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トーキング フォー ザ リンカーネーション  作者: 弐屋 丑二


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魔法について

「でさ。あと百九十三日。何すんのよ」

ソファに深く座り込んで、立って地図を広げて見ている美射に尋ねる。

「んーデート?フルでね」

美射は0.5秒だけ考えて、即座に答えた。予想通りの答えである。

「いや、それはもう勘弁してください」

「えー」

「にゃからんてぃは何が足りないと思う?」

と俺は美射の肩のにゃからんてぃにも尋ねてみる。

「鰯が空から振るように、カエルや、時には鮫すらも降ります。

 竜巻による吸引力は、高性能洗濯機の如しです」

「通訳頼む」

「んとね。『美射さんとこの星の歴史的な出来事を見学するのはどうでしょうか』」

「あー、そういう感じか。悪くは無いな」

「どうかなぁ。大体流れ人が起点になって、

 国家の勃興や、技術革新や新理論の発明が起こるだけだから

 ワンパターンでつまんないと思うよ」

「それも何となく、わかるな……」

「私は、結局のところさ」

「うん」

「どれだけ過去や未来を知っているかも大事だけど

 それを踏まえていかに、今を生きるかが重要だと思うの」

「いいこというな」

「ということで、今を感じるためにデー……」

「おいおい。結局デートしたいだけじゃないか」

にゃからんてぃも美射の肩でにゃーにゃー言って抗議している。

「あ、そうだ。じゃさ」

「うん」

「俺がこれからどういう道をたどればいいか、美射がアドバイスくれない?」

「アルデハイトさんや、マイカさんに任せたら?私は最終的に但馬に会えればいいし」

「あいつら俺で遊んでるからな。やたら女とくっつけようとするし」

「……それは、ちょっと聞き捨てなら無いなぁ」

「一応、俺的には、まず霊刀とりいく→皆とモルシュタイン退ける

 →第一王子領取り返す→で、それから……」

「それから?」

「魔族の領土に囚われてる流れ人を取り戻す。というのを考えてるんだけど」

美射は俺の隣に座って、にゃからんてぃを降ろしながら、口を開く。

「まだ、早いかなぁ」

「なんで?」

「但馬が地球に帰るキーになる流れ人が、あと二人居るのは

 ガーヴィーから教えられたでしょ?」

俺入れて五人居るという話は師匠から聞いた。五人のうち、二人は美射と菅である。


「そのうちの一人が彼なの」


「マジか……」

「この後、但馬は、モルシュタインの面子を潰すと思うわ」

「勝てればな」

勝てなくとも退けられれば、上出来だと思っている。

「その上で本国から流れ人まで奪ったら、魔族とローレシアンの

 全面戦争に近いことになる可能性があるのよ」

「まだ待てと?」

「そうね。少し冷却期間を置いた方がいいわ。

 アルデハイトさんも失いたくないでしょ?」

「居なくなると、ガイドと飛行手段同時に失うな。

 人としても、やっと仲良くなってきたばかりだし」

アルデハイトはいつも照れて誤魔化すが、お互い友達になった気は俺はしている。

「……わかった。少し、期間置くわ。じゃあ戦乱が終わったら

 リングリングの所……ナホン国だっけ、に直行する感じでいい?」

「……私は居るか分からないけど、それでもいいわよ。

 それに来るとしたら、アルデハイトさんに掴まって飛んでいける距離じゃないわよ」

「馬車とか船で、旅する感じになるのかなぁ」

「全てが順調に進んだら、旅にいけるかもね。

 でも、そうもいかないのは、但馬が一番分かってるでしょ?」

「確かにな。ラングラールとの戦いも、全然作戦通りに行かなかったし」

「こう言ったら悪いけど、まだ若い但馬がね。

 色々と無理に、他人を操作しない方がいいと思うの」

「流れに任せろ。と」

「そうね。色々言ってくる人は多いでしょうけど、身体は一つだからね」

「風が吹く丘の下にあるカバが行水する泉は、その間だけ泥で濁ります。

 清水と言うのは盛衰と音が似ています、同音異語というのは難しいものです」

