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バイオレンス・ルーラー

少し文字数が多めです。次話はもしかすると

今夜に投稿するかもしれません。

92話


「最後に、お前達は偶然にもここで再開し、何故か

アーロンがカルロスに暴行を働いていた。アーロン、

何故仲間に暴力を振るった?」


 フレイは、相変わらず鋭い眼光を外すことなく、

アーロンを尋問していた。


「…………彼が、あまりにも情けなく、アースヒーローズ

のリーダーとして見ていられず、ついカッとなって手

をあげてしまいました」


「情けないというと、魔王軍の精鋭に負けたことか?」


「はい。悔恨の念を胸に抱き、草原を歩んでいた時、

赤ゴリラ(?)にいたぶられ、喘ぎ声をあげたカルロス

達の声が聞こえました。刹那、仲間への怒りで、私は

最速の疾走を行い、駆けつけました。…………しかし、

奴は余程素早かったのか、既に消えており、彼の情け

ない姿を見た私は、奴への怒りをつい…………彼に向けて

しまいました…………!!」


「成程、良く分かった。因みに、このような事は、

ちょっとした連携ミス等が起きた時、普段から起き

がちか?」


「…………それなりに。いけないと理解していても、彼や

仲間に強くあってほしい、カッコ良くあってほしい、

完璧であってほしいと思うがあまり、感情的になって

しまいます…………!!!!」


「ギルド長! 俺からもお願いです!! どうか…………、

アーロンの兄貴のパワハラを、多めに見てやって

いただけますか!!」


「(身勝手な暴論によるパワハラを受け入れるとは、

随分と良く飼い慣らされているな)お前らの情状は、

可能な限り反映してやる。だがアーロン、明から様に

死にかけの奴へのリンチ行為は、歴とした過度な暴力

だと覚えておけ」


「ありがとうございます!」

「肝に命じ…………、感謝…………いたします」


 希望を考慮してもらった2人は、それぞれ温度差の

ある感謝を述べた。


「さてと、俺は辺境の大地へ向かう。お前らは病院へ

直行しろ」


 フレイは、竜素材の回収及び、アーロンの職務放棄

を裏付ける決定的な証拠を確保しに、この場を発とう

とした。


「!、何故壊滅したかの地へ??」


 しかしアーロンは、フレイが壊滅しているだろうと

伝えた場所へ向かうことに、当然の違和感を抱いた。


「10分程前、かの地を震源とする"揺れ"が観測された。

お前の証言で出たシルバードラゴンの行方も気になる。

即座に確認の必要があるということだ」


「いやいや! 地震の跡なんか見に行ってどうするん

だよ!?」


「そうです! 大方、監視員が最終兵器の爆弾でも発動

させてぇ、厄災との道ずれをねらったのでしょう!

ですが、そんなものが通用する筈ありませぇん!

