異形のミタマ
「頭がおかしくなっちゃった!?」から始まる彼女らは繋がりを強め、よりダークに染まっていきます。
「頭がおかしくなっちゃった!?」
美人である召矢 良のりとがさけぶ。
彼女は友人であるはずの岡使 飯に会っているはずの時間だった。
その飯がどうかしたのだろう。
彼女は叫んでいた。
あほうっぽい多数の髪の毛クルクルを確認したショートヘアーの少女・飯。
「えっ、今なんて言ったの?」
飯は思わず聞き返していた。
「あ~。頭がおかしくなっちゃった!?どうしよう。」
「私の事じゃないんでしょ、ねえ。」
「何度だって言うわ。飯の頭がおかしくなっちゃった。妄言よ。妄言を吐くようになっちゃった。」
美人の顔に似合わず、ひがんだ泣き顔を浮かべるのりと。
時間を戻すと。
「私、新たな人生を得た感じがする。」
ワクワクしながら、のりとに語る飯。
のりとは「はいはい。」と答えてみせる。ここまでは平穏だった。ここまでは。
「私、小説を書く。」
「えっ、字書けないんじゃなかったの?」
「私は生まれ変わったんだから、今からマスターするわ。」
「えっ、前にも似たような事いってなかった?」
今から一ヶ月程前の事、確かに絵を描くと、宣言していた。
「大丈夫よ。すべて、終わるから。」
本気でそう思っているようだった。
「頭がおかしくなっちゃった!?」
先の会話にもどる。
話は飛んで、良のりとと中矢 悪まほうが出会う所から、いわゆる、レズと呼ばれる人達の怪しい職業をご存知だろうか?
怪しい店を渡り歩く良のりと。趣味であるらしいのだ。
「いい子入っているわね。くらーい感じだけど、いい美人ね。」
「そうでしょ?うちの売れっ子なの。」
「紹介して頂けるかしら?」
中矢 悪まほう。
名前を読み上げてみても、やっぱり変な名前だが、それは良のりとも同じだった。むしろ、ちょうどいいくらいだった。
話を聞いてもらう。
「うちの娘みたいな子が頭がおかしくなっちゃったみたいで。」
「そーなの。」
怪しい感じを出していた悪まほうは、立ち上がって。その子会った事あるわ。
と言い出す。
「えっ?会った事あるって、まさか、この店に?」
「いいえ、うちの近所の子よ。」
「あの子いい子だけど。やっぱりおかしくなっていた?」
「そうね、思い返してみれば、おかしくなっていたわ。」
え~。
新たな情報に良のりとは感謝する前に驚いた。
「そうよね。いい子よね。あんないい子がどうして。」
良のりとはこう答える。
「やっぱりそう思う。おかしくなっちゃった!?のよね。」
美人片や美人、名前の通りの風貌であった。
軽やかな美人である良のりとと暗澹とした美人である悪まほうであったのである。