表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/104

最期の猛攻

パワー系の決着…………

86話


~リジョン~


「ハァ…………ハァ…………、パパ…………、ミュール

姉ちゃん…………」


 突如現れた悪逆非道の大男・カルロスによって、

父・ポールと兄の友人・ミュールが傷つけられた。


 その事実は、兄・バルディによって、物理的に驚異

を遠ざけられた今でも、ハルの精神を蝕み続けている。


「大丈夫よ。あんたの兄貴やあの姉ちゃんのお陰で、

回復役は全力で治療に取り組める状況にあるわ。

だからきっと、パパと姉ちゃんは生き延びる!」


「ああ! 君の父、超戦士ポールと大地に愛されし

女戦士(アマゾネス)・ミュールちゃんは、カルロスとかいう

ゲスに殺されるタマじゃねーさ!」


 そんなハルに、女剣士と狩人(ハンター)の男は、希望を

与えるべく、声をかけていた。


「あんたねぇ! つい最近まで、カルロスの悪逆に

気づけてなかったでしょ!!」


「でも最近そうだと思った! というか…………今完全に

クロだと知らされた。…………同時に、格上相手に立ち

向かえる勇気がない、臆病者って事も露呈したよな」


「全くよ、だから心配要らないのよ。あんたの兄貴が

必ず、アイツを叩き潰してくれるわ!」


「おうよ、厄災に通じる攻撃能力なら、あんな臆病者

に負けるわけがねぇ!」

「だから何であんたが自信満々に叫ぶのよ!?」

「良いじゃねーか!」


(…………パパ、ミュール姉ちゃん、どうか無事に怪我を

治して! お兄ちゃんも、無茶だけはしないで!)


 所々痴話喧嘩と化していたが、ハルの精神は少し

落ち着きを取り戻した。


『ゴゴォォン……!!』


「ここまで音が聞こえて来るとは…………」

「さっきなんて、崖が砕けて空を舞っていたぞ…………」

「この微細な揺れも、戦いの余波ってこと?」

「…………だろうな」


 それでも、時々聞こえる轟音や、大地を揺らす微細

な振動は、この場の全員に言い様のない不安を与えた。


 その時、


「っつ……!? お兄ちゃん!!」


 ハルが、第六感で何かを感じたらしく、突然2人が

争っている山の方へと駆け出した。


「ちょ!? 危ないよ!」

「どうしたんだ、ハルちゃん?」


 だが、瞬時に女剣士に抱き上げられ、狩人に事情を

聞かれた。


「お兄ちゃんが危ない気がするの! お願い! 私を

お兄ちゃんのとこに行かせて!」


「流石にあb…」

「良いわ。ただし、あたしたちと一緒に行こう、ね?」


「!、ありがとう!」


「あんたは数人増援を頼むわ」

「OK」


~山中・バルディ視点~


 鬱蒼とした山林に、ポッカリと空いた大穴。その中

には無数の爆ぜ散った木々が散乱しており、中心部には、

仁王立ちする人影と、横たわる人影が見える。


 仁王立ちの人影は、片足を高く上げ、 


『ドゴォォォオン!!!!』


 全体重を込めて、横たわる人影に落とした。


「ゴブォアアアッッ!!!!」


 カルロスに全力で踏まれた俺は、噴水のように血反吐

をぶちまけた。


「ヒャハッ! 人間吐血噴水って、やっぱ最高だぜぇ!!」


 奴は俺の醜態を見て、心底嬉しそうに笑いやがった。

クソが、ワイルドの元で腹筋鍛えてなけりゃ、腹に

風穴が空いてたぞコレ。


「対象のサイズがデケェからか、荷物持ちのカスに

やった時の数倍は噴き上がるなーーwwwww」


「ゼェ…………ハァ…………」


 感覚がほぼ失くなった心肺を気合いで動かし、

大自然の酸素で身体能力の回復を試みる。


「よーし、今度は胃に風穴空けてやるぜーー!」


 しかし、奴が俺に隙を与える筈がなく、再び

踏みつけの予備動作に入った。…………だがよぉ、


(拳は無理でも、これなら1発かませそうだな!)


 奴の狙いを知ることで、出来るようになる攻撃法が

生まれるんだよ。


「オラァ!!!」

「ごぉォ……!!!!!」


 奴は宣告通り、俺の土手っ腹に足を落としてきた。

俺は2呼吸で動かせるようにした腹筋を、最大筋力で

収縮してガード。そして、


「ガアアッッッッ(強酸(アシッド)砲撃(キャノン))!!!!!」

『バチィィイィイイン!!!!』

「ブオオッ!?」


 超スピードに加速した胃酸の塊を、奴の顔面に

ぶっ放したぜ! 流石に音速には達しなかったが、

奴の虚を突いて当てれた。


「ハア"ッッ!!! ハア"ッッ!!!(骨付き肉を骨まで

溶かす俺様の胃液(アシッド)! テメーも溶かしてやらぁ!!)」


 再び息を整えながら、俺は奴の様子を確認する。


「ざっっっけんなゴルゥゥウアアアアアアッッッ!!

