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ドラゴンと女騎士

「さて、さきほども言いましたが、これから向かう王墓には私のご先祖様たちが眠っています。その中の三人の偉大な王から課される試練に挑み、古き王へ祈りを捧げ王の宝を授かることが目的です。」

「竜の王だっけ?」

「はい、竜の王の試練クリアの条件はドラゴンの協力を得ることです。五百年前この国を創った竜の王はドラゴンを使役する魔法を使えました。……残念ながら今は誰も使うことができません。」

「それじゃ今まではどうしてたの?」

「記録では、ドラゴンを捕まえてきて無理矢理に力を利用したり、ドラゴンの魔力を奪って代用したり……。」

「へぇ……。」

「その次の戦士の王の試練ではガーディアンと戦い力を示すことになります。ここの戦いもリョウさんにお願いできればと。」

「ティアラさんの方が全然強いと思うけど。」

「ガーディアンは特殊な鉱石で出来ていて魔法が不得手な剣士のティアラでは不利なのです。本来は魔法の力で打ち勝つ試練なのです。」

「ルカは?」

「私は関係ないじゃない。」


 なるほど、ルカは同行してくれてはいるがマリンを助けるつもりは全く無いらしい。


「うーん。」


 ボクが唸ってミネをちらっと見ると、ボクに頑張れと拳をにぎったポーズでアピールしてくる。


「仕方ない、やってみるか。魔法ならなんとかなるかもしれないし。ガーディアンの弱点になる魔法の種類とかある?」

「ガーディアンは魔法陣から出せば動かなくなります。なので風の魔法で押すという方法が有効だと思います。」

「うーん……。」

「最後の金貨の王の試練ですが、伝承では知恵を示す試練になります。ですが、これはもう答えが伝わっているので問題ありません。」

「……じゃあ一番大変そうなのはガーディアンってことかな?」

「そうですね。今までは竜の王の試練が一番大変でしたが今回はリョウさんに協力していただけるので。」


 ……まあ、試練と言ったって子孫を殺してしまうような危ないものではないよな。

 今までの王様たちも代々乗り越えてきたんだろうし。

 ……でも、何か大事なことを忘れているような気がする。


「何か気になることがありますか?」


 マリンがボクが考え込んでいるのを見たからか尋ねた。


「いや、なんか、本当にそんな簡単なのかなって。」

「……え?」


 マリンの表情が一瞬曇った。


「リョウ! 大丈夫だよ! いざとなったら王女もティアラさんもコウタさんだっているし、ルカも助けてくれるから!」


 ミネはボクが不安になってると思ったのか元気づけようとそう言った。


「いや、勝手に決めないでよ。……まあ、本当にどうしようもなくなったらわからないけど。」


 ルカは困惑したように答えた。


「ルカ、ありがとう。」


 何だかんだ言ってるけどルカは頼りにできるとボクは思うようになっていた。


「そういえばティアラとコウタさんの帰りが遅いですね。」


 マリンがそう言った時、バタンと宿の隣の部屋に誰かが入る音がした。

 マリンはティアラさんに今日泊まる宿のことは伝えてあると言っていた。


「あ、ティアラさんたちが着いたのかな?」


 ルカが訝しげに言った。


「……でも今聞こえた扉が閉まる音は一回だったわよね。」


 たしかに。それって一人だけで帰ってきたってことか?


「ティアラがコウタさんを置いて一人だけで帰ってくることはありえません。ちょっと様子を見に行きましょう。何か嫌な予感がします。」



 ボクらは隣の部屋の扉をノックしてティアラさんの名前を呼ぶ。

 返事はない。でも部屋の中から声が漏れ聞こえる気がする。


「……開けてみましょうか。」


 マリンが扉のノブを回すと鍵がかかっていなかったのかすんなりと扉は開いた。


「あっ!」


 部屋の中を見たミネが声を上げた。


「え、何?」

「リョウは見ちゃダメ!」

「え?」


 ボクはすぐにミネの手で目を覆われたので部屋の中の様子を見れなかった。


「ティアラ! コウタさん! あなたたち!!」


 聞こえてきたマリンの声には怒りが含まれていた。


「え? 二人が一緒にいるの?」


「あらら……。」


 ルカも呆れたような声だ。

 いったい何が起こってるんだ?


「ちょっとミネ。ボクも何が起こってるか知りたいよ。」


 ボクはミネの手をどけてようやく部屋の中の様子がわかった。

 どうやら、ベッドの上でコウタさんがティアラさんの服を脱がしている現場にボクらは乗り込んだということだった。


「あ……王女……。」


「あ、あの! これはその、ごめんなさい! でも、なぜか体が気付いたらこうなってしまって……。」


 コウタさんが必死に言い訳をするが、口では謝ってるのに手はティアラさんを離そうとしないどころかまだ服を脱がすのをやめようとしない。


「ドラゴンの憑依者はどうしてこうなってしまうのでしょう……!」


 マリンが杖をコウタさんに向けて呪文を唱えるとコウタさんは意識を失ってベッドから落ち、ゴンっと床に倒れ込んだ。

 眠りの魔法をかけたのだ。


「……コウタさん……!」


 ティアラさんがコウタさんを心配して近寄ろうとする。

 ティアラさんの頬は赤く雰囲気も艶めかしいというかなんかおかしい。

 おそらくドラゴンの唾液の影響を受けていると思う。


「ティアラ! ドラゴンの性質は知ってるはずでしょう? 何をやっているの!?」

「……申し訳ありません。……つい、……雰囲気に流されてしまって……。」

「はあ……。自分の部屋に行きなさい。」


 コウタさんのことを心配しつつ、脱がされた服を抱えて慌ててティアラさんは部屋を出ていった。

 ボクらも床に転がっているコウタさんのことはそのままにして部屋を出た。


「それでは、明日は朝早いですから私たちももう休みましょうか!」


 マリンがプンプンと怒ったままそう言って、今日はここで解散となった。

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