何せ、この俺ですら厄災には敵いませんから。ギルド

長も流石に歯が立t…ッヒイイイイッッッ!!!?」

「ガアッッッ!??」


 自身の理論を勝手に話していた2人だったが、

不意に増大した殺気に恐れ戦いた。


「テメェらよぉ、何か勘違いしてねぇか? 俺が厄災

"ごとき"に歯が立たねぇだと? 的外れな発言も大概に

しろ」


「い、いや…………カルロスの斬撃もローズの魔法も

効かなかったんですよ…………」

「幾らアンタでm…」


「稚拙な弁論を並べるな。そんなものが通用しねぇの

は、当然だ。俺が何故、SS級に達したか知らねぇのか?」


「ええっとぉ…………」

「分かりません!!」


「厄災を殺したからだ。確かに、アースヒーローズ

より飛び抜けた力も速さも、俺には無ぇ。だがな、

総合的な速力は俺に部がある上に、奴等に刃を通す

"技と覚悟"の次元が違い過ぎるんだよ」


「技…………」

「覚悟…………」


「その点、お前らは何だ? 片や雑な斬撃の畳み掛けが

通じねぇだけで、防衛放棄する程取り乱し、片や厄災

ですらねぇ上級モンスターの群れごときに、瀕死まで

追い込まれ、いたぶられた。"勇者候補"が聞いて呆れる

弱さだな」


 当然、フレイはこの2人に何を言っても無駄と

分かっているが、自身とあまりにもかけ離れた単騎

の実力を述べ、心底呆れた様子を見せた。


「…………おやおやフレイギルド長。私達、半年チョイで

今の実力まで伸びたのですよぉ?」


「そうだ。半ロートルのアンタなんざ、後2ヶ月

あれば余裕で超えれるんだよ」


「ってか、今でもタッグなら、私達の方が強いと

思いますよぉ?」


「兄貴の速度と俺の一撃必殺。勝ち目ねぇよなぁ??

痛い目会う前に発言取り消しなーwwwww」


 味方が1人いることを思い出した2人は、フレイの

殺気にぶつけるように、自らの殺気を全開にし始めた。


「…………少し教育が必要らしいな」


 だが、フレイは少しも臆することなく、2人を睨み

据えた。


『フワッ……』

(光速移動!!)

「オオオオッッ!!!」


 アーロンは剣に手をかける予備動作をしつつ、光と

なってフレイに直進した。カルロスも、2人に遠く

及ばない最高速度で距離を詰めだす。


 だが、次に起きた結果は、2人の予想だにしない

ものとなった。


『ガッ!!』

「カァ…ヒュ(苦しい)!?」


 まず、フレイの突き出した手のひらに、光状態の

アーロンが衝突。光から質量ある肉体に戻った

タイミングで、フレイの手のひらに握力が籠り、

結果、首を掴んだ。


「うおo…おおお!?」

『ブチィ!!』

『ガッ!ガッ!!ギュッッ!!!』

「ッ……ッッ…………!!」


 結果にカルロスが驚き始めた頃、フレイが空いた

左手で、アーロンの剣を皮ベルトを引きちぎる形で

強引に奪う。


 剣を奪われた事に気づいたアーロンが、右拳と右膝

を繰り出すが、意図も容易くフレイの左腕、左足に

受け流され、アーロンが左抜き手を構えた時には、

フレイは既にチョークスリーパーを完成させていた。


「兄貴ィィィイイイイイイイ!!!!」


「…………!!…………(力が…………意識がぁ…………クソォ

…………)!!!」


 "最強"を瞬殺して、肩書きを奪う筈が、意図も容易く

瞬殺される結果となった。


「幾ら速くてもな、僅かでも予備動作がある時点で、

俺に勝てる可能性は限りなく低くなるぜ」

「…………」


「兄貴を放せぇ! でないと、テメェをミンチにしてやる!!」


「やってみろよ。ここだと兄貴ごとミンチカツだがな」


「ぐぅううっっ!!」


 炎のカーテンに包まれ、行動範囲が制限される中、

アーロンを避けてフレイのみに斬撃を与えられる

技量が、カルロスにある筈がなかった。


「傷痕からして、燃やされたばかりで火が怖いようだな」


「何が言いてぇ!」


 また、


「そんなに臆病だから、なにも成せずに負けるんだよ」

『ゴオオオオッッ!!』

「あぢぃいぃいいいい!!!」


 そもそもスピードが圧倒的に不足しており、背後の

カーテンから不意打ち気味に放たれた業火に焼かれた。


「俺を舐め腐り、安易に斬り合いを挑むからこうなる。

冒険者時代なら、決闘の代償として命も焼き付く

している所だったぞ」


「参りました! これ以上は勘弁して下さい!!」


 カルロスはすっかり痛みを恐れるようになり、

土下座で降参を表明した。


「軟弱だな。で? お前はどうなんだ? アーロン」


(…………最強は俺様なんだよぉ)