!!!」

『メギャァァァアッッッ!!!!!』


 次の瞬間、ブチギレた奴の蹴りが、俺の脇腹を弾き

飛ばした。


『ボグゥォアアアン!!!!』


 吹き飛んだ俺は、手始めに山頂への峠を半壊させ、


『ズガァァアン!! ガガガガガガッッ!!!』


 中々の大木を粉微塵にしてから、斜面を逆に滑り

上がり、山頂に生える"命の大樹"の前で止まった。


「…………カハッ!!! ヒュー…………、ヒュー…………」


 蹴られる瞬間に、全身を固めたお陰で何とか肋骨

全折れで済んだが、また呼吸のし直しをする羽目に

なった。


「グブォエエッッ!!」


 (きたね)ぇ声が聞こえた方を見ると、口に血をこびり

つかせた奴が、全速力で向かってきていた。


(クソ…………間に合わねぇ…………)


 だが、この間で身体が動けるまでのスタミナ回復は

出来ておらず、奴の一撃を無防備で食らうことになった。


「骨折返しーーーー!!」

『ボギィイ!!!!』

「ぐぅ!!!…………ォォォ!!!(やたら殺気が弱かった

のは…………そういうことかよ)」


 奴は俺の猛撃で、軟体動物と化した右腕をしならせ、

俺の右上腕骨をへし折りやがった。奴が斧を持って

いない段階で察せれたことだが、トコトン俺を痛め

つける魂胆らしい。


「んーだよ…………今のカス攻撃はよぉ…………(何と

しても、動けるようになって仕留めてやるぜ…………)」


 だが、これは本来あり得ねぇ逆転のチャンスがある

って事だ。狙わねぇ判断はねぇぜ!


「カスだと…………?? 俺様の攻撃の、どこがカス

なんだゴルゥアアアアアアアアッッ!!!!」

『バギィ!! ボギィ!! ベギィ!! バギャア

アアッッ!!』

「ぐぅお……!! ウガッ……!!!」


 俺の何気ない一言に激昂した奴が、俺を直ぐに殺し

たい気持ちを抑え込み、肘が粉砕した左腕を鈍器の

ように振り下ろし、俺の左腕を細かく折りやがった。


(もう少し…………!!!)


 両腕が折れて、普通の奴は蹴り以外の攻撃手段が

思い浮かばねぇだろうが、運がいいことに、生憎と

奴が教えていた。


 そろそろ、身体も動きそうだぜ。


『ボトボト…………』


「お? これってぇ!」


 しかし、運が強いのは、奴も同じ…………いや、奴の

悪運は、俺の運を遥かに凌駕していやがった。


「やっぱ回復効能のある木の実じゃーん! うっほほー

ーーー!! 骨折まで殆どなおりやがったーーー!!」


 …………クソが、折角追い込んだってのに、山の幸

を食って回復しやがった。部外者風情が自然を貪り

やがってぇ!!


『ゴオオオオオッッ!!』

「あぁ?」


 なら、俺も空気を10倍吸い込むがてら、落ちてる

実を食っt…


『グチャッ!』

「ざんねーん! アホに回復の権利はありまー、せんっ!!」

「グッッ!!!」


 当然っちゃ当然だが、奴は俺が目前まで吸い寄せた

木の実を踏み潰し、次の瞬間に俺の頭も踏み抜いた。


「こうすりゃいけそーだなーー」


 そして、得物の両手斧を治った両腕で握り、俺の

右脚の手前に立った。


「人の脚で薪割りならぬ、骨・割りーーーー!!!」

(収縮(コンセントリック)!!)


 狙いはバレバレだった為、俺は直撃の瞬間に右太股

全体を最大筋力で固めた。


『バギィイィ!!!!!!!』


 鈍く、大きく、響く、


「グアアアアアアアアアッッッ!!!!!」


 俺の、右大腿骨が、割れた音。


「ぁあぁぁん??…………嘘だろ? 俺の全力の一撃で、

完全に断ち切れなかっただと!?」

「ゼェ…………ゼェ…………」


 しかし、奴は自身のパワーで俺の脚を跳ね飛ばせ

なかった事に、驚愕した。


「言ったろ? "カス攻撃"だってな」

『ブチブチブチブチィ!!』


 ここぞとばかりに挑発してやった所、奴がブチギレる

様が明快に映ったぜ。


「立てねぇ分際が偉そうにほざくなカスゥゥウウウ

ウ!!!! 望み通り左脚を1発で飛ばしたらぁぁあ

あああああ!!!!!」


 器が小さいタイプのコーチでも、見たことのねぇ

キレっぷり、奴は跳躍して大きく振りかぶるという、

とんでもねぇ隙を晒しやがった。


 確かに、骨が砕けて、右足で立つことは出来なく

なったな。だが、左脚は無傷な上によぉ、前腿と内腿

にかけての筋肉は、"繋がっているぜ"。


「オラァ!!!!!!」

「縮地ィ!!!」


 奴の両手斧が振り下ろされる寸前、俺の身体は一瞬

で加速した。


「!?」


 俺が居ない事に気づいた奴が、俺の移動方向を

向こうとしたが、遅ぇ!


