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王都へ

 ボクは地面に転落したまま動けず起き上がれなかった。

 少し離れたところに魔女が老婆の姿に戻って倒れているのが見える。



「リョウ! 大丈夫!?」

「待って!」


 ボクに近づこうとするミネを、ルカが制止した。


「まだ私と魔女との契約の魔法が消えていない。魔女は生きてるわ。」


 だが、魔女は倒れたままピクリとも動こうとしない。


「でもこのままじゃ、リョウの怪我が……! 魔法で治せないの!?」

「……私は学校で回復魔法の免許を取ってない。……だから杖にも入ってない。回復魔法は使えないわ。」

「そんな……。リョウ! せめて薬を塗るから、人間の姿に戻れない!?」

「……ボクは大丈夫だよ、ミネ。それに何故だかドラゴンの姿の方が楽なんだ。」


 そう。

 何故だかドラゴンの姿の方が痛みが鈍い……。

 直接的な痛みというより、何かを通して痛いとか熱いとかという感覚を感じているということが伝わる、というような感じなのだ。

 しかし、ミネの慌てようを見ると相当酷いことになってるのかな。

 ボクが痛みを感じなくてもドラゴンの体が傷に耐えられなかったらボクも死んでしまうかもしれない……。



 ルカが魔女にトドメを刺そうと、ゆっくりと魔女に近づいていった。

 ルカは杖を構えて氷をヤリのような形にすると、魔女に向け放った。

 ズドドッと魔女に氷のヤリが突き刺さる。


「……手応えがない!?」


 ルカが驚いて声を上げた。

 氷に貫かれたと思われた魔女の体がクネクネと動いて蛇の形になり、息をつく間もなくスルスルと動いて、ルカの体に巻き付き締め上げた!


「ああ!」


 ルカは杖を抱えているおかげで首は絞められていないようだが、魔法を使えるような状態でもないようだ。

 マズい……。

 ボクは動けないし、魔法を使っても絶対にルカに当たってしまう……。



 前触れもなく急にそれは起こった。

 何もできないと焦っていたボクの視界の端にストンと白い影が現れたかと思うと、蛇に捕らわれたルカの後ろをスッと移動した。

 次の瞬間、ルカに巻き付いていた蛇がダラリと力が抜けたようになって落ちる。


「何?」


 瞬きの間に、誰もいなかったはずのルカの周りに白い鎧を着た男女が立っていた。


「あれは……、見たことあるぜ。中央王国の騎士だ。」


 シュンさんが言った。

 赤い髪の男の騎士が持っていた剣を鞘に収めた。

 あいつが魔女をやったのか?

 黒髪の女の騎士が蛇のままの姿の魔女を摘まんで拾い上げ、壺のような容器に入れた。

 鎧を着ていない黄色い髪の少女が、持っていた杖をルカに向けると、ルカの体が淡い光に包まれる。


「ルカさん。お久しぶりですね。魔法女学校以来でしょうか? 再会できて嬉しいです。」

「……マリン。どうして中央王国の騎士たちがこんなところに?」

「私たちは、この魔女ビューティーリングを中央王国民の犯罪者として追っていたのです。」

「ずっと隠れて見てたってわけ?」

「まあ。私たちはさっき着いたところですよ。」


 黄色い髪の少女は天使のような笑みを浮かべる。



 赤い髪の騎士がボクの方を見て言った。


「このドラゴンはどうされますか? マリン王女。」

「まずは傷の手当てをしましょうか。」


 マリンと呼ばれた黄色い髪の少女がボクに杖を向けるとボクの体もルカと同じように淡い光に包まれて、それで背中の傷の痛みが引いていくのがわかった。

 これはもしかして回復魔法?


「このドラゴンは憑依者です。教会の許可を得ていない憑依者は違法だ。」


 赤い髪の騎士が腰の剣に手をかける。


「やめて!」


 ミネがボクの前に立って、赤い髪の騎士からボクを庇った。


「やめなさい、クール。その者たちは中央王国まで連れて行きます。」


 マリンが赤い髪の騎士クールを諫めると、


「承知しました。」


と言って、クールはボクに背を向けた。

 黒髪の女の騎士はずっと黙ったままだ。



 マリンの回復魔法によって傷が癒えたのを感じたボクは人間の姿に戻ったが、そのまま両腕を不思議な縄で縛られ、ミネとルカとシュンさんたちと一緒に騎士たちの馬車に入れられた。

 縄で縛られているのはボクだけだ。


「リョウ、痛くない?」


 ミネが心配そうにボクの顔を見たが、ボクは


「うん。傷も治してもらったし、このまま大人しく従うよ。」


と答えるしかなかった。

 あの魔女を一瞬で仕留めた騎士に今のボクが敵うとは思えなかった。



 ああ。こんな形で中央王国に行くことになるとは思わなかったな……。

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