イワナガ姫だけはポロポロと大粒の涙を流しながら女神達を見ていた。


「大義である。」

イワナガ姫の宴の用意があるので是非参加してほしいという申し出を受けた。

このジェシカの一言で謁見の儀は終了した。

感動冷めやらぬ者達を後に入ってきた障子を開けて静かに退出した。


★☆★☆★☆


「ふーっ、疲れたぜ。もっと簡単にできねーのかよ!」

通された部屋でくつろいでいたらジェシカがため息混じりに言った。

「姉さんに付き合ってくれてありがとうね、ジェシカ。今回は姉さんも満足したと思うわ!」

「満足ってどういう事?」

「イワナガはな、ここでサムライごっこをしてるんだよ。普段は自分が一番上だろ?なんせ女王だからな。あたい達が来ると、まあ、神だから身分が下になるだろ?だから普段はできない事が出来るのさ。謁見の儀式なんてことがさ。」

「今回はね、ジェシカが森の道の事で本当に怒ってたから、緊張感があって良かったわよ。あの場にいたエルフ達は本気で震えていたものね。かわいそうだったから本当は姉さんだけの顔見せだったけど、みんなにも見てもらうことにしたの。これなら姉さんもお館様として面目が立つものね。」

「サムライごっこ?お姉様の喋り方はもちろんわざと言ってたのわかるけど、イワナガ様も演技だったの?」

「ああ、本当はじーさんみたいな口調で、敬語なんて使わねーからな!」


「これは異な事を。わしはちゃんと敬語で話す事もできる。若い者が誤解をしたらどうするつもりか!」

開けっ放しの部屋に入ってきたのはイワナガ姫だった。

「何言ってやがる。偉そうで威圧的じゃねーか!お陰で神々もエルフの女王は人間嫌いってなってるぜ。見ろ、カーラが怯えてるじゃねーか。」


イワナガ姫は袴姿で腰に二本の刀を指していた。黒い髪を後ろで結んだポニーテールだが雰囲気的にはやっぱりサムライだ。切れ長の目は鋭い光を放ち凛とした顔立ちはサクヤ姫とは違った美しさがある。

サクヤ姫の王子様が顔が嫌いで追い返したと言っていたけどすごい美人だ。女王というにふさわしいその貫禄が昔からあったのなら、王子様は実は怖くて追い出したんじゃないかと思うほどイワナガ姫は堂々として迫力ある佇まいだ。


カーラは怯えてはいなかったがひどく緊張していてサクヤ姫の後ろに隠れるようにしていた。

「おお、カーラよ、そんなに怯えないでおくれ。わしは人間嫌いではないし、そなたのことはずっと見ておったぞ。わしは先の人間世界ではいないはずのエルフだった故、これまで存在自体を隠しておった。

そなたが一人で地上に来れるようになるまで隠れているつもりでおったが、また人間世界に魔法が復活しそうだってサクヤに聞いてたから少し前倒しで森の呪文を解除し、そなたに会えるようアラン殿に頼んでおいたのだよ。しかし魔法神誕生からたった一日で魔法が復活するとは思ってなかったから森の状態を伝えられずにジェシカに怒られてしまった・・・ まあ、魔法復活からこちらの世界では6ヶ月ほど経っているから宴の用意はできていたのだがな。」

そう言ってイワナガ姫はジェシカをチラッと見た。

「・・・短気を起こして悪かったな。」

ジェシカは恥ずかしそうに小さく答えた。


「・・・イワナガ様はどうして私に短刀を授けてくれたのですか?」

カーラはまだサクヤ姫の後ろから小さな声で尋ねた。


「うん、やはり気になるであろうな。話すと長くなるので詳しくはアラン殿から聞くのが良いだろう。わしが短刀を授けた理由はそなたが森の守り神に相応しい(ふさわしい)力を与えるためだ。短刀には森の魔法を無効にする効果を付けておいた。森に入る前にそなたを参るとその力の効果で森の探索が安全に出来るようにしたのだよ。他の場所から入ったり、お参りをせずに入った者は大変だったであろうな。」


「そうだったのですか。なぜ短刀が御神体なのかずっと不思議だったのです。イワナガ様が守ってくださっていたのですね。ありがとうございました。」

カーラはサクヤ姫の前に出てお辞儀をした。


「い、いや、礼を言うのはこちらのほうだ。よくぞ立派な女神になってくれた。これでアラン殿との約束も果たせる。そうでなければまたお叱りを受けるところだったよ。」

「そういや、アランが昔怒ったって言ってたな。そんなに凄かったのか?」

「いや、ジェシカ、あれは怒ったなんてもんじゃなかったぞ。わしは死を覚悟した。しかしアラン殿は寛大にもこの愚か者にチャンスをくださった。今はまだ途中だが、カーラがジェシカやサクヤのような一人前の女神になる時が来たらわしも少しだけ許されるかもしれない。その時までそなたの力になることがアラン殿との約束だからな。」


「イワナガ様も兄様もそんなに昔から私を見守っていたのですか・・・」


「アラン殿はそなたが生まれた時からずっと天から見守っておったぞ。女神になった後、ジェシカが側におるのも偶然ではない。アラン殿が大神様に頼んで、幸運の女神の加護を強く受けれるようにしてくれたんだよ。」



カーラは自分がどれほどの想いを受けてこの立場にいるのかを改めて考えていた。


不幸ばかりの短い人生だったが、一人ぼっちでも強い気持ちでいられたのは、天からアラン兄様が見守っていたからだった。何の力もない短刀の九十九神はイワナガ様の力を受けて森の守り神として千年の期間を無事に終え、女神になることが出来た。

女神になれたのは信仰してくれた人々のおかげだ。

女神になってからはお姉様とサクヤ様がサポートしてくれた。

そして今、この場にいるのは間違いなく隣にいるエミリーのおかげだ。


奇跡の力で新しい魔法神になったという自分よりちょっとだけ年上の少女はとてつもない力持っていてあっという間にこの世に魔法を復活させてしまった。

神になる手順をすっ飛ばした奇跡と云われるその想いとはどれ程大きなものなのだろうか?


期せずしてこのゴールデンルーキーと一緒に女神として進んで行くことになったのにもきっと意味があるに違いない。この少女と一緒にいることはアラン兄様の仕向けたことなのだから・・・

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