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神々の名残  作者: 月から落ちたうさぎ


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0)プロローグ

10年前に初めて書いたSF風の小説を、当時のままに投稿します。極めて未熟な内容かと思いますが、生暖かい目で読んでいただけたら幸いです。(当方褒めると育つタイプです。)

「くっ」

さすがにここまで加速すると、人類の体にはかなりきつい。

しかし、この”艇”の数千単位先にいる”古き船”にはそのような負荷が軽減される仕組みが備わっている。もとより、我々よりも加速に耐性をもつ体質ゆえ、加速軽減せずともこれ以上の加速ができる。


「しかし・・きつい」誰ともなくつぶやく。

「白き神は本国から出た緊急の召還指示に従わなければならない。我々の同行できる最高加速度に押さえて下さっている事に感謝しなくてはな。」と、私は答える。


 この艇は我々の技術の粋を投入して建造された、新鋭艇。

白き神が我々に教えて下さった技術のうち、我々が理解し、自身の手で建造できる技術レベルで造られた艇。

「今回の見送りは、我々がどこまで成長したかを、あの方達に見ていただく意図がありますからね。まだ自ら造る事ができない、反重力加速軽減装置は搭載できない。」航法士が言った。

そう、この「艇」は残された人類が自力で発展し、これからも文化の火を絶やすことがないと、あの方に安心していただく為に急造された新鋭艇。

調重石、思考石、などの超技術は使用を控えており、この操舵室の10名の他には、機関制御室の6名しか登場できない。

”船”とは搭乗可能人数だけでも1000倍は違うだろう。その船も、ごくわずかな神々しか、生きて乗る事はできなかったが・・・。


「まもなく、第12番惑星周回軌道に達します。”神々の庭”」

「境界突入、3、2、1、突入しました!」

 鈍いショックと同時に、急激に静かになる。”雲”と言われる氷の領域を超え、星間物質が希薄な領域に突入した印だ。

「わかった。まもなく目視距離に入る”神々の門番”の重力場を利用し、楕円軌道で母星への帰路につけ。漆黒で識別しずらい。近づきすぎるなよ。」

「了解。この”艇”を拳くらいに丸めるのは簡単でしょうからね。」

この高い重力場を持つ人工の小惑星群が、星系外からの招かれざる存在を防いでくれる。

もしも人類の文明が母星から出れぬくらい退化したならば、この小さく見えずらい上に動き回るこの存在は、忘れ去られるであろう。

もしかしたら、我々をこんなにも慈しんでくれた神々も、忘れさられてしまうのか?

「絶対にそのような事があってはならない。」

「どうされましたか?」

「いや、なんでもない。独り言だ。」


 我々には、神々の記憶が受け継がれる。それは子孫の代でも変わらず、薄れることはあっても完全には消えない。

そのように神々がつくったからだ。人類創造初期に行われていた、感情の無い操り人形として人類を使役する操作法。それは我々王族しかその方法をしらされていない。私がその方法を永久に封印するつもりであるからには、もう無いも同然であろう。


 不意に、最前部制御盤にある中央制御玉がきらめき、交信の開始を告げた。

「・・・新しき王よ、我が民よ。ここまでの見送りご苦労だった。感謝する」

 白き神が言う。最近はめっきり老け、老人に見える。

 ここ数十年の苦労が、数千年の寿命を持つ神の外見を急激に老けさせてしまったのだ。

「いえ、ここまでしか同道できないのが残念でなりません。」

「まだ言うか、おまえは。」


ふっと笑ってから真剣な面持ちで神は言う。

「今回の非常召集は、植民地だけでなく我々のような遠隔地にまで声がかかっている。本国における混乱が大きい事をあらわしているのだろう。

お前達をつれて行くのは、危険が大きすぎる。」

「解っております。それでも、私は白き神に同道したかったのです」

「頑固だな。それも、王の資質か。自分の信念を持たぬもの、自分の意志を通せぬものは柱になりえないからな。」


「臣下からは、もう少し柔軟な考えを持って欲しいと叱られます。」

「大丈夫だよ、新しき王よ。お前はさらに聞く耳もある。

それがどうして道を誤ることがあろうか。」

「そう言っていただけると心強く思います」

白き神は静かに微笑んでから、他の神々の声に耳を傾ける。

少し首をかしげるしぐさが少年の心を感じさせるが、それを指摘する機会はもうないだろう。


「残念だが、そろそろ高加速の準備にはいらねばならない。我が民達に比べ格段に長命な我々でも、本国までは遠いからな。」

「冷却棺でお休みになるのですね。」

「そうだ。目が覚めた時はもう本国の至近であろう・・・寂しくなるな。」

「はい。」

本国までの距離はとても遠い。冷却棺で代謝を低下させ、弾力液で体を保持しながら限界に近い速度まで加速する。ゆえに途中で目覚めることはできない。すなわち、私が生きているうちは2度と通信ができないと言うことだ。