 アーロンは酸欠の影響もあり、フレイの言葉が耳に

入っていないようだった。


「どうなのか、聞いている」

『ジュオオオオオオッッッ!!』

「ギャアーージャジャジャジャジャーーーー!!!」


 アーロンは、答えなかった罰と、気付けを兼ねて、

フレイの熱された右膝当てを背中に押し付けられ、

文字通り焼きを入れられた。


「降参するか、心魂を燃やして名誉を守り抜くか、

選べ」


 敢えて殺気と焼きの手を抜かず、アーロンの魂に

問いかけた。


「こうさーーーーーーん!!!」

『ジュウウゥゥゥ…………』


 すると、帰ってきたのは案の定、「即答の降参」

だった。


「部下が部下ならリーダーもこんなものか」


「兄貴っ!」


 これ以上は無駄とばかりに、フレイはアーロンを

カルロスに投げ渡した。


「俺はなぁ、お前らがチーム単位で、俺を差し置いて

最強と呼ばれること事態はハッキリいって構わねえ、

どうでも良いと思っている」


 直後、フレイが徐に、自らの考えを話し始めた。


「へ??」

「ゼェ…………そりゃまた、どう言った意味合いでしょう

か?」


「今の世界は、目に見るより明らかに、魔王軍に蹂躙

されつつある。そんな時に、厄災を穿つ俺に匹敵する

戦力が出てくれば、人々は安心を覚え、何よりも魔王

討伐の確実性が飛躍的に上がる。更に、その戦力に

伸び代があり、名誉で研鑽の気合いが入るのであれば、

俺は喜んで人類最強の座を明け渡そうと考えた!」


 現在の世界情勢、そこに現れたアースヒーローズと

いう超戦力。数ヵ月前まで、彼が考えていた想いが、

語られていく。


「「…………」」


「だが…………、今のお前らはどうだ。俺との決闘では、

片や速度に奢り、俺の迎撃を全く対応できねぇ。片や

炎に身を焦がす覚悟もなく、狭い視野の範囲外から

簡単に焼かれる。これが最強のパーティーメンバー

だと? 笑わせるな!! 上級冒険者の、特別枠に属する

者が、この体たらくで務まる訳がねぇだろう!! 女王

様の召喚特典が無くとも、お前達以外のA級冒険者、

1月前までお前達がそうだったB級冒険者も、皆腹を

括って死線に身を投じている!! 有り余る才能に傲る

ような真似をしているのは、お前達だけだ!!」


 そして、今の2人の現状を見本に、現在の彼等への

想いと、他の者達との覚悟の差を突きつける。


「…………(強けりゃ金も女も自由だろ。なぁ? 兄貴)」

「…………(当然だ。どんなに強くても、底辺上がりに

は、神に等しい私達の、高貴な権限を理解できない

ということなのsa!)」


(我ながら、無駄な時間を過ごしているな…………)


