君だろ?図書館の手紙を書き換えたのは?
わたしはただの歴史好きな女子学生だ。
「君だろ?図書館の手紙を書き換えたのは?」
公園のベンチで、わたしより明らかに有能な男がは言った。
空を見上げると、巨大な爆撃機が静かに飛んでいた。
それは、1か月前の出来事だ。
図書館の歴史文書コーナーで、誰かが資料に手紙を挿入しているのを偶然見つけた。
軽い気持ちで、その手紙を見た。
手紙には、専門知識がないと読めないくずし字だった。
ただ、歴史文書好きなわたしにはそれが読めた。
所謂、恋文だ。
だから、軽い気持ちで、ちょっとだけ大げさに書き換えてみた。
そっちの方が、絶対乙女心に響くと思ったからだ。
それから、1時間後、見知らぬ女がその歴史文書コーナーで手紙を手に取り顔を蒼白にさせたのを覚えている。
わたしより明らかに有能な男は、その事を言っているのだろう。
公園のベンチで、その男は言った。
「あの黒き死神と呼ばれる爆撃機はね、地球を終わらせることが可能なんだよ」
男の言葉から察するに、わたしが手紙のくずし字を少し書き換えた結果、あの黒い死神が飛び立つことになったらしい。
「あなたは諜報員?」
わたしの問いに、男は答えず、
「時間は後1分で決着がつく」
そして、静かな1分が経過した。どうやら地球は無事だったらしい。
男は深い安堵のため息を付くと、
「誤解は解けたらしい」
そう言うと公園のベンチに停めてある白いセダンに乗り込んで姿を消した。
あまりにも非現実的すぎる。
「きっと、わたしをからかっているのだろう」
と思う事にして、クレープ屋のバイトに行くことにした。
完