「白き神よ、お別れの前に一つだけお願いを聞いてもらえるでしょうか。」

「なんだね?」

「目覚めるタイミングを、当初の予定よりも10年程早めていただけませんか?もし私の予想通りならば・・・それが死命を決するかと。」

「わかった。新しき王の助言を受け入れよう。」

背後の神々に指示を出した後、何か光る物を手渡した。

「自分もこれからが大変だろうに、去りゆく我々を心配するとは。

その心、ありがたく思う。そのような新しき王なら、我々の残す高位施設、高速艇もただしく利用できるだろう。」

「それは神々が我が星に帰還された際に利用する為のものではないのですか?」

「そうだ。だが、早くて数千年、あるいは1万年先になるのではないかと

思う。だから、それまで管理を頼む。危急の時は、有効に使ってくれてかまわない。」

「そのような事が本国に伝われば、神々の中でも上位の白き神とて、

まずいお立場になるでしょうに・・・」

「良い。ただ、あれらは精神的に成熟した者でなければ使いこなせぬ。

今から新しき王の遺伝情報にかけた施錠を解く。その遺伝情報と施設に施した精神的成熟を測る仕組みが一致した時だけ、星系最上位権限がその者に与えられ、真の機能が働くようにした。その二つの条件が満たされない限りは、不可思議な建造物にしか見えないであろう。

そして、”神々の門番”を通過する事も、その時可能とる。」

「それならば子孫の代になっても、愚かな使われ方はされないでしょうな。」

「そう思う。では、今から施錠を解く。中央制御玉から出てくる光鍵玉を間近に見るように。距離が離れた者には効かないようにできている。」

白き神の言葉と同時に、先程背後の神々に渡したものと同じ寸法の光玉が中央制御玉から浮き出して来た。多少の恐れをいだきながらも、目の前に近寄る。

「では、始めるぞ。」

「はい。」

白き神が小さな声で何か唱え始めると、光玉が虹色に輝き始めた。

途端に体全体に振動が生じ熱くなる。それが収まると同時に脳に膨大な情報が流れ込むのを感じた。

意識が急速に拡大する。世界が小さく感じる。時の流れが緩慢に感じる。

そして何かに達したその確かな感触を感じた瞬間、現実に戻った。

「今のは一体・・いや、そうか!」

「そうだ。君達10万番台以降は、猿人の遺伝子を我々に似せて造り変えた際、単に似せるだけではなく、我々の遺伝情報を組み込んだ。

しかし、その事を保守派に知られるわけにはいかなかった。お前達が抹殺されるからな。」

「なるほど。今感じた能力の拡張が、予め自らにあったと感じたのは、そのせいだったのですね。」

「そうだ。その保守派も、最後の戦いで皆天に召されてしまったがな。」

そう、白き神が人類を道具以上の存在として扱うだけでなく、統治機構に組み込もうとした事が許せなかった保守派は、大規模な反乱を起こした。

その結果激しい戦いとなり、その激しさは神々の大陸を海に沈める程であった。

「む、そうか。新しき王よ、そろそろ通信を解除し、さらなる加速への準備が必要だ。」

「・・・寂しくなります。」

「そうだな。」

しばらくの沈黙の後、どちらともなく、胸の前で手を組む。

「新しき王、そして民達よ、どんなに苦しい事があっても、生きよ、そして”心”を子孫に伝えよ。いつの日か、お前達が神として新しい種族を導く日まで。それが、我々以上の存在に至る道筋となろう・・・。さらばだ!」

深く頭を下げ、白き神と神々に感謝の心を伝える。

ようやく頭を上げた時には、眼の前に漆黒の宇宙が、無限の可能性が広がるばかりだった・・・。

これがなろう初投稿です。完結まで10年前に書き終わっているのですが、週1回くらいのペースで上げていこうかと考え中です。

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