負荷をかけて、ロッククライム!
昨日はやる気が出なくてなにも出来なかったので、
本日は2話投稿を目指します。
~アーロンサイド~
「ようやく…………ようやく見つけたぞぉ…………巨岩竜!」
『ゴルルルルル…………』
「ぜぇ…………ぜぇ…………やっと帰れるのかぁ…………」
「コイツさえ殺せば、後は募集かけて…………寝られる
…………ッツ!」
「ウッフフフヘヘハフヘェ~~、巨岩竜ちゅわぁ
~~ん…………、た~~っぷりといたぶってからぁ、
魂を浄化してさしあげますわぁ~~~…………ゴフッ!」
4人揃って喜んだアースヒーローズだが、部下の
3人はアーロンの虐待で心身を疲弊しているらしく、
満身創痍だ。
「さぁ、有能なる我が団員達よ! サクッと奴を
倒してきたまえ! A級昇格は目の前だ!」
「「「!?………………」」」
五体満足のアーロンは加勢しない。その事実に、
3人は思わず絶句してしまった。
「あ? エリート名乗る分際で、最低限の仕事も
こなせないゴミ共に、加勢なんてするわけない
だろう? 言い方を変える。さっさと始末してこい、
無能共」
「「「は…………い…………」」」
全くもって、正当性の無い言い分だったが、
全てを喰らわんとする殺気に加え、極めて対人に
特化した戦闘能力を前に、3人が逆らえる筈が
無かった。
『ヒュンヒュンヒュンヒュン…………』
巨岩竜は、モグラ等に似た体型の岩竜族お得意の
回転爪連撃、ジャイロスピンの予備動作を開始した。
「っ! させるかぁっ!!」
カルロスが全速力で駆け出し、巨岩竜に接近していく。
「海水…」
『ゴルッ!!』
ローズも遅れて魔法詠唱に入ったが、巨岩竜は
爪の軌道を僅かにずらし、間合いに入ろうとする
カルロスに振りかざした。
「ぎゃあっ!!」
「斬撃…っ!?」
カルロスが吹き飛ばされると同時に、ローズは
高圧海水の斬撃を放ったのだが、誤算が起きた。
「ぐぁああっ!!?」
こちらへと吹き飛んできたカルロスに命中したのだ。
「…………え?」
アリスに至っては、この間棒立ちだ。
「カ、カルロス…………そんなつもりj…ギャアアアアッ!!」
短気なカルロスが、誤射で傷つけられた上に、
言い訳を聞かされたら、ローズの腰から肩にかけて
斧で斬りつけるのも無理は無かった。
「おい!」
「イタイイタイイタイ!!」
次は、アリスの左肩の骨にヒビを入れる程
強く握りだした。
「さっさと回復しろぉ!! 死にそうだろうがぁっ!!!!」
「わ、分かりましたよぉ!! 手を離してぇ!!」
手を離してもらい、回復を開始し始めるが、
器用に動かせなくなった左腕と、アーロンから
回復許可の下りない全身の痛みにより、回復速度が
著しく低下していた。
「遅いぞ~~、無能聖女さ~ん。後がつっかえて
いますよぉ~~」
「あっ…………!? しまっ…………!!」
アーロンは時間稼ぎをする所か、治療が遅い
アリスの背中を踏みつけて、妨害する始末だ。
「おい! さっさとしろチビ!!」
「ううっ!…………私も…………早く取りかかれぇ!!」
カルロスも怒鳴り付けるし、遠方でのたうち
回っているローズも、怒りだした。
「ヒグッ…………グスッ…………」
遂に泣き出したアリスだが、彼女を慰めてくれる
ような人間は、最早何処にも存在しない。
「あ"っっ!! 来るぞぉ!!」
『ギュオオオオオオッッッ!!』
焦ったカルロスが叫んだ時には時既に遅し、
回りながら人間達の醜態を観察していきり立った
巨岩竜が目の前まで迫っていた。
「ひぃっ!?」
「ぁあ??…んなっ!?」
治療に専念していたアリスは兎も角、彼女達を
いたぶっていたアーロンまで、動揺する始末だった。
~鍛冶屋~
「棟梁、居られますか?」
ワイルドは、金属音が響く部屋で声を発した。
「おお、確かお主は…………」
「バーベルとダンベルを特注依頼したワイルドです」
「フム、ダンベルの方は既に出来上がっておる。
そして、バーベルもバーと200kgプレート6枚、
100kg、50kg、20kgがそれぞれ4枚ずつ
出来上がっておる。後は200キログラムプレートが
12枚か。明日には全て用意しておくぞ」
「おお、これは…………!!」
出来立てホヤホヤの、金属光沢輝く器具が
並んでいた。
「こんな素敵な器具を作ってくださり、ありがとう
ございます! また、何か頼んで良いですか?」
「勿論じゃ。何するのか理解できぬが、お主の
情熱はしかと受け取ったからのぉ」
こうして俺は、筋トレ用具を荷物箱に詰め込んで、
鍛冶屋を後にした。金は前金で払っているため、
回収さえすれば良い。
「さて、冒険者ギルドに向かうかな」
