表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖御伽譚 下  作者: 鮎弓千景
古き慰霊碑にてー亡者の魂ー
9/22

がしゃ髑髏9

がしゃ髑髏を巻き込んだ竜巻は次第にその形を小さくしていく。

消え去った後には、多少の傷は負ったものの今だに健在している骸骨の姿があった。


『小癪な…』


大きく手を振りかぶる。

その先には小さな淡い黄色の妖ー。

私は疾風の前に躍り出た。


しかし前から来ると思っていた私の予想は大きく外れ、横から()ぎ払うように手が迫ってくる。


結界を貼った途端、大きな衝突音と共に爆風が起こった。

その凄まじい轟音の中、耳に届くのは何かにヒビが入る乾いた音。


さすがに急ごしらえの結界では、強度が足りなくて一度の衝撃を防ぐだけで精一杯か…


ヒビは衝撃を受けた所から徐々に入り、中盤辺りから一気に入ってガラスが割れるような音を立てて破れた。


結界が破れると同時に、疾風を抱いて飛び退く。


「ほっ…危ないところでした…」


ホッと一安心したのも束の間。

すぐさま態勢を整えた相手の攻撃に反応が遅れる。


しまった…!


「おぅりゃあっ!!」


威勢のいい掛け声と共に、私とがしゃ髑髏の間へと割って入ったお稲荷さんが斬りかかった。

大きな歯と刀がぶつかった時、小さな火花が散る。


『邪魔を、するな…』

「邪魔なんかいくらでもする!

手なんかっ…出させるかっ!」


ギンッ…

甲高くけれどもどこか鈍い金属音が、幾度となく夜の闇に響いては溶けていく。


「がしゃ髑髏っ…お前の狙いは何だ!」

『我の狙いは、楿の姫の力を手に入れ…我が主に差し出すことだ…!』


そう言うや否や、向こう側は間合いを詰めてきた。

相手の真の狙いに思考を僅かに巡らせていたお稲荷さんには交わすことが出来ない。


「はあぁっ!」


私は力を込めてお稲荷さんを守る結界を作る。

結界に阻まれて、がしゃ髑髏の攻撃はギリギリで届かずに済んだ。


「悪い、辭。」

「先程助けてくれたのでお互い様ですよ。」


目を閉じ札に力を込める。

力を流した札から眩いまでの輝きが放たれた。


「強き光よ!彼者の宿し邪気を払え!

邪光払い!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