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リョウとミネ

 ボクは知らない部屋で目が覚めた。

 木で出来た天井と木の壁のある部屋、ボクが寝ていたのはちょっと硬いベッドの上だ。

 ほのかに消毒液のような匂いがする。


「リョウさん、お目覚めですか?」


 部屋のドアが開いて、白衣を着た見覚えのある黄色い髪の女の子が入ってきた。

 それはほんの数ヶ月前に中央王国で出会った王女マリンだった。


「マリン? どうしてこんなところに?」

「まあ、いろいろあって、今はここでクールと一緒に医者のようなことをしているのです。」

「そうなんだ。」


 ボクは自分が助けられたことがわかってほっとしたのと同時に、ミネの姿が見えないことに気付いて急に不安になった。

 ミネはドラゴンになってしまって、そして、確かボクと一緒に空から落下したのだ。


「ミネはどこ!?」

「今は隣の部屋で寝ていますよ。ドラゴンの魔力は私の神官の魔法で抑えています。」

「そうか、よかった……。ありがとう、マリン。」

「しかしずっとこのままというわけにはいきません。ミネさんの器から溢れてしまうドラゴンの魔力をどうにかしなければ。」


 マリンの言うとおりだ。

 ミネを元に戻さないといけない。

 ドラゴンの力を手放したいと願ってしまったボクをミネは受け入れてくれた……。

 だからミネがボクの持っていたドラゴンの力の影響でドラゴンになってしまったのはボクに責任がある。


「ボクが引き受けるよ。」

「それはリョウさんがドラゴンの力で魔女になるということですよ。」

「わかってる。……ミネに会わせてくれる?」


 ボクはマリンに頼んで、ミネの寝ている部屋に通してもらった。


「ミネ……。」


 ミネはドラゴンから人間の姿に戻って寝ていたが、首元にはドラゴンの鱗が痛々しく浮かんでいる。


「ミネさんももうすぐ目を覚ますと思います。よく話し合ってください。この部屋には誰も来ないようにしておきますから。」


 ミネの寝ている顔をもう一度見る。

 ごめんね、ミネ。

 こんなにミネのことを見たことは無かったかもしれない。

 ボクが絶対に戻してあげるから。


「……リョウ?」


 しばらくしてミネが目を開けた。


「ミネ、おはよう。大丈夫?」

「うん。なんだか落ち着いてるみたい。」

「マリンが魔法でドラゴンの魔力を抑えてくれているんだ。」

「そう……。マリン王女が……。」

「すごいね、ミネ。マリンの居場所がわかったんだね。」

「うん。……ずっとリョウの言葉も聞こえてたよ。それでギリギリ意識を保てていたの。」


 ミネが上体を起こしたのでボクはミネに水を差しだした。

 ミネは少し水を飲んだあとコップを見つめて黙っていた。


「ねえ、ミネ。ドラゴンの力なんだけど、またボクに戻せないかなと思ってる。」


 ミネはボクを見た。


「いいの? リョウはドラゴンの力を捨てたかったんでしょ?」

「……ボクに覚悟がなかったんだ。この世界で生きていく覚悟が。ドラゴンのことも性別のことも全部含めて、どんなに嫌でも、ボクが受け入れなければいけなかったんだ。」


 ボクはミネを見て、偽りのない今のボクの気持ちを伝えた。

 ミネはボクを見つめ続ける。


「リョウ……。今、女の子になれる?」

「……うん。」


 ボクはミネに言われたとおり魔法剣で女の姿に変わった。


「私もね、女の子になってるリョウを真っ直ぐに見れなかったの。実はパン屋の仕事もうまくいってなくて、魔法も使えないし、リョウがどんどん離れていってしまう気がして、私ずっと焦ってたの。」

「そうだったの、ミネ。」

「私は女の子でもリョウのことが好きだよ。」


 ミネがボクに顔を寄せて、そのままボクにキスをする。


「ボクも……ミネのことが好きだと思う。」


 今度はボクの方からミネにキスをした。

 女同士でキスをするのはなんか変な感じだけど。


「リョウ、ありがとう。……ドラゴンの力が反応してるのを感じるよ。どんどん集まってきてる。私、ドラゴンの力をリョウに返すね。」

「ミネ、どうするの?」


 ミネはボクをベッドに押し倒すとボクの服を剥ぎ取った。

 ミネはボクの女の身体の隅々まで観察し、そしてボクの持っていた魔法剣に手をかけた。

 ……ミネの身体が性転換の魔法で男に変わる。


「女の子のリョウ……。可愛いね。」

「え!? え? ちょ、ちょっと待って!?」

「大丈夫だよ、リョウ。……優しくするから。」

「あ……!」


 まだ心の準備も出来てないのにミネに抱かれてボクはもうぐちゃぐちゃな気持ちにもなったけど、でも不思議と満たされた感覚だった。

 いつの間にかボクらはマリンに魔女の魔法をかけられていて、無事にドラゴンの力はまたボクの中に収まった。

 でも以前のボクとはやっぱりどこか違っているって感じたんだ。


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