次はギルドに入り、ギルドマスターに事件を
聞くことにした。
「あら、ワイルドさんじゃ……って、何ですか
その足音!? 少し落ち着きましょう!? ねっ?」
1tを超える俺の足音は相当五月蝿かったらしく、
受付譲のリズは怒っていると勘違いし、笑顔で
怒りの沈静化を試みてきた。
「あー、荷物が重いだけなので、俺は怒って
いませんよ」
「そ、そうですか…………?? っと、今回は
どのようなご用件でしょうか?」
「ギルドマスターに会えないかな? 挨拶と、
アースヒーローズ所属のカルロス氏の被害に
あわれた男性の居場所を聞きたいです」
「残念ながらマスターは生憎、本日は女王様の
謁見で不在です。そして後者の件は、機密事項
なので、恐らく話してはくれないと思います」
「…………まぁ、そうですよね~~」
「ん~~~~…………」
リズがまたじーっと見つめてきた。これは…………
「やっぱりワイルドさんって、ショウさんじゃ
ありませんかぁ~…………?」
そういうことだ。
「今朝違うと証明しましたよね…………」
「アースヒーローズ関係者の事件を知りたがる
事に加え、荷物の背負いぶりといい、とても
ショウさんの姿を彷彿とさせますから…………」
「へぇ…………ショウさんってよく、荷物背負って
いたんですね~~(いや、あの時はマジで酷い扱い
だったよ)」
「ええ。いつも一生懸命、パーティーに尽くして
いる姿は、多くの方々が素晴らしいとおっしゃって
いました」
意外と評価されていたのは初耳だった。だが、
確かにそうなのかもしれない。当時の俺は、リズを
始めとする、パーティー外の人達と僅かな時間だけ
楽しく話すことで、どうにか精神を保っていた節が
あったからだ。
「そうですか…………昨日の夕刻、冒険者の情勢を
知るために、彼らの記録を見ていても、ショウさんの
記載がほとんど見当たらなかったので、あまり活躍
していなかったのかと思っていました」
「実は、備品整理やクエスト受注の記録は、彼が
1番多いのです。彼を見慣れている私からすれば、
今朝のアーロンは本当に酷くって…………!」
それは…………本当に同意しかない。
「兎に角、俺はショウさんではありませんので。
流石にt単位で荷物は運ばないと思いますし、
こんなヒマそうじゃ無かったでしょう?」
「確かに!」
以前と今の歴然とした差を見せつければ、
リズも納得するしかない。
「ギルドマスターの件は、日を改めます。また
数時間後にクエストを受注しに来ますね~」
「分かりました~~」
そしてワイルドが去ってから、リズは思った。
「ワイルドさん、一体何を背負っていたんだろう??」
~道~
「さーて、町を抜けたら中距離走ダッシュして、
アネロビタフネスのポイント稼ぎだな」
負荷と速度を中程度に設定できるこの状態は、
無酸素性持久力の向上にうってつけなのだ。
(…………な、何て素晴らしい荷物運搬人なんだ!
僕も高ランクパーティーの荷運びを目指す以上、
彼のようにならなければ!)
ぽっちゃり系マッチョな重歩兵の彼は、重々しい
足音を軽快なペースで鳴らし歩むワイルドに、尊敬の
眼差しを向けていた。
~崖の下~
「よし! 回復終了、登ろうか!」
崖の下で3分間倒れ込んでいたワイルドは、
むくりと起き上がり、上半身中心に動的
ストレッチを行った。
「登るぜ! 速く速く…………もっと加速してっ!!」
そして腕のみを用い、正真正銘の全速力で
登ることで、ロッククライミングスキルと
腕力スキルに莫大なポイントを加算していく。
「あぶねっ!」
勢いで高さ5m程飛び上がりつつ、腕と背中が
限界を迎えたことを知覚した。
『ズゥン!』
「筋トレ後は、肉を食って素早くアミノ酸チャー…………ji…………」
グリーンドラゴンの竜肉を食べながら、3m先に
突き出ているお尻を目撃してしまった。
「!?…………ワイルド…………コーチ…………」
ショートスパッツ越しのお尻の主は、ミュール
だった。俺とミュールは、まるで人と熊がばったりと
遭遇したときの緊張感が走り…………
「変態ィイ!?」
『ドゴッ…………!』
俺は赤面したミュールの突き飛ばしに対応できず、
後ろに動かされた。
恐らくこんなストーリーが考えられる。短距離走を
終え、4分が経っても回復しなかったので、リラックス
するがてら、お尻の筋肉を伸ばそうとした。
しかし、ダッシュ中のバルディの方に尻を向けたく
なかったので、何となく崖の方に向けたところ、俺が
飛び出してきた。
「あっ…………空中…………」
「ヒャッ…………コーチィーーーー!!」
そして、俺は落下した。
最後までお読みくださりありがとうございます。




