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これから

 ボクとミネがマリンの診療所のベッドで目を覚ましたのは、まだ日が昇り始めたころだった。


「無事にドラゴンの魔女化は成功したみたいですね。」


 ボクらが寝ていた部屋にはマリンがいて、何か書き仕事をしながらずっとボクらの様子を看てくれていたらしい。

 マリンが持ってきてくれた鏡を見る。

 ボクの髪は以前の通りにドラゴンと同じ紫色になっていて、見た目はほとんど前と変わっていない。

 でもボクの感覚は『憑依者』だった時とは違うとわかる。

 これが魔女化なのか。

 頭がスッキリしてる。

 前よりも魔法の形がよく見える。

 いや、魔法だけじゃない。

 この世界の物も人も以前よりもはっきり見える。

 以前のボクはドラゴンを通じてこの世界を見ていたのだと思う。

 今はボクの目でこの世界を見ることができている。

 もうボクはこの世界の人間に変わったのだ。

 ドラゴンの力も洗練された魔力として制御できるものに変わっていた。

 ボクは二度とドラゴンの力を暴走させることはないだろう。



 ミネもすっかり元通りに……なったのか?

 ピンクの髪の中に少し紫色の髪が混じっているけど。


「ミネ、具合はどう?」

「なんだがまだ魔法が使えるみたい。」

「ミネさんの身体に馴染んでしまった分のドラゴンの魔力は残ってしまったようです。でもドラゴンに変わるほどの量ではないでしょう。」

「よかった。」


 ミネの体調も大丈夫そうだとわかったのでボクらは帰ることにした。


「マリン、ありがとう。」

「いえ、リョウさんとミネさんが自らの力で乗り越えたんですよ。」

「落ち着いたらまた遊びに来るよ。」

「お待ちしています。」


 マリンに別れを告げると、ボクはドラゴンに変わりミネを背に乗せて飛び立った。

 街に戻ろう。

 そして、リリエとカミエラには謝らなきゃ。

 ……謝って許してもらえるかはわからないけれど、ちゃんと説明すれば二人はわかってくれるはずだ。

 校長は憑依者じゃなくなってしまったボクを見て何て言うかな……?

 なんとか魔法女学校に置いてもらえるように頼まないと。

 ルカも心配してるだろうな。



 ボクは街に向かって飛んだ。

 ちょうど朝日に向かうような形で眩しい。


「リョウ、ごめんね。私のせいで。」

「ミネのせいじゃないよ。全部ボクが決めたことだよ。」

「それでもいろいろとリョウに諦めさせてしまったかもしれないから……。」


 なんだそんなことか。

 確かにボクの置かれた状況は激変したけど諦めたことなんかひとつも無いんだ。


「心配しなくていいよ……ミネ。学校を卒業して魔法使いの資格が取れたらさ、一緒に世界を見に行こうよ。今のボクだったらドラゴンになってどこだって飛んでいける。どこだってミネを連れて行けるから。……そしていつか、ボクの世界にも一緒に来て欲しい。何十年後になるかわからないけど、いつかきっと、絶対に。」

「うん。私はリョウとずっと一緒にいる。約束だよ。」



 これがボクがこの世界に来てからこの世界に本当に転生するまでの物語だ。

 この時のボクとミネの約束は十五年後に意外な形で実現することになるんだけど、それはまた別の話だから、機会があったらまたね。


最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。

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