佐世保観光をしよう 1
「おっ、佐世保観光いいね、佐世保に詳しい私がみやっちを案内してあげるよ!」
こう言って目を輝かせているのは僕の幼なじみで腐れ縁の青木マリアである。
そしてその幼なじみにみやっちと呼ばれている僕の名前は宮内佑樹だ。
「そういえば、マリのおじいさんおばあさんって佐世保に住んでいたよね?」
「そうだよ! だから私がみやっちを案内してあげるの!」
僕の幼なじみはこっちを見て目を輝かせている。よほど大学生活初めての部活動が楽しみなのであろう。
しかし、そんな目を輝かせているマリに僕はこう言った。
「もう僕が行きたいところは決まっているんだ。世知原と小佐々に行こう。マリ、案内してくれる?」
すると目を輝かせていたマリが少し困ったような顔をしてこう答えた。
「ねぇ、初めて佐世保に来たはずのみやっちがなんでそんなところを知っているの? そんなところより二人で佐世保バーガー食べて回ろうよ……
二人でハウステンボス行こうよ!」
なぜ二人でという部分を強調するのかはわからなかったが、そんなマリに僕は
「みんなが行くようなところなんて駄目だ! 僕はみんなが行ったことがないところに行ってそれを人に自慢したいんだ!」
「なんか熱く語っているけど、あんたが今言っていることってなんかとても残念だわ……」
「やかましいわい」
「はいはい」
こんな感じで新生旅行部の最初の活動を考えていたわけだが、他の部員はどうしたのか気になる人もいるだろう?
この部活の部員はなんと僕とマリの二人だけなのである。
この部活を無くしたくないという四年生の先輩に誘われて入部した訳だが、一人で活動するのもどうかということで、たまたま同じ大学に入学していた幼なじみを誘ってみたらすぐ入部してくれたという訳である。
ちなみに四年生は就職活動があるからということで引退するそうだ。しかし、就職活動が終わったら少し遊びに来てくれるそうだ。
あの先輩とても美人だったなぁ…… 早くまた会えないかなぁ…… などと考えていると
「なに、みやっち急に鼻の下を伸ばして、変なことでも想像してるの? ちょっとやめてよね?」
「いや、ちょっと旅行部に僕を勧誘してくれた先輩、とても可愛かったなってね」
なによそれと言ってなぜかそっぽを向いてしまったなにかいろいろと不満そうな幼なじみはさておき、今日の旅行部としての最初の行き先を決めるという作業は無事?終了した。