第9話 「初めての守春香」
第9話を公開します。
20150616公開
幼稚園児の鈴木美羽にとって、“大きな人”とは恐怖と同義語だった。
だが、その恐怖以上の“恐怖”が現れるとは、美羽は勿論、【おねえちゃんたち】にとっても想定外だった。
事の起こりは、美羽が聞いた事も無い大きな音から始まった。
最初の1発目で飛び起きた美羽と違い、【おねえちゃんたち】は未だ朝日も出ていないのにみんな起きていた様だった。
美羽が起きた事に気付いた【よしおおにいちゃん】が爆発音が続く間、ずっと美羽を抱き締めてくれた。
そして、まわりから、あの“音”が響き始めた。
「美羽ちゃんは? 誰が守っているの?」
「僕が抱えている! 大丈夫だよ!」
【るみおねえちゃん】の大声に【よしおおにいちゃん】が初めて聞いた様な大きな声で答えた。
更に【まりなおねえちゃん】が叫んだ。
「珠子さんは私が抱いている! 唯は無事か?」
「うん、大丈夫!」
「どうする? このままここに居たら、取り残されるぞ!」
「いや、今動く方がヤバい! そろそろ巨人たちもショックから立ち直る筈だ。そうすれば弓で狙われるぞ」
“大きな人”に捕まった日にも聞いたパンパンという音が段々と増えて来た。美羽には、初めて聞いた時よりも、その音はもっと鋭い感じがしていた。
広い原っぱでの草刈りでくたくたになったせいで半分寝ながら晩ごはんを食べたところまでは美羽も覚えていた。いつ眠ったのかも分からないほど疲れていた美羽だったが、眠いという気持ちは完全に無くなっていた。
今、心を占めるのは周りで何か恐ろしい事が起こっている事に対する“恐怖”だけだった。
恐怖を煽る様に、あの身を竦ませる音が、更に激しく周り中から聞え出していた。
【よしおおにいちゃん】と美羽を守る様に2人を抱き締めてくれていた【るみおねえちゃん】が何かに気付いた様に顔を上げたのが気配で分かった。
次の瞬間、【るみおねえちゃん】が声を上げた。
それは、今、出て来る筈の無い疑問に満ちた声だった。
そして、“恐怖”そのものの少女が地面に降り立った。
「無事でなにより。再会のホウヨウは後でするよ。それより今からイッシュのセイシンコウゲキを掛けるから、気をしっかり持っていてね」
初めて聞く知らない【おねえちゃん】の声は、優しさも、温かさも、感情も、何もかも感じられなかった。
『だれ?』と思う間もなく、美羽の心は更に大きな“恐怖”に晒された。
怖過ぎて、声も出ない。息も出来ない。
もし、息をして、美羽がここに居ると分かったら、きっと酷い目に遭う。
“大きな人”を初めて見た時よりも怖かった。
今、周りで起こっている事よりも怖かった。
自然と体が丸くなる・・・
その“怖い人”が何かを小さな声で呟いた。
思わず顔を上げると、すぐ傍を知らない【おねえちゃん】が走り出していた。
あっという間に見えなくなったが、通り過ぎる時にほんの一瞬見えた横顔の目は美羽を見ていた。
怒っている様に見えるが、何故か美羽は、自分を見ている目を怖いと感じなかった。
美羽は、その【おねえちゃん】が向かった先に視線を向けた。
さっきまで美羽を抱き抱えていた【よしおおにいちゃん】も同じ方向を見ていた。
いや、全員が・・・だった。
みんなの視線の先で、3人の“大きな人”が新しい【おねえちゃん】に斬られていた。
まるで、テレビで見るチャンバラの様だった。
「なに、アレ・・・・・」
【まりなおねえちゃん】の声が聞こえる。
その声は美羽が初めて聞く震えを含んだ声だった。
「ハルがメチャクチャ怒ってる・・・・・」
【るみおねえちゃん】が呆然と呟いた。
それが、美羽の、守春香との出会いだった。
如何でしたでしょうか?
うーん、ちょっと淡々としているというか、もうちょっと文章に粘り気が欲しかった気がしないでもありません(^^;)
予定よりも1時間ほど公開が遅くなった理由は、昔、mrtkが書いたガルパンSSをちょっと読み返していたからというのは内緒です(^^;)
P.S. 一昨日辺りにブックマーク登録と高評価をされた方が居られます。
この場をお借りして、お礼を申し上げます m(_ _)m
思わず、涙が出そうになりました(;;)




