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ミネの秘密の行動

 ある夜、横に寝ていたミネが布団から出て行く気配を感じてボクは目を覚ました。

 まだ外は暗かったので最初はトイレに行ったのかと思ってあまり気にせず再び目を瞑ったが、ミネはなかなか戻ってはこなかった。


「ミネ?」


 さすがに時間が経ちすぎていておかしいと感じて、起きて外に出てみたけど周囲にミネの姿はなかった。


「ん? この匂いは……。」


 洞窟の外にミネでもダイチでもない誰か別の人間の匂いが残っている。

 匂いは月明かりだけが頼りの暗い道の向こうに続いていた。

 どうやらミネの匂いも一緒だ。

 ボクは胸騒ぎがしてミネの匂いの後を追った。



 ミネの匂いは、村の方に向かっているようだった。

 こんな夜更けに村に行くなんて……。

 ボクは夜の道を用心深く、それでもできるだけ早足で村の方へ、ミネの匂いを追いかけた。



 村の上にかかるまだ暗い空には月も星もはっきり見える。

 村の家々は灯りがついておらず寝静まっていた。

 ……いや、村の奥の教会のような建物の窓や扉の隙間からだけ、オレンジ色の光が漏れている。

 ボクは暗闇に身を隠すように静かに物音を立てず、村の中に入って、教会のような建物に近づいた。

 建物の中から人の話し声が聞こえてくる。

 ボクは扉の前に潜んでそっと中を伺った。

 何人もの人間がこの建物の中に集まっている気配を感じる。



「どうしてですか!? ドラゴンじゃなくなったリョウを殺さないで村に迎え入れると、約束してくれたじゃないですか!」


 ミネの声だった。


「ドラゴンを殺すな、だと? ようやくここまで来て、最後の最後で?」


 しわがれた男の声も聞こえてきた。


「リョウは悪い人間じゃありません。それをわかってくれたと思ったのに!」

「お前のような小娘との約束など何の意味もない。お前、あのドラゴンを手懐けられたと思っていい気になってるんじゃないだろうな? Sランクの魔物のドラゴンに憑依術を使ったのはこのワシだぞ!」


 ボクはミネたちが何を言っているのか理解が追いつかなかった。

 ボクを殺す?

 ドラゴンが魔物?

 憑依術って?



「……どうやら、招かれざる客のようだ。」


 急にギィと目の前の扉が開き、ボクは照明の眩しい光に照らされて、うわっ、と慌てて扉から離れて隠れようとしたが、すでに建物の中の村人たちは全員ボクの姿を捉えていた。


「リョウ!」


 ミネが泣きそうな顔でこちらを見ている。

 建物から村人たちが出てきて、建物の前の広場でボクを取り囲んだ。

 村人たちの中には槍のような武器を持って武装している者もいる。


「ちょうど、こちらから出向こうと思っていたのだ。手間が省けたな。マヌケなドラゴンめ。」


 さきほど聞こえたしわがれた声は、目の前の杖を持った初老の男から発せられていた。

 男の格好は神官のような牧師のような服で、村人たちとは明らかに異質のものだった。

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