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下克上的戦果

78話


 本当に、アースヒーローズ以外は良い仕事を

してくれたと思う。


~フォーレストビレッジ~


「ヒャハハハッッ!! 今の俺らなら、竜属相手でも

怖くねぇ!」


 重戦士の男が、A級竜種・大海竜に、剣士並の速度で

戦槌(せんつい)の乱打を繰り出している。


「デブチンマジありがとー!」


 二刀流の女剣士が、更に高速で大海竜達の鱗に傷

を入れながら、バフをかけてくれたチックにお礼を

言った。


「いえいえ、毎度あり~~!」


 対するチックは、"1つ"を除いて攻撃技を持たず、

かといって、バルディのようにケンカ慣れしていない

為、大海竜の群れの中央を縦横無尽に駆け回り、撹乱

と同士討ちを狙っている。


(う~ん、流石A級モンスター! 苦手な地形でも

メッチャ速い!!)


 狙い通りの展開にこそ持ってこれているが、全速力

をもってどうにかこなせている状況だ。


『グオオオオオオーーーーー!!』

「ヤベェ!」


 突如声のする方を向くと、1匹の大海竜が、体勢を

崩した弓使いに高圧水流を吐こうとしていた。


(まずい! 間に合わない!?)


 速度にも優れる唯一の攻撃技を使おうにも、

それでも時間が足りない。その瞬間だった。


「グオオオオオオッッ!!」


 サウザンド・グローリー所属の重歩兵・ドグロが

弓使いの間に入り、高圧水流を全身で受け止めたのだ。


「お前! 死んじまうぞ!?」


 水圧と自身に板挟みになったドグロに、弓使いは

動揺の問いを行う。


「グアアアッッ!!(良い…………これで良い…………。

常にカースト上位のクズに虐められ、それでもクズ共

に憧れ、そんな俺を心配する同類を虐めて()()らし

して…………、成れる筈のない花形(はながた)を目指し、好きな

女をもう1人ごとリーダーに奪われ、才ある新入り(リョウ)

を恐れてクソリーダーと共に虐げては、1月後に

パーティーごと返り討ちにあい、その賠償金を稼ぐ

ために女2人は定職に就く中、俺は物乞いの役立たず

なままだった)」


 盾や鎧は肉体の形を無視して凹み、皮膚や衣類は

当たり前のように削ぎ落とされながら、彼は自らが

底辺のまま変われなかったことを回想した。


(ここでも、当たり前のように防衛力最下位で、俺より

強い奴等は、当然のようにマルチタスクな立ち回りを

していた。…………だが、命をかければ背後の奴くらい、

助けれるだろ? そんな死に方なら、あの3人やリョウ

も少しは俺を見直すだろう…………!!)


 筋肉は化学物質ではち切れんばかりに膨らみ、鎧は

凹むことで締め付けられ、皮膚は潰れ、最奥の骨には

ヒビが入りだす。


(俺が死ぬ頃には、やたら素早いアイツが引き継gi…)

「キネティック・ストライク!!」

『グオオオオオオオオオ!?』

(うおっ!?)


 刹那、轟音(ごうおん)咆哮(ほうこう)(とどろ)き、そして自身を削り殺そう

とぶつかっていた水圧が消失したことで、ドグロは

思考が停止して、前のめりに倒れた。


(イッタ)ーーーッッ!! 簡単に命を捨てたら駄目だ!

君を大切に思う人が悲しむよ!」

(アイツか! アイツに助けられたのか!)


