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さらば街よ?

 ボクのドラゴンの唾液には女性の身体に作用する効果がある……。

 それは村の温泉に泊まった時にミネが言っていたことだった。

 しかし、それを欲しがる人間がいるなんてボクは考えもしなかった。


「この小瓶一本分で、これだけの金額でどうですかぁ?」

「こんなに?」


 プリンから提示された金額は、ボクとミネの二人が中央王国に行くための旅費としては充分すぎるものだった。

 こんな簡単なことでこれだけのお金が手に入るなら……。

 ボクは了承して、小指ほどの大きさのその小瓶に唾液を入れた。

 プリンに見られながらダラリと唾を出すのはちょっと恥ずかしかった。

 十分くらいかけて小瓶を唾液で満たすとプリンに渡した。


「はい、じゃあこれは約束のお金ですぅ。……ちゃんと確かめてくださいねぇ。」


 プリンにお金の入った袋を渡されてそのままでいたボクに、プリンはちゃんと袋の中を確かめるように促した。

 確かにちゃんとお金が入っていた。

 この世界に来てから今まで見たことがないくらいの大金が。


「それじゃあ、お元気でぇ。」


 プリンは笑顔でボクに手を振って、そのままどこかに行ってしまった。

 ボクは急に大金を手に入れてしまって、体が震えるような、足が地についていないような感じがしてしばらく気持ちが落ち着かず歩くのも恐くてその場から動けずにいた。

 ……そうだ、ミネに言わなきゃ。

 これで中央王国に行けるんだ。



「あれ、どうしたの? リョウ? 今日はもう仕事は終わったの?」


 時間はお昼を過ぎて日が少し傾き始めた頃で、ミネの弁当屋はちょうど来客が少なくなる時間帯だった。


「あ……。仕事は……、その、辞めることになってしまって……。でも、見て、このお金! これで中央王国に行けるよ!」


 ボクの話を聞いてボクの持っているお金を見たミネの顔が険しくなって、お金の袋を持っていたボクの手をミネは強く掴んだ。


「え? 何があったの? このお金は何!?」

「仕事は、シュンさんがボクを中央王国の人間だと勘違いしてたんだって……。それで、ボクが証を持っていないことを知って、もう雇えないって言われて……。このお金は、さっきたまたま、この間ボクを襲った二人のうちの一人に会って、それで……ボクの唾液を買いたいって……。」


 ボクの目を見てボクの話を黙って聞いているミネの目が赤くなっていく。

 表情は険しいままだ。

 ミネが怒っているのがボクにもわかった。

 言い訳がましく説明するボクの声も、だんだんトーンが落ちていく……。


「……わかった。仕事のことは残念だったね……。でも、このお金はダメだと思う。」

「……うん。」

「会ったのは青い子じゃない方の子なんだね。……私はあの子は信用できない。お金も返して、リョウの唾液もちゃんと返してもらおう。」

「……うん。」


 ミネに怒られてすっかり気分が落ち込んでしまったボクの頭をミネはそっと撫でた。


「どこにいけば会えるかわかる?」

「たしか、ボクたちと同じ宿に泊まってるって言ってた。」

「今から行こう。」


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