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ドラゴンVS騎士団!

「何が元の世界に戻す、だ!?」


 感覚でわかる。

 これは全くそんな感じじゃない。

 ここで気を失ったら二度と目を覚まさないような気がする。

 ……地面の魔法陣は消せなそうだ。

 つまり、早くこの建物から出ないといけない。

 なりふり構ってる場合じゃない。

 ボクはグッと体に力を入れて起き上がってシーザーを睨んだ。

 シーザーは余裕の笑みを浮かべている。

 ボクは炎の魔法と風の魔法を組み合わせて最大火力の炎を天井に向けて放出した。

 天井の窓を貫いて、更にはその周囲の屋根も焦がして大きめの穴が空いた。

 その穴目指してボクがもう一度飛び上がろうとした時、ジクリと尻尾に痛みが走った。


「痛い!?」


 尻尾の方を見ると、茶髪の騎士がボクの尻尾に剣を突き立てていた。


「はあ!? お前、何してんだよ!?」


 ボクは尻尾を振り回して茶髪の騎士を吹っ飛ばした。

 騎士は勢いよく壁に叩きつけられた。

 やばっ、まさか死んでないよな!?

 と、そちらに気を取られているうちに急に銀髪の騎士が目の前に現れてボクの頭を切りつけようとするので、ボクは咄嗟にそれを腕で受けて振り払った。

 剣の刃が当たった腕のところから血が出ている……。

 やっぱり騎士の剣はドラゴンの皮膚にも傷を付けられるのか。

 三人がかりで襲ってくるなんて……!

 ボクは怒りと共に恐怖も感じていた。

 やっかいな魔法陣からすぐにも逃れたい状況で、脅威となる剣を持った騎士たちに囲まれている。



「そんなに暴れないでください。あなたのそのドラゴンの体を傷つけたくはないのです。」


 シーザーはそう言いつつ、目に見えない早さで動いてボクの後ろ足を切りつけた。


「ああ!」


 ボクは後ろ足だけで立てなくなって四つん這いの格好になった。


「殺すつもりはありません。ただ、そのドラゴンを私たちに返していただければいいのです。」


 シーザーの勝ち誇ったような顔が最高にムカツク!

 炎を浴びせてやりたいけれど、実際に人間に向けて魔法を使うのはやっぱり怖い。



 ボクは煮えくり返るような気持ちでなんとか意識を保っているといった感じで、もう限界が近くなってきていた。

 いつ寝落ちみたいに意識を失うかわからない。

 意識を失ってしまったらボクはどうなるんだ……!?



「リョウ!」


 ミネの声だ……。

 建物の扉が開いてミネたちが走り寄ってくるのが霞んだ目にボヤッと見えた。


「リョウさん! 今すぐ、人間の姿に戻ってください!」


 マリンが叫んでいる。


「戻れない……! 頭の中がゴチャゴチャになって、ドラゴンから戻る時の気持ちに集中できない!!」


 ボクは這いながら、ミネの方に近づこうとする。


「おっと。これはマリン王女。こちらは危険ですのでお下がりください。」


 シーザーがボクとミネたちの間に立って行く手を塞ぐ。


「そこを通しなさい! シーザー!」


 マリンが怒鳴る。

 ルカが氷の魔法で騎士たちを牽制している。


「……邪魔しないでください……。」


 黒髪の女騎士が素早く動いてシーザーの喉元に剣先を向けた。

 シーザーは少し後ずさりする。



「リョウ! 戻って!」


 ミネがシーザーの脇を通り抜けてボクに抱きついた。

 そうか、ドラゴンの本能が反応すればボクは人間の姿に戻れるかも。

 ……でも全然ドラゴンから戻りそうもない。

 それくらい激しい怒りと混乱の感情に体が支配されてしまっている。


「ルカさん、私たちも行きましょう!」

「え、なんで私も?」


 マリンがルカの手を引いてこちらに走ってきた。


「えい!」


 ルカとマリンもボクに抱きつく。

 ミネがボクのドラゴンの首にぶら下がり、ルカがボクの腹側にくっついて、マリンがボクの背中側に体を押しつけている形だ。


「はあ、はあ……。」


 ドラゴンの本能から上がって来る感情に、ボクの混乱した感情が押し流されていくような感じがして、気がついたらボクの目前には地面があった。

 ボクの上に乗っているミネとルカとマリンの体の重さを感じて、人間の姿に戻った実感がある。

 どうやら人間に戻れたようだ。

 地面の魔法陣の赤い光も消えていた。


「憑依術を解除する魔法は、人間の姿になっている者には効果がありません。」


 そういうことか……。

 ボクはもう少しでこの世界から消されるところだったのだ。



「シーザー、これはどういうことですか? お兄様の命令ですか?」

「その通りです、マリン王女。貴重なドラゴンをドラゴンのまま連れてこい、とのご命令です。」

「リョウさんは私の大事な客人です。いくらお兄様でも、こんなことは許しません!」

「わかりました。今日のところは引き下がりましょう。いくぞ、お前たち!」


 シーザーの後に銀髪の騎士と茶髪の騎士が続き、あの赤い髪の騎士クールもこちらを振り返ることなく去っていった。


「……クールさん、王子派になっちゃったんですかね……?」

「元々クールは私にもお兄様にも中立でした。……クールがそう決めたなら、私は受け入れます。」


 黒髪の女騎士とマリンは、騎士たちの去った後をしばらく見つめていた。


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