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ネイチャーパワープレイング *主人公ジャイアントキリング

完全・覚醒!

 真価を発揮した俺の攻撃は、空気を弾く轟音を

響かせながら、竜の火炎放射を一瞬でかき消した上、

レッドドラゴンの首を背中に激突させる程強く弾いた。


(これが…………地球の海の海底にかかっている、

"力"…………!!!!!)


 我ながら、自分が呼び起こした物質…………

或いは自然現象の力に、驚きを禁じ得なかった。


 あのレッドドラゴンの最大火力攻撃を、真正面から

圧殺する威力があったのだから。


 しかし、ここである事に気づく。


(まずいっ!!)


 次に起きるであろう現象を想定し、一旦召喚の

門を閉じた後、マリアナ海溝の座標を保存してから

次の座標を海上へと設定した。


(中召喚(ミドルゲート)!!)


 普通なら、気圧の差で空気が入り込むか出ていくか

しかしない。しかし今回はこれが意味を有する。


『ザザザァ!!』

『グオオオオオッ!!』


 先程放出した大質量の海水が、逆流してきたのだ。

"海上の空気を召喚する門"を開くことにより、津波と

なった逆流水を吸い込み、自身に被弾する事を防いだ。


『グ…………オオオオオオオオオオオッ!!』


 危うく意識を飛ばされる程の打撃、自身の巨体を

押し返しかねない津波。この不可解な現象に、

レッドドラゴンは激昂(げきこう)し、大口を開けて

息を吸い始めた。


(ここだ!)


 が、俺にとっては好都合。入り口の座標を再び

マリアナ海溝に設定し、今度は1m程の出口を、

レッドドラゴンの体内側に向けて、"開いた口の

中央・対象の移動と連動"に設定した。


中召喚(ミドルゲート)地獄(ヘル)水分補給(ドリンキング)!!」


『ーーーーーーーーッッッ!!!!』


 喉が塞がり、声にならない声を発するレッド

ドラゴンの表情は、正に息が出来なくて苦しい様を

物語っている。加えて、凄まじい勢いで体内の圧力が

上昇していくため、腹が見る見る膨らんでいく。


『ギロリ』

(動く…………!!)


 しかし、流石は上位竜族。体重が100倍以上増えて

いるにも関わらず、自動車並の速度で走ってきた。

 今だって、体重増加しているのに、止まらない!


(だけど…………遅いよ)


 しかし、腑抜けの俺とはいえ、今までの戦闘経験

から、この程度の"飛躍した想定外"の対策は打っている。

座標を宇宙にセットした門にあるものが近づいた

タイミングで開くのだ。


並列(パラレル)小召喚(スモールゲート)隕石弾丸(メテオバレット)

『ズドン!!!』

『ーーーーーーーーーーッッッッ!!!!?』


 レッドドラゴンが振り下ろした爪を、肘から先を

ちぎり飛ばす形で、隕石がガードしてくれた。

 地球周辺を回る隕石の速度は、平均秒速マッハ50。

何て事は知らないが、直撃すれば小さくとも大惨事

なのは知っていた。そして、想像以上の破壊力だった。


 さて、海水を飲み続けるレッドドラゴンは、


(このまま爆発したら、俺も死ぬな。外道共も洞窟から

逃げきれていないだろうし、このまま()()えにして

やろうかな。なんてな)


召喚(ゲート)終了(クローズ)


 そう思った俺は、召喚の穴を閉じた。次の瞬間、

アーロンの小さな衝撃波とは比べ物にならない轟音(ごうおん)

立てながら、天を仰ぐレッドドラゴンの口から高圧

水流が放たれた。その速度は極超(きょくちょう)音速(おんそく)をも超えていた

らしく、水柱の先端部を中心に、プラズマの嵐すら

巻き起こっていた。


(ははっ、こんな威力、リヴァイアサンでも出せるか

怪しいだろ…………)


 隕石含め、そんな物理の知識が俺にあるわけも

無かったが、どっからどう見ても異常な威力だった。


(水流が弱まってきた…………放置しすぎたら、ここが

海の底になりそうだな)


 威力が強い内は、天空まで打ち上がって雨になる

だけだろうが、音速程度までに落ちると、滝のように

落ちてきて、それが洞窟内で(だく)(りゅう)になりかねない。


(地球座標は…………まぁ、海上にしといてと、腸側に

出口をセットだ)


 再び喉に穴を作り、今度は海水を地球へと戻す形と

なった。


『グル…………ルル…………』


「長時間苦しめるような真似をして悪かったよ。これで終わらせる。小召喚(スモールゲート)隕石(メテオ)弾丸(バレット)


 虫の息のレッドドラゴンの眉間を狙い定め、

本当に弾丸サイズの隕石で脳天を貫き、とどめを

刺した。


(ふぅ、それにしても、自然って恐ろしいな。上手く

使えば、あのレッドドラゴンすら倒しちまうし)


 そう、俺を虐めていた最強の外道4人を軽く(ひね)

殺せたレッドドラゴンも、大自然の力を用いれば、

容易く殺せるということだ。


(そして、俺は召喚の力さえ使いこなせれば、

その力をも利用できるって事だ!)


「はっはっはっは…………あーーっはっはっはっはっはっは……………………」


 俺は得たものの大きさに、後ろ股の筋肉が断裂し、

大腿骨が折れた痛みすら忘れ、高笑いし続けたのだった。


 そして、この時の俺には知るよしも無かった。

この戦闘時に発生した余波こそが、アーロン達、

チーム・アースヒーローズの没落の切っ掛けと

なっていることを。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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