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トーキング フォー ザ リンカーネーション  作者: 弐屋 中二


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1444/1587

無意識にまき散らしている

夕暮れが沈んでいく街を

時間停止して眼下に見ながら、美射は俺の腕を引き空を駆けていく。

「まだ、高学年の下校が済んでないくらいの時間だろ?」

「うん。せっかくだから、屋上で但馬と夕日が沈んでいくのを見ようかと思って」

「ああ……」

日が沈むまでの時間調整ついでに自分の欲望を叶えようということらしい。

町外れの水田地帯を東に、山々を北へと臨む位置にある

三階建て鉄筋コンクリート製の小学校の屋上へとたどり着く。

高い鉄柵に寄り掛かった美射が

「あーこれも夢の一つだったのよー」

ニコニコしながらサッと振り返り

ビシッと背後に沈んでいく夕日を指さした。

脱力しながら

「そうですか……」

とりあえず美射の隣の正面から寄りかかって

鉄柵越しに夕日を眺める。

校庭をポツポツと高学年の子たちが下校しているのが見える。

「ああ……そういうことか……」

美射はニヤーッと笑いながら

「夕暮れ時に、ブランコがあった場所に

 泣いている小さな女の子の霊が出るって話があったわよね」

「今は撤去されたんだよな?」

「時代の流れでね。今ではほら、子供用の背の低い鉄棒が設置されてるわ」

確かに、校庭の隅に三人用の鉄棒が設置されている。

俺と美射が小学校に通っていたころは

確かにブランコがあの位置にあった。

「……まだ、その話はあるのかな……」

「くっ、くくく……アグラニウスで

 因果律を無意識に混線させまくって、自分側に寄せ続けたあなたが

 そんなことを言うの?」

「……そうか、共鳴粒子に満ちているのか……」

言いたいことは分かる。

要するに俺の都合の良い展開に勝手になる可能性が高いと言いたいようだ。

「待ってりゃ出てくるわよ。確実にね」

美射は自信満々に言ってきた。


夕日が沈んで、黒雲が空を覆い隠し

辺りが真っ黒になっても、何も出なかった。

というか、日が沈んで、闇に隠れられるようになってからは

鉄棒のすぐ近くで二人で立って待っていた。

「おっ、おかしいなぁ……」

美射が珍しく焦りまくっている。

「気長にやれよ……急いでも仕方ないだろ」

「そっ、そうね……次の七不思議に……」

立ち去ろうとすると


シクシク……ぁぁ……シクシク……。


暗闇の中にはっきりと宙に座っている少女が見える。

シルエットしか見えないが

恐らくは小学校二年くらいだろう。

美射はホッとした顔で、腕をシルエットに伸ばした。

そして交差させた瞬間に

「そうか……」

と呟いて、いきなり俺の腕を引き校庭を歩き始める。


「凄いわ。もし、私が今感じたことが事実ならば

 彼女は自分の影響をあらゆる世界に

 無意識にまき散らしていることになる」


「……どういう意味だ?」

「くっ、くくく……次の七不思議に向かいましょうか」

さっきまで焦っていたのに、また謎の余裕を取り戻しだした。

そのまま暗闇に紛れて、校庭を歩ききって

校舎の一階の窓の前で立ち止まった。

月明かりがガラスの向こうの教室を照らしている。

美射は黙って腕を伸ばし、鍵を念力でカチャリと開けた。

「共鳴粒子があるなら、こんな使い方もできるわけ」

「そうだな」

「そして当然因果律は、グチャグチャに混線しているから

 使い物になりませーん」

美射は窓に触れずに念力で横にスライドして開けて

指紋を残さないように気を付けながら中へと入り込み

靴を脱いで、外へと土を払って片手で纏めて持つ。

俺も同じようにして、校舎内へと入って行く。


俺たちが通っていたころと変わってないなと思っていると

美射はサッと俺と腕を組んで

冷たい夜の廊下を時間停止させた。

「次の七不思議は何かわかる?」

「……一階か……だとしたら、靴箱の視線だな?」

「そうよ。一人で正面入り口に

 並んでる靴箱の手前のある位置に立っていると

 謎の視線を感じるっていう有名な話よ」

俺は頷いて、校舎の全校生徒分の三段造りの大きな靴箱の並ぶ

入口へと歩いていく。


たどり着くと美射は時間を動かして

「ここよ。これなの」

入ってすぐの場所の二段目の靴箱を指さした。

「よく覚えてるな……」

「ここね、二年生の時に私が使っていた靴箱の位置なの」

「そうだったのか……」

「だから、よく視線を感じてたわ……」

「初耳なんだけど……」

今まで一度も聞いたことが無かった。

美射は頬を膨らませて

「むしろ、但馬が気づかなかったのがおかしかったんですけどー」

「いや、二年の時のお前の靴箱の位置とか

 覚えてるわけないだろ……」

「私は但馬のこと何でも覚えてますけどー?」

「……」

それはモンスターサイコでストーカーだからである。

であるが、今は話がややこしなるので言わない。

いきなりぞくっとするような視線を感じて

そちらを振り向くより前に、俺の腕を握った美射が時間停止していた。

視線の先の靴箱の角には、泣きはらした真っ赤な両目が浮いていた。

唖然として近づく。

「視線だけじゃなくて、本当に目が浮いてたのか……」

「……よほど、あの靴箱に執着があったんでしょうね」

美射はそう言って、時間を動かした。

次の瞬間には両眼は消えていた。

「さあ、次よ!あと、五不思議ありますからねー?」

「……そうですね」

さっきから怪異がはっきり見えているので

一人ならとっくに悲鳴を上げていたはずだが

モンスターサイコより怖いものはどの宇宙にもないので

こいつと一緒に居ることで、恐怖が薄れているのだけは助かる。

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