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召喚無双の最強暴君(ティラノサウルス)  作者: 月光壁虎
ティラノサウルス召喚!
11/43

ぶつかる二つの力

 召喚されるなり雄叫びを上げる、レッドドラゴンのドレイクと雪梟のワイズ。


「仲直りしたからって、手加減はしないわよ!」

「それはこちらの台詞ですわ!」  


 スカーレットとシルヴィアが鋭く睨み合い、両者の間に吹き乱れる熱気と冷気がぶつかり合う。


「さすがにすげえな……!」

「なんたって一年生の実力者だからな……!」


 ギャラリーが息をのむのと同じように、オレもまた二人の気迫に圧倒されそうになる。


「スタン! 審判頼むわ!」

「え、オレが!? ……分かったよ!」


 スカーレットの有無を言わさぬ眼差しに、オレはこの勝負の審判を受け持たざるを得なかった。


「それではスカーレット・フレアーとシルヴィア・スノウの決闘を開始する! 始め!」


 オレが手を振り下ろした瞬間、スカーレットが先手を仕掛ける。


「先手必勝よ、ドレイク! ――業火の息吹(ヘルファイヤー)!」


「ゴオオオオオオオン!!」  


 スカーレットの指示で、ドレイクの喉元が真紅に輝き、燃え盛る炎が一気に解き放たれる。

 猛る火焔が一直線にワイズを狙う。


「かわして氷結の矢(フリージング・アロー)ですわ!」


「ポッホーウ!」  


 ワイズは瞬時に翼をはためかせ、旋回するように火炎を躱す。


 そして羽ばたきと同時に、鋭く冷気を帯びた氷の矢と化して急襲を仕掛ける。


「速い!」


 ドレイクは回避しきれず、氷の矢と化したワイズを胸に受ける。

 直後、突き刺さった部分から鱗が凍りつき、バリバリと音を立てて霜が広がった。


「グルルルルルル……!」

「ワイズのスキルはいかがでして?」

「なかなかやるわね。……でも、それでドレイクに傷をつけた気でいたら大間違いよ!」


 スカーレットが指を鳴らすと、ドレイクが胸の筋肉を震わせ、突き刺さったワイズを弾き飛ばした。


「ポホッ!?」


「鱗を裂けても、ドラゴンの強靭な筋肉を貫くことはできなかったみたいね! ――ドレイク! 赤竜の尻尾(レッドテール)!」


「ゴオオオオオオオン!!」  


 ドレイクの巨体がうねり、鋭利な尾がワイズめがけて鞭のように振るわれる。


「かわしなさい!」


「ポホーウ!」


 ワイズはギリギリのところで尻尾を避け、空中で身を翻す。


「さすがの反応速度ね! でも、これならどうかしら! 火炎の流星シューティングフレイム!!」


 ドレイクが喉を赤く発光させ、上空に向かって巨大な火炎球を放つ。


 直後、それが炸裂し、無数の火の雨となって降り注いだ。


「わわっ!?」

「危ねっ!」


 ギャラリーが悲鳴を上げ、慌てて後退する。


極光の羽衣(オーロラ・ヴェール)ですわ!」


 ワイズの羽に七色の光が宿り、降り注ぐ火の粉を弾いていく。


「そんな……!」


 スカーレットが驚愕する間もなく、シルヴィアが次の攻撃に移る。


「ワイズ、極寒の吹雪(コールド・ブリザード)ですわ!」


「ポッホーウ!!」


 ワイズが羽ばたき、猛烈な吹雪を起こす。


「炎で防ぐのよ、ドレイク!!」

「ゴオオオオオオオン!!」


 ドレイクが咆哮とともに火炎を吐き出し、吹雪を相殺する。


 その瞬間、蒸気が濃密に立ちこめた。


「今ですわ! 氷結の矢(フリージング・アロー)!!」


「ポッホーウ!!」


 視界を遮る蒸気の中から、氷の矢と化したワイズが奇襲を仕掛ける。


「そう来ると思ったわ、シルヴィア! ――ドレイク! ギリギリまで引きつけてから迎え撃つわよ!!」


「ゴオオオオオオオン!!」


 ドレイクが鋭い金色の爪を振るい、氷の矢となったワイズと激突。


「ううっ!?」


 甲高い音が鳴り響き、ワイズが空中で体勢を崩す。


「さすがですわね、スカーレット。最強のレッドドラゴンを従えるあなたですもの、期待以上ですわ」

「シルヴィアこそ、本当に強くなったわね」


 互いの実力を認め合いながらも、決して譲るつもりはない。


「「だけどっ!」」


 二人が同時に叫び、手をかざす。


「これで終わりよ! ――業火の息吹(ヘルファイヤー)!!」

「ゴオオオオオオオン!!」


 ドレイクが口を大きく開き、猛烈な火炎を放つ。


「わたくしの全力、お見せしますわ! ――極光の波動(オーロラ・ウェイブ)!!」


「ポッホーウ!!」


 ワイズが双眼を光らせ、七色の光線を放つ。


 二つの力がぶつかり合い、激しい衝撃波が吹き荒れた。


「うわああああああ!!」


 ギャラリーたちは一斉に避難し、オレも必死に踏ん張る。


 勝負が決するかと思われたその時——


「そこまでだ、君たち!!」


 突然、鋭く響き渡る声が場を制する。


 振り向いたオレたちの前には、上級生の女子生徒が仁王立ちしていた。


 あの人、生徒会長のレン・オーガストじゃねえか!

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