 顔を上げたドグロは、宙から落下するチックを見て、

彼が大海竜を一撃で倒した事に驚いた。


「って、しまったーーーー! 僕が身動き取れないーー

ーー!!」


 だが、的確に急所(あたま)を突いたせいで、宙で身動きが

取れなくなってしまった。


『グオオオオオオーーーーー!!』


 当然、遠くから別の個体が、こちらにブレスの照準

を合わせる。


「助けてくださーーーーーい!!」

「だ、誰かぁっっ!!」


 そのせいで、タンカーが他人に防衛を頼む珍事が

発生した。


「ラアアッッッ!!」

『バジュゥゥゥウウッッ!!!』


 ブレスが放たれる寸前、狂戦士のX字の飛ぶ斬撃が

首に命中し、高圧水流の暴発もあってか、大海竜を

倒すことに成功した。


『ダダダダダダ…………』

「助かったよ!…………ん?」


 …………のだが、彼が全速力で駆け寄ってきて、


「テメーこそ無茶してんじゃねーよ! 俺様がテメー

より活躍する前に死んでどーすんだよ!?」


 地面に激突寸前だったチックの胸ぐらを片手で掴み、

良くわからない怒声を浴びせた。


「アハハ…………つい咄嗟に動いちゃってね。でも、僕に

守られた事を借りにする必要はないよ。あくまで仕事

をしただけだからさ」


「あ"あ"!? じゃ、どーやって俺様のメンツ立たせりゃ

いーんだよ!?」


「さっきの斬撃で、十分命が救われたから、メンツ

立ったよ(何かバルディ君に似ているな。筋トレに

誘ってみよう!)」

「お前も一撃で(ほふ)ってたから、全ッッ然、立って

ねぇ!!」

(あの大海竜の群れが…………全て死体になっている…………)


 こんな風に、多少のアクシデントがあっても、皆

十分に力を示してくれたんだ。だけど、


~グロリアス王国~


「何で壊滅光線(ルインズ・レイ)が効かないのよーーーー!?

死ねゴルゥァーーーーーー!!!」


 例えばアリスは、口に闇ブレスを蓄積した暗黒竜

目掛けて、馬鹿正直に光線技を放つものだから、光線

が全てブレスによって、無に帰していた。


『ゴオオオオオオオオッッ!!』


 そして、アリスの方向にブレスが放たれた。本音を

いえば、このまま見殺しにしてやりたい所だが、王国

民に被害を出すわけにはいかないので、ブレスと光線

の間に回廊(ゲート)を作った。


『ゴオオ!?』


 暗黒竜は回廊の不自然さに動揺していたが、そんな

余裕は直ぐになくなる。


   "(スモール)召喚(ゲート)(ライト)(ブレード)(スラッシュ)!!"


『ゴオオオオオオッッ!?』


 地球の巨大(きょだい)虫眼鏡(むしめがね)経由で凝縮した光線を、暗黒竜の

真下から、縦一文字にスライドさせたからね。これで

多くの攻撃が有効になった。


「キル・ドラゴ!! 全員で(たた)()けろーーー!!」


 後は、デュランを筆頭に、冒険者達が確実に倒す

だけだ。因みに、ここの斥候は、左右方向だけ暗殺

した。こうすることで、俺の補助は見えずに、冒険者

達の力のみで、暗黒竜を倒したように見せれるのさ。


 …………まぁ、暗殺は俺がサポートする20秒前から

1匹ごとに時間差で行ったから、アリスのオツムの

()(さん)さは、ガッツリと観察されたんだけどな。


 アースヒーローズは、ローズも酷い立ち回り

だったけど断トツなのは、やはりコイツだったよ。


~辺境の集落~


「俺の斬撃効かない! つまり誰も倒せない! そして

何もかもが無に帰す!! 故に逃げるが勝ちぃ!!!

去らばッッ!!」


 その莫大な経験値から、冒険者なら誰もが討伐を

試みるであろうシルバードラゴン。しかし、通称は

レッドドラゴン達と同様の"厄災"。


 それゆえ、厄災を恐れるアーロンは、飛ぶ斬撃

のラッシュを撃つや否や、集落の壊滅を見越して

光の速度で逃走したんだ。


 もう、クソっぷりが清々しすぎるよ。


『ゴルルルルルルルルッッッ!!』


 アイツにおちょくられ、一瞬で逃げられたシルバー

ドラゴンは、当然怒り心頭。その矛先は、集落の拠点

に向かったよ。


「残念だったな。俺が観ている限り、死人は出ないん

だよ。アーロン」


 あまりにも不憫な職員達を救うべく、俺はかなりの

上空に回廊を開き、あるものを落とすことにしたんだ。

最後までご覧下さりありがとうございます。

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