「……訳頼む」

「『今までと同じように、常に人として正しくあろうとすれば、

  自然と良い結果がついてくるでしょう』だって」

「にゃからんてぃ……お前、いいやつだな」

俺は手を伸ばして、にゃからんてぃの頭を撫でる、彼は気持ち良さそうに目を細めた。

「分かった。とりあえず大筋は今言ったとおりで、

 あとは流れに任せて軌道修正していくわ」

「でー明日からは何するの?デート?」

「いや、ちょっと考えさせてもらっていい?」

目を閉じて、今の俺に何が足りないか考える。

ダメだ。やはりどう考えても思いつかない。

今がチャンスなのは確かなのだが。

これ以上バーチャルで戦っても、戦闘能力が頭打ちなのは何となく感覚で分かる。

あとはヒリヒリした実戦で経験を積まないと菅のように強くはなれないだろう。

式神と武器はもういい。技も十分習得した。

デートも丸二年以上も続けたので、さすがにもういい。

ここまで付き合いきった俺を誰か褒めてほしい。

メンタルは物凄く強靭になった気がする。あくまで気だけだろうが。

「あ、そうだ」

俺は唯一、今まで謎だった要素を美射に尋ねてみる。

「"魔法"って、どうなの?実際に見たこと一度も無いんだけど」

「……」

美射は急に顔を顰めて、考え込み始めた。


長考した美射は、立ち上がって俺を見下ろし、口を開く。

「本当に聞きたい?」

「……?」

にゃからんてぃも首を傾げる。

「聞かないほうがいいの?」

「たぶん……」

「魔法ってあれだろ。ゲームみたいに、バーッと手から炎出したり、

 ドバーッと氷玉出したりとかじゃないの?」

「大体あってるけど……」

美射は再びソファに座りなおして、仕方なく説明を始める。

「魔法ってね。リスクがとても大きいの」

「そうなんだ」

「使った分だけ、人体に有害な廃棄物を撒き散らす……といったらいいかな」

「車とか工場の排気ガスみたいなもん?」

「そうね。もっと酷いけどね。周囲を汚染するの」

「でね。私たち、というか歴史上の有志の手により、魔法は意図的に封印されたの」

「そうなんだ……だから一人も見なかったのか」

「だからそんな中で、自ら捜し求めて魔法を修め、

 魔法使いになるのは、とても業が深い人たちなのよ」

「……マルケスが、オギュミノスに封印されたのも、

 失われた魔法文化を復活させようと企んだのもあるわ」

「見てみていい?」

「どうかなぁ。但馬が魔法に魅入られないと約束してくれるなら……」

「……最後の日々は、魔法についての学習でいい?」

「……魔法を使ってみたい?」

「いや、何となく、今知っといたほうがいいような気がするだけ。

 使いたいとはまったく思わない。でも、どんなものがあるのか知りたい」

俺の勘が囁いている。何も知らないと、いつかどこかから

魔法でわき腹を刺されるぞ、と。何でかは分からないがそんな予感がある。

「分かったわ。にゃからんてぃもいい?」

にゃからんてぃは力強く頷いた。いいらしい。


美射はしかたなさそうな顔をして、パチッと指を鳴らし、

再び闘技場に周囲を戻す。観客席に囲まれた闘技スペースの中だ。

「魔法を使ったものは、汚染により子孫ができないようになっているし、

 知らずに意識をここに降ろした時は、我々が永久に捕えるようにしているの」

「怖いな……」

それだけ魔法という存在が周囲に有害なんだな。

「菅の仲間で魔法使いが居たと聞くが……」

「彼は様々な事情を完全に分かった上で、慎重に使っていたからね。

 人格も善人だったので、私たちがどうこうすることもなかったわ」

「そうか。ならよかった」

「……じゃあ、出すわよ。一番強烈なのから行くわ」

そう美射が言うと、俺たちの五十メートル先に

ボロボロの灰色のマントと服を着て、量の多い白髪が爆発したようになっている、

全身が鈍く発光する鉄鎖で繋がれた男を出現させる。

男は丸眼鏡をかけた、シミだらけの浅黒い顔をゆっくりとあげると

「ああ、やっと出してくれたのか。で、その男の子を殺せばいいのか?」

と裏返った声で美射に尋ねる。

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