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魔法使いの国

 中央王国から東の国まで走る汽車は、元の世界のテレビで見たことがある汽車そのもので、まさに想像通りの汽車だった。

 黒い金属で出来ていて煙突から煙を出して走るらしい。


「この汽車作ったのは憑依者なんだよ。形には相当こだわったと聞いてるぜ。」


 汽車の形を見て驚くボクにシュンさんが教えてくれた。


「どうりで。」


 燃料は魔法だが走る仕組みは蒸気の力だそうで、おそらく元の世界に昔あった蒸気機関車を再現したものだと思う。

 大きな車両をいくつも引っ張る汽車は魔法車とは大きさが桁違いだから魔法で直接これを動かすことはできない、そこで蒸気となるわけだ、とシュンさんの説明に熱が入る。

 この世界に来た憑依者は電車の存在も当然知っていたはずだが、電車ではなく蒸気機関車になったのは訳があるんだろうなとボクは思った。

 この世界は雷の魔法があるのに電池や電気ってものが全く無い。

 じゃあ魔法が電力の代わりなのかというとそれもどうやら少し違うところがあるようだった。

 シュンさんに聞いたら、魔法は遠くまで伝えることができないらしい。

 だからこの世界にはスマホもインターネットも作ることはできない。

 電話ですら実現が難しい。


「信号が伝えられればいいんだから、別に魔法じゃなくなって、たとえば光でもいいと思うんだけど。」

「光の魔法はスプリング社が独占してるからな。」

「あ、そうか。」

「スプリング社だったら、私はツテがあるわよ。」


 汽車の切符を買ってきてくれたルカがボクとシュンさんの会話に混じる。


「なんだって!? ルカ、お前、スプリング社に知り合いいるのかよ!?」


 シュンさんがルカの発言に驚いて大きな声を出した。


「と言うか、私が卒業した魔法女学校の校長がスプリング社の社長なのよ。若き女社長と言われていたわ。」

「マジか!! うわー、俺も東の国行きたかったわー!」


 シュンさんは西の国に戻るそうなので、今日は東の国に旅立つボクらを見送りにきてくれたのだ。


「また今度訪ねに来てくださいよ。ボクはしばらく東の国にいるつもりなので。……ここまでありがとうございました。シュンさんがいなかったら、ボクはここまで来れなかったです。」

「おう。元気でな。」


 ボクとミネは重ねてシュンさんにお礼を言って、ルカと共に汽車に乗り込んだ。

 窓から駅のホームで見送ってくれるシュンさんに手を振った。



 やがて汽車はガタゴトとゆっくりと動き出した。

 全然スピードは速くない。

 中央王国の駅を離れて、街を離れて、ただの草原のような畑のような風景の中を汽車が走る。

 遠くに見える山は自分たちの後を追ってくるようにあまり動いてみえない。

 あれはおそらくドラゴンのいた草原の奥にあった山だった。

 窓の外を見ているのはボクだけで、ルカは早々に本を読み出している。

 ミネが荷物の中から包みを取り出した。


「リョウ、これ、お弁当。」

「ありがとう。」

「駅で買ったんだよ。このお肉は魚かな。箱の中にいろいろ入っていて珍しいね。」

「駅弁だねえ。」

「これもリョウの世界にあったもの?」

「うん。」

「東の国で魔法使いの資格を取ったらまたここに戻ってきてもいいよね。中央王国はリョウには身近だったものが多いみたい。」

「そういやあの時借りた魔法の剣、もらってきちゃったな。」

「バタバタしてたもんね。また来た時に返そう。」

「そうだね。」


 汽車での移動時間は五時間くらいらしい。

 ボクはお弁当を食べたあと殺風景な景色が続く外を眺めていたら眠くなったので少し寝た。

 もしかしたら魔法の剣の眠りの魔法が作用したかもしれないけど、ボクの記憶は曖昧だった。



「リョウ、着いたみたいだよ。」


 眠っていたボクはミネに起こされて窓の外を見た。

 汽車は背が高くて立派な屋根のある駅の中に止まっているようだった。

 歩いている人の後を当たり前のように荷物が宙に浮いて追いかけていく光景が見られる。

 これが魔法の国か。

 中央王国とはまた全然違う雰囲気の街みたいだ。


「これからまずは魔法女学校に行って校長に会うわ。」


 ルカは荷物をまとめて汽車から降りる準備をしている。


「校長って、さっき言ってたスプリング社の?」

「ええ。先に連絡して仕事を紹介してもらえるように頼んであるの。滞在中の部屋も紹介してくれるって。それにあなたのことも紹介しないとね。」

「ありがとう、ルカ。」

「礼には及ばないわよ。」


 僕らは駅の出口から街に入った。

 東の国の街は僕が想像するヨーロッパの風景のようだ。

 石で出来た建物が隙間無く建ち並ぶが、あまり背の高い建物は無くてどれも三階建てくらいで揃っていた。

 全体的に統一感のある街だなという印象を持った。

 ルカが道で馬車を止めてくれたので僕らはそれに乗り込んだ。

 ルカが魔法女学校に行くように馬車の御者に告げた。


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