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「君たちはどう生きるか」を観て考えたこと

 映画「君たちはどう生きるか」を観た。多くの人が言っているように、すぐに内容を理解できる作品ではなく、さまざまな解釈が可能だろう。この作品からほぼ確実に言えること、その「ほぼ確実に言えること」からの推論で言えること、自分なりの解釈、についてまとめてみた。




■ほぼ確実に言えること

 次の二つのことは、ほぼ確実に言えるだろう。

(1)宮崎監督は小説「君たちはどう生きるか」を多くの人に読んでもらいたいと思っている

(2)映画では、「君たちはどう生きるか?」と宮崎監督自身からの問いが含まれている


 (1)については、映画の中で眞人が小説を読み涙を流しているシーンがあることからも、確実に言えることだろう。映画のストーリーは小説とは全く異なる。しかし、同じタイトルにしたということは、この映画には「君たちはどう生きるか?」という宮崎監督自身からの問いが含まれていると考える。




■「ほぼ確実に言えること」からの推論で言えること

 「君たちはどう生きるか?」という宮崎監督自身からの問いが含まれていると考えると、映画の中で描かれた異世界は、現代社会をファンタジー風に表現しているものと考えられる。その世界に対して「君たちはどう生きるか?」と問うているのではないだろうか。そして、そこでは主に次の二つが描かれていたと考える。

(1)多くの悪意を持った人間達

(2)悪意を持った人間とも、ミッションを共有することで「仲間」になることができ、最終的には「友達」になれる


 異世界では、風景は非常に美しく写実的に描かれているが、それとは対照的に鳥達はアニメ調に描かれており、また鳥達は全て悪意を持っている。美しい風景とのコントラストから、鳥達の悪意の醜さが際立つように描かれている。その鳥達の悪意は、現代社会での人間が持つ悪意を表現していると考える。

 しかし、悪意を持っていたサギ男と眞人は、ミッションを共有することで仲間となり、最終的には友達になった。これは、現代社会でも同様に、悪意を持った人間とも仲間となり、友達になれるということを表現していると考える。




■自分なりの解釈

 以上の考察は多くの人に同意してもらえるのではないだろうか。その考察を踏まえた上で、自分なりの解釈を行った。映画では以下のことが描かれていたと考える。なお、この解釈には大胆な仮説や論理の飛躍を多分に含んでいる。

(1)新興宗教の問題

(2)闇バイトの問題

(3)「来世は頑張る」と言って自身は何もせず社会を嘲笑しているネット民

(4)気に入らないことがあると他人を巻き添えにして自らも死のうとする者


(1)新興宗教の問題

 夏子は、多くの人を心配させることを分かっていながら、突然姿を消した。そして、眞人が助けに行ったとき、眞人に向かって「なんでこんな所へ来たの。あなたなんて大嫌い!」と言い放った。この状況から、新興宗教に嵌ってしまった人々のことを連想した。異世界が現代社会の負の側面を表現していると仮定すると、これは新興宗教の問題を表現しているように感じた。


(2)闇バイトの問題

 ペリカンは、食料の少ない異世界に連れてこられて、そこから逃げることもできず、ワラワラを食べるしかない。この状況から、闇バイトに嵌ってしまった人々のことを連想した。異世界が現代社会の負の側面を表現していると仮定すると、これは闇バイトの問題を表現しているように感じた。


(3)「来世は頑張る」と言って自身は何もせず社会を嘲笑しているネット民

 ワラワラは、その名前と、異世界で特段何もしないことから、「来世は頑張る」と言って自身は何もせず社会を嘲笑しているネット民を表現しているように感じた。


(4)気に入らないことがあると他人を巻き添えにして自らも死のうとする者

 インコ大王は、自分が世界を操れないと知ると、その世界を壊してしまった。この状況から、気に入らないことがあると他人を巻き添えにして自らも死のうとする者のことを連想した。



現代社会は以上のような負の側面をたくさん抱えている。その中で「君たちはどう生きるか」という問いが、この映画での主要なメッセージだったのではないかと考えた。


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