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純粋かつ、残虐な思いつき

後2話で、主人公覚醒です。

「立て!」

『ピキッ』


 カルロスが、俺の左手の甲にヒビを入れる程の力で

握ってきた。しかし、骨折の痛みが大きすぎて、殆ど

痛みを感じない。


 しかし、


「おら、ピンとしねぇか!」


「イタイイタイタイタイタイ!!!」


 今度は折れた左腕を馬鹿力で引っ張られたので、

経験したことの無いような激痛に襲われた。


「ぎゃああっ!!」


 更に、脇腹付近に鋭い激痛が走った。


「君ィ、ちょっと度が過ぎないかねぇ…………ええ?」


 アーロンが、剣を突き刺して抜いたのだ。


「役目も果たせず、誤報を平気でホラ吹き、

女性に粗相を働き、挙げ句、聖女の慈善活動を

邪魔立てした!」

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッ!!!」


 早口でデタラメを叫びながら、更に剣を抜き差し

した。重要な(ぞう)()や筋肉、血管を避けて刺しており、

まだまだ俺を"使ってやろう"という考えが見え隠れ

した。


 これだけでも十分にゾッとするが、それ以上に

真面目な顔の皮の下の、()(ぎゃく)(しん)を満たされた

下劣な笑みが、俺を恐怖のドン底に陥れたのだ。


「うるっさい男」


「ローズ、あれは男じゃなくて畜生未満よ」


「そうだったわwwwww」


「ウフフフフフwwwww」


 今…………までの…………お前らの…………発言…………

…………何もかも…………ブーメラン…………だ。


 …………出来る事なら…………俺とあの飛竜の100倍の

苦痛を味合わせてから…………殺してぇ…………!! それが

無理でも…………せめて殺してぇ…………!!!! けど、俺が

弱い。


 ただそれだけの理由で…………実行が出来ないんだ!!!





     "チクショウッッ!!!!!!"





 この際、今後の立場は考慮(こうりょ)せず、兎に角コイツらに

仕返しして、2度と同じ目に合う存在を生まない為に

殺したかった。


 だが、力が及ばないが為に不可能だ。そして、

そもそも力があれば、今こうして虐げられていない

のだ。


「あー、コイツ見てると無性に腹立つんだよねー」


「分かる~ww 虐められている姿もムカつくよね~」


 外道女2人は、痛みにもがき苦しむ俺を見て、

好き勝手な事を言っている。そして、ローズは

俺の…………この場の全員の運命を変えた蛮行を

提案したのだ。


「目かしら? 目の光がウザいのよね。アリス、

存分に焼きつくすわよ」


「分かったわ、ローズ。全身大火傷、脱水症状に

(おちい)らせて、目の光を消し去りましょおおお!!」


 ゲスな笑みを浮かべるローズに、アリスは

狂気の表情で同調した。


「2人とも、俺とカルロスが動きを押さえた。

存分に焼きたまえ!」


 最も恐ろしい笑みを俺に見せながら、2人に

攻撃指令を出した。


「盛り上がりすぎて、俺達を巻き込むなよwww」


 カルロスも、楽しげに味方への巻き添えを

忠告した。


「分かってるわよ! さぁ、アリス、行くわよ!」

「ぇぇえ! ローズゥゥ!」


 2人は息を合わせ、


「「地獄(ヘルズ)陽光(サンシャイン)!!」」

「ギャアアアアアアアアアッッッ!!!」


 動けない俺の四肢を中心に、全身を灼熱光で

焼き始めたのだ。


(あ、あの飛竜は…………こんな地獄を味わいながら

…………死んだのか……………………!!!)


 順序こそ逆だが、アーロンの刺突とあわせ、

飛竜の子の地獄を追体験させられた。


「2人とも、素晴らしい攻撃魔力だ!!」


 アーロンは、ここぞとばかりに仲間を褒めれるリーダー

アピールを行う。


「フフン、当然よ!」

「アーロン様、ありがたきお言葉…………」


 (おれ)を焼いている分際で、片や得意気に喜び、

片や惚けた。こんな奴等…………1秒でも早く…………!!


 俺がそんなことを考えていると、奴が運命を

決定付ける一言を呟いた。


「ヘッヘッヘ、俺ぁ今、天才的な事を思い付い

ちまったぜ」


「何だろうか?」


 カルロスの発言に、アーロンが反応した。


「コイツのくっせぇ臭いを利用して、強ぇ

モンスターを呼びまくるのさ、そしたら

レベリングしほうだいだぜ!」


「カルロス、どうしちゃったのさ、今日は

()えてるねぇ!」


「素敵なご意見ですわ。そうですよね、アーロン様」


「カルロス、妙案をありがとう。さぁ、()()君。

君に新たな任務を与えよう! 強きモンスターを

呼べ!」


 アーロンは、よく通る声で俺に命令した。

俺の耳には既に、無数のモンスターの足音や

羽音が聞こえる。


「おおー! ウジャウジャ沸いてきやがった!」


 カルロスが、前方からのモンスター達を

指差して言った。


「フッ、ならば私は後方を掃除しようか」


 アーロンは、カルロスの死角を埋める形で

後方へ(おど)り出た。


「アリス、そのオモチャで遊んでて良いわよ。

上は私が片付けとくから」


「はーい♪。えいっ♪、えいっ♪」

『ジュッ! ズズッ!』

「あぅ…………がっ!!…………」


 アリスが俺をいたぶり始めた頃には、俺は動く気力も

無くなっていた。

 そんな時間が1分程過ぎた頃だった。


『グルルルルル…………』


 低く、大気が揺れる(うな)り声が聞こえてきた。


「うおっ! ありゃ、レッドドラゴンじゃねーか!」


 体高20mはありそうなレッドドラゴンが、

こちらを見下ろしていたのだ。

 強者を求めるカルロスは、大きく喜んだ。


「そうそう、こんな相手を探していたのよね」


「役に立てて良かったわね、生き餌君♪」


 アリスは俺に屈辱を与えるべく、嫌みを

言ってきた。


「俺の剣だと瞬殺してしまうだろう。まずは

3人で腕試しをすると良い」


 アーロンは相変わらず、デキるリーダーアピールを

欠かさなかった。


「よっしゃ! 先手必勝!!」


 カルロスが爆風(ばくふう)を巻き起こしながら走り出した。

地球の短距離高校生選手レベルの俺とは違い、

(はやぶさ)のように速い。


『グオオオオオッ!!』


 赤き竜の名の通り、凄まじい火力のブレスを

放ってきた。


「当たらねぇぜ! オラァ!!」


 横飛びでブレスをかわし、首筋へと(ちょう)(やく)。十分に

接近できたタイミングで、若干のMPを消費して、

凄まじい威力の斬撃を命中させた。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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