「っえりゃあっっっ!!!」

『バッッキャァァァアアン!!!!』

「ブヘアアッッ!?」


 鞭のようにしなる超音速の左拳骨で、首を明後日の

方向へと向ける!


『ビキビキ…………!!』

(頭!! 治りきってねぇ!!!!)


 同時に、奴の頭蓋骨に残るヒビを大きく広げ、


『ズドォォオオオン!!』

「ぬぅりゃあっっ!!!」

『ゴギャァアアアン!!!!!』

「ゴフゥゥウゥウッッ!!」


 健脚な左足を強く踏み込み、折れしなる右拳骨を頭

に叩き込み、更に頭蓋骨のヒビを広げる!!


『お"お"お"お"お"お"!!!!!!!』


 とどめの一撃は、筋繊維が半分千切れた右足だ!!


 左足の踏み込みを決して弛めず、安定した土台を

もって、右足を超音速以上に加速させる!!!


「くぅう!!(頭はヤベェ! やべぇ! やべぇ! やべぇ

えええ!!!)」


 しかし、俺も隙が大きすぎた為、奴に両手斧を

構えさせてしまった。…………けどな、


(テメェに、いくらパワーで俺の蹴りを防ぐ自信が

あってもよぉ…………)


『ガッ…………!!!!!!!!』


 筋繊維のパワーと、しなりのパワーを込めた俺の

蹴りと、奴のパワーで、全てを受け斬ろうと保持

された両手斧。2つの物体がぶつかり合った瞬間、


『バキャァアアッッ!!!!』

(な"っっ!?)


 耐久限界に達した奴の両手斧は、俺の使っていた

両手斧達のように粉砕し、俺の蹴りはそのまま、


『バギィイィイイ!!!!!』

「ブグゥエエエエエッッ!!!!!」


 奴の左頬を大きく陥没させ、頭蓋骨のヒビを全体に広げ、

軽く崩壊させたのだった。


「ぅお…………」


 それを皮切りに、再び俺の全身の力が抜けてしまった。


「…………ゴクッ。…………害獣風情が…………っこの俺様

を…………っあわや2度も殺しかけるとは…………っつ!

その罪万死に値する!!!」


 ここまでやったんだが、後一歩、奴を仕留めるには

至らなかった。結果、更に木の実を食べて回復した

奴が、ユラユラと近づいてきやがった。


「っへへぇ、テメェがやったみてぇによぉ…………、

っ滅多打ちにしてよぉ…………、っテメェをミンチに

して、同族のエサにしてやるぜぇ…………ケヒヒッ

…………」


 それでも、過去一の恐怖は与えられたようで、全身

の震えが見てとre…………ぅおおぉ、遂に視界が完全に

イカれやがったか…………。


(このゴミカスに殺られる程、雑魚なまま死ぬのは(しゃく)

だが、生まれ育った山に還れるのは、悪くねぇ気分

だな)


 こっからの地獄が何回訪れるのか知ったこっちゃ

ねぇが、後はハル達が生き延び、コイツが相応の罰を

受けることを祈るしかねぇな。


 あばよ、心友(ダチ)共。


~リジョン・野外治療場~


「単純骨折の治癒完了! これより、左肩・左膝の

複雑骨折の治療に移る!」

「「了解!」」


「ポール氏の縫合完了!」

「輸血を開始する!」

「スキャンします!」


 治療は、この場における最善の流れで行われていた。

しかし、


(ポール氏は、本人の体力のお陰か、五体満足で回復

できるだろう。…………だが、ミュールは、ここの設備

で全箇所回復するとなると、関節の後遺症と傷痕の

発生が気がかりだな)


 若く将来有望な彼女に、怪我の後遺症と幾つかの

傷痕を残してしまう。この事実が回復班に、重石と

なってのし掛かっていた。


 その時


『大病院に移転します! 医者達との連携に移って下さい!』


 今回の作戦で、殆ど見られなかった回廊が、医療班

ごと、2人を相応しい場所へと丁寧に転移させた。


 その、主なのだが…………


~山頂・バルディ視点~


「……・深海(ディープシー)(ボトン)砲撃(バズーカ)

『ゴオオオォォ…………』

「ごあぁぁぁ…………!!!…………」


 何かが奴をぶっ飛ばす音が、聞こえた気がしたんだ。

そして、耳元で確かに聞こえたんだよ。




「助けが遅れて済まない! 直ぐに病院に送る!!」




 ワイルドの声がな。

最後までご覧下さりありがとうございます。


満を持して、彼が現場に帰ってきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