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召喚無双の最強暴君(ティラノサウルス)  作者: 月光壁虎
スカーレットへの恋心
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重なる二人の気持ち

「スカーレット……!」


 目の前に立つ彼女は、深紅の瞳にまっすぐな意志を宿していた。あのとき、オレの想いから逃げた彼女とは別人のように見える。


「スタン……この前は……ごめん……!」


 そう言ってスカーレットは、いきなりぺこりと頭を下げた。


「お、おい落ち着けって! オレはその、もう気にしてないからさ」

「嘘よ!」


 顔を上げたスカーレットが、涙をこらえるような強い声で言い返す。


「スタン、あのときすっごく落ち込んでたじゃない! ……あんな顔、見たくなかった……!」

「バレてたか……」


 気まずくて、オレは頬をかきながら視線を逸らす。……どこまで顔に出てたんだ、オレ。


 すると、スカーレットが小さく息を吸い込み、そっと問いかけてきた。


「ねえ、スタン……。あのときの告白、あれって……本気だったの?」


 まっすぐに、逃げずに、オレの瞳をのぞきこむスカーレット。

 覚悟を込めたその目に、オレもまた胸を張って応える。


「ああ。あれは冗談なんかじゃない。オレは今も変わらず、お前が好きだよ、スカーレット」


 再び言葉にした瞬間、彼女の目が潤み、手で口元を覆った。


 ……なんだか後ろの植え込みの陰から「キャーッ!」とかいう女子の黄色い声が聞こえたような気がするが、今はそれどころじゃない。


「……そっか。スタン、あんなに覚悟して言ってくれたのに……アタシ、逃げちゃって……!」

「もういいよ。今は、オレが知りたいのはただひとつ……お前の“本当の気持ち”だ」

「……っ」


 小さく唇を噛んだスカーレットは、ためらうように一歩、そしてもう一歩、オレへと近づいた。


 そしてーー。


「スタン……!」


 勢いよく飛び込んできた彼女の腕が、オレの背にまわされる。


「うおっ!? スカーレット……!」


 思わず身体がこわばった。

 けれどすぐに、彼女の髪の香りと、細くあたたかな体温がオレの胸に広がる。


 そして耳元で、かすれるような声が聞こえた。


「……アタシも、好きよ。スタンのこと……ずっと……!」


 頭が真っ白になった。


 何も言えない。

 ただ、この瞬間が本物だって、全身で感じてた。


「アタシね、ずっと怖かったの。スタンが優しくしてくれるたびに、嬉しくて……でも、もし拒絶されたらって思うと、素直になれなくて……!」

「……スカーレット……」

「それでも、どんなときもアタシのそばにいてくれたよね。強がってるアタシの裏側も、ちゃんと見てくれてた……。そんなスタンが、……大好きよ」


 抱きしめてくる彼女の腕が、少しだけ震えている。

 それはきっと、勇気を振り絞った証。


 だからオレは、そっと彼女の肩に手を添えて、顔を見つめた。


「なあ、スカーレット。……本当に、オレなんかでいいのか?」


 その言葉に、スカーレットはびっくりしたように目を丸くしてから、ふっと微笑む。


「……今さら何言ってるのよ。アタシが好きなのは、あんただけ」


 その瞬間、オレの胸の中にあった不安が、すぅっと溶けていった。


「ありがとう、スカーレット。オレも……お前じゃなきゃダメなんだ」


 オレはそっと彼女を抱きしめ返す。


 その柔らかな髪を感じながら、オレたちはしばし、何も言わずそのままの時間を分かち合っていた。


「これからもよろしくな、スカーレット」

「うん、こちらこそ……よろしくね、スタン」


 ーーこうして、オレとスカーレットの気持ちは、ようやく重なり合った。

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