 真剣に聞く振りをし、脳内で見当違いな事を考えて

いる2人を見て、フレイも無駄なことを言っている

自覚はあった。


「(それでもだ、)成長の停滞に、各所から聞こえる悪い

噂。世論が最早逆風になりつつあるお前らでも、自分

に出来ることで平和に貢献し、悪い噂を噂に過ぎねぇ

と証明するのであれば、俺はお前らを冒険者から排除

しようとはしねぇ」


 しかし、無駄であれど、言わずにはいられなかった。


「だがな、お前らに貢献と成長の見込みが無いだけで

なく、噂通りのゴミクズだと証明された暁には、俺は

ギルド長の立場をかなぐり捨ててでも、お前らに地獄

を見せてやる。取り敢えず、"覚悟"は持っとけよ」


 一瞬だが、フルパワーの殺気を2人に向け、重い

忠告をした。


「ッッ…………!!」


 カルロスは、完全にひれ伏して何も言えなくなった。


「その…………仮に私達が噂通りだとして…………、私達の

断罪は、ギルド長のポストを捨ててでも…………、やる

必要が…………あるのでしょうか…………?」


「あ? 俺は元々ギルド長なんて、直ぐに有能な奴に

引き継ぐつもりだったんだよ。就任したのも、俺が

就かねぇとギルドの腐敗が止められなかったからに

過ぎねぇ。巨悪の断罪を成せるなら、ポストなんざ

失っても構わねぇよ。


客観的にどうかは知らねぇが、最善を尽くしてきた

つもりではある。今回もお前の証言から、カネで勝手

な行動を取る、不届き者の存在が示唆されたが、前

よりは随分と空気が美味くなったな」


「…………金を受け取った奴等、殺すのですか?」


 証言の主、カルロスが疑問を投げ掛けた。


「法と規約に基づき、恐らく重罰金と謹慎で済ませる。

まぁ、後からドス黒い余罪が出てくれば、そうなる

可能性もあるがな。お前らも自分の立場を考えて動く

ことだ。職務放棄に過度なパワハラ、決して軽い罪

じゃねぇぞ。…………まぁ、後者は俺も細心の注意が

必要な事だがな」


「了解…………です」


「では、お互いの目的地へ向かおう。じゃあな」


 フレイは別れを告げ、炎熱で飛行を開始した。


(無防備な背中、待ってましたぁ!!)

『チャキィィ』


 だが、アーロンは、この瞬間を追い求めていた。

過去一番クラスに集中力を高め、音を気にせず抜剣

を始めた。


 音位、直ぐに追い越せるからだ。


(アホが)

『パチン!』

『チャキ』


 だが、それと同時に、フレイはアーロン側の右手で

抜刀を始め、死角の左手で指を鳴らした。


(光速移動ゥゥウウウウ!!!)


 そうとも知らず、アーロンは心の中で移動技を叫んだ。


『ボオオオオオッッッ!!』


 アーロンを構成する素粒子が、光子となる直前、

フレイとの間に炎の壁が、薄く早く広がった。


「もr…ゥアチャアアアアアアッッッ!?」


 壁は案の定、アーロンの光子化を解除し、元に

戻った彼の肉体前面を焼き焦がした。


「兄貴ぃぃいいいい!!」


 そして、カルロスの叫びが木霊する。


「出会い頭にカーテンを作った時点で察しろ。それと

殺気を撒きすぎにも程がある」

『ドォォォン!!!』


 捨て台詞を吐いたフレイは、炎の盾を破られた

際、迎撃に使うつもりだった剣を納め、ジェット機

さながらの迫力で、この場を去った。


「カルロス! 俺の顔は無事か!?」


「まっ、真っ黒焦げです!」


「ならば、病院に行くしかあるまい! ついでにお前も

診てやる! 俺を讃えろ!!」


「流石です兄貴ィ!! 兄貴は頭脳明晰で機転も効き、

そしてっ、優スィ~~!!!!」


「分かってるじゃないかぁ、牧羊犬(カルロォス)。私に掴まり

たまえ」

「ハイィ!!」


 アーロンは、カルロスが自身の肩に手を置いたこと

を確認し、


(光速移動!)


 移動スキルで場を離脱した。


~ウァームタウン~


「ハッ!!…………ハァッ!!!…………」


 魔法使い・サンドラが、過呼吸状態となって、誰か

の腰に身体を預けている。


「大丈夫、アッシィが守りゅっスゥッ!」


 その相手は、錫杖を構えつつも、恐怖と筋肉疲労で

震えている、同じく魔法使いのサタヤナだった。


 彼女が向く方向では、


「離せって言っただろ? お前も殺すぞ??」


 錫杖を掴まれ、今にも魔法を放ちかねない魔法使い

ローズと、


「いいや、無関係な同僚に因縁をつけて、暴行に走る

奴には、魔法なんて撃たせねぇぞ」


 重低音ボイスが特徴的な、目深に赤いローブを

被った男が居た。

最後までご覧下さりありがとうございます。

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