初級魔法
「上手くいったみたいだな。」
「そうね、もっと時間がかかると思ったけどあっという間だったわね。」
「「??」」
魔石の再設定は上手くいったようだけどいまいちよくわからないのですが・・・
「私の声はちゃんと届いたのかな?」
「心配すんな!ちゃんと届いたぜ。しかも大事なところにだけにな。」
大事なところってあの子たちのことだろうか?
「子供たちが見えたから、その子たちに届いて!って思ったんだけど、それでよかったのかな?」
「初めてにしては上出来よ!」
「それにしてもエミリーの魔法力はどんだけって話だよ。祠があって助かったぜ。ありがとうな、カーラ。」
突然ジェシカからお礼を言われたカーラはポカンとしていた。
「エミリーさんの魔力が強過ぎるんじゃないかってアランが言ったのよ。それでカーラの力なら抑えられるかもしれないから試してくれって。」
「あいつ自分は来ないでこっちに丸投げだもんなー。なんかあったら自分は関係ないって顔するつもりだったんだぜ。」
「に、兄様はそんなことしません!私の力を信じてくれていたんですよ、お姉様もわかってるのにひどいです!」
確かに神がそんないい加減な理由で自分の教え子を託したりしない事はジェシカにもわかっている。
「でもアランってそんなキャラなんだよなー。エミリーもそう思ったろ?」
なんか昨日見た感じではニコニコして軽いイメージがあった事は否めない・・・
「わ、私はいい人だと思うわ!」
カーラがジッと睨んでいるのを後ろに感じながらそう答えた。
「ま、結果オーライだ。カーラ、ありがとな!流石は黒闇天様だ!」
ジェシカはもう一度お礼を言って続けて褒めた。
「ま、まあ、上手くいってよかったじゃない。か、か、感謝しなさいよね!」
カーラは褒められるのが苦手なのか、顔を真っ赤にしながら言った。こんなところはジェシカそっくりだ。
魔石の再設定が上手くいったのはカーラの力と祠のおかげだったのか。一緒に来た理由はこれだったのね。
カーラは知らなかったみたいだけど。
「カーラ様、力を貸して頂いて本当にありがとうございました。」
本当に嬉しかったから素直にお礼を言った。
「れ、礼ならお兄様とお姉様達に言ってちょうだい!あと、恥ずかしいから私のことはカーラでいいわ!」
本当にジェシカそっくりだ。
「さあ、大事な用事はひと段落付いたから、二人に魔法の使い方を教えましょう。」
サクヤ姫はそう言って邪魔になるからと預かってくれていたステッキとメイスを取り出した。
やっと魔法が使えると思うと嬉しくてにやけてしまう。
カーラと一緒に期待に満ちたワクワクした目でサクヤ姫とジェシカを見つめた。
「まずカーラは魔石ーステータスボードーに触れて魔力をチェックしてみましょうか。」
カーラはちょっと不安げにゆっくりと魔石に触れた。
ビリッと静電気が走り、ステータスが現れた。
ーーー<カーララートリー>ーーー
種族:守護神
称号:黒闇天
レベル:100{/999}
HP:C{A}
MP:D{B}
力:C{B}
魔法力:D{B}
防御:C{A}
速さ:C{S}
運:C+1{SSS}
スキル:加災、無災、幸災の調和、癒しの歌(回復魔法取得後使用可能)、(転災)、(加福)
特殊スキル:黒闇天の加護付与、黒闇天の祝福付与
恩恵:大神の加護(小)、調和の神の祝福、幸福神の祝福、酒神の加護
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「じゃあ、始めましょう。二人とも右手を前に出して人差し指に意識を集中させて!」
言われた通り集中させてみる。
すると人差し指の周りに淡い緑色の光が見えた。
カーラを見ると赤い光が見える。
「そのまま集中!エミリーさんは風を、カーラは炎をイメージして!」
風・・・小さな小さなつむじ風をイメージしてみる。
すると光は小さなつむじ風に変化し指先で回っている。
カーラの赤い光は強く明るくなっていたが炎になってはいない。
「少し風を大きく出来るか?」
ジェシカの声で少し大きなイメージをしてみた・・・が・・・?
「あ、あれ?」
つむじ風はスッと消えてしまった。
!!!
カーラはいつのまにか人の背ほどの大きな炎を指先ではなく、伸ばした右手の手のひらから出していた。
「そう、上手よ、カーラ!そのままの状態で今度はその炎を前に放ってごらんなさい!」
「んっ!」
カーラが気合を入れると、炎は壁に向かって一気に進みボンっとぶつかり弾けた。
壁は煤がついたのかほんの少し黒くなっている。
「今のが初級魔法とその応用よ。魔力コントロールがうまくなるとこんなこともできるわよ。」
サクヤ姫はスッと手のひらを前に出すと、炎ではなく直径2メートルくらいの火の玉が出てきた。
ゆっくり人差し指だけ残して手を握ると火の玉は10cmくらいに凝縮され、見るからに威力がありそうだ。
「はいっ!」
ドーーーンッ!!
火の玉は一瞬で壁に激突し大きく削れていた。
「「すごい・・・」」
「手のひらでやってみるか。手を出し手のひらを上にしてみな。」
指先でやった事をやってみる。
集中・・・さっきよりボヤッとした光だ。
イメージ・・・ゆるい風がゆっくり巻いている。
大きくなるかな?・・・ふっと消えてしまった。
「・・・・・」
カーラはサクヤ姫と炎のコントロールをしているようだ。
ふと見ると炎を火の玉に変える練習をしている。
「エミリーは魔力の放出がうまくできてねーんだな。魔力を感じられているか?」
「うーん、よくわからない。」
「魔力は体の中を流れてるんだ。魔法は魔力を外に出して発動させるんだけどな。
手のひらや指先に魔力が出ていくのを感じねーのか?」
「魔石に触った時は感じたんだけど・・・なんか吸い取られていくような感覚?」
「なんだって!?」
ジェシカはポカンとした顔でこっちを見ていたが、
「あの儀式の魔力放出量でもそんな感覚じゃあ、そりゃあ普通の魔力放出なんて何も感じられねーよ。」
と呆れるように呟いた。
ジェシカとの練習でわかったことは魔力コントロールができない自分だった。
ジェシカが言うには魔力放出をコンロに例えると私はつまみをひねると一気に魔力が溢れ出てしまい、魔法をかき消してしまうのだ。
まさか初級魔法でつまずくとは思っていなかった・・・
「とほほだよ。」
「ま、まあ、なんか方法はあるさ!気分転換にちょっとステータスボードを見てみようぜ。」
「えー?きっと何にも変わってないよ・・・」
気は進まなかったがステータスボードに触れることにした。カーラたちも休憩のようでこっちに来た。
ずいぶんと大きくなったステータスボードに触れる。
ーーー<エミリー>ーーー
種族:守護神
称号:魔法神、[新]見習い魔法少女
レベル:1{/999}
HP:B{S}
MP:S{SSS}(オーバーレブ。要魔導具)
力:C{S}
魔法力:E {SSS}
防御:C{S}
速さ:C{S}
運:C+1{S+1}
スキル:[限定解除]自動絶対防御、魔法鑑定、癒しの歌(回復魔法取得後使用可能)、利き酒
特殊スキル:魔法神の加護付与、魔法神の祝福付与
恩恵:大神の加護(大)、幸福神の祝福、酒神の祝福
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「変な称号が増えてる・・・」
見習い魔法少女って一体・・・
っていうか魔法力はEのままだ・・・カーラはDだったのに・・・
「魔法少女・・・!」
サクヤ姫は嬉しさマックス状態で何やらステッキを撫でている。
「げ、限定解除だと、バカな・・・」
ジェシカは唖然とした顔をしていたが、おもむろに腕を上げると一気に振り下ろした!
「神撃ッ!!!」
「あっ!」反射的に体が固まる。
ビリビリってくる!
「・・・?」
何も起こらなかった。
あれっと思い上を見ると、歪んだ空気の層がゆらゆらしている。
「空間シールド自体は変わってないのね。」
その瞬間エミリーの意識は途切れぱたっと倒れた。




