それぞれの出発 *プチざまぁ(ただし胸糞もある)
本日は遅めの投稿となります。
~アーロンサイド~
「全員お集まりで何より。我がパーティーの精鋭諸君よ」
俺は、共に任務を遂行する愛しき家畜達の
モチベーションを上げるべく、膨大表現で集合を
喜んでやった。
「「「……………………」」」
「おやぁ? 3人ともどうかしたのかねぇ?」
何か全員の表情が暗いな。カルロスなら、左右も
分からない後輩を誘っては、暴力や淫行の限りを
尽くす。ローズなら、これまた後輩をイビったり
貢がせているし、一昨日は俺が直々に夜の誘いを
かけた。アリスは動物や各種困窮者を虐殺している
上、毎朝と昨日の晩に誘っているから、ストレス
問題は起きない筈だ。
(…………前はこのタイミングで畜生君を虐めて
ストレスを解消できていたが、今はそれをする
相手が居ない…………か。可愛そうな家畜達のために、
ここは1ぉつ)
俺は3人の様子を察し、あることを思い付いた。
「ウォッホン、3人ともぉ、今回の討伐クエストに
赴く前に、その後の話をしようではないか」
まずはカリスマを発揮し、家畜達が振り返らずには
いられない美声で誘いかけたのさ。
「…………どんなのだ?」
俺の牧羊犬が、いの一番で反応した。
流石、犬だな。
「クエスト完了後、畜生君に変わる荷物持ちを
加えるのだよ。どうも私たちのような崇高な使命を
帯びた集団には、1匹の捌け口が必要なようだ」
「…………成る程、ソイツがいれば、ちょっとした
イライラ解消や素材収集も捗るというわけね」
2番目の女がちゃんと理解を示してくれた。
「流石はローズちゃん! そう、エリートの我らに
降り注ぐストレスは、その辺の凡愚共の比ではない!
したがって、ストレス解消の方法も、より最高効率の
ものでなければならないのサッ」
ヒュー♪、流石は俺。今のは最ッ高にカッコよかった…………。
「ああ…………なんてカッコいいのですか…………
アーロン様……………………」
俺依存症の女は俺の全てが後光に見えている
ようだな。何より何より。
「そんな訳でぇ、今回限りの我慢だ! さっさと
任務をこなして募集を掛けよう!」
「「「了解!」」」
さて、これで街の外に出てから光速移動で
時間短縮をすれば良いな。
しかし、この時のアーロンは、団員の事実を
何一つとして把握できていなかった。そして、
後にしたギルドの門の側で、元団員のあの男に
見られていた事にも気づかなかった。
「…………(兄貴の手前、弱さは見せねぇが、この
3日間は最悪だったぜ)」
カルロスは、昨日までの3日間を回想して、
ゲンナリしていた。
~帰還初日・夕暮れ時~
「あー、クソ。ムラムラが収まらねぇ~~。
店の女は兄貴からヤるなと言われてるし、
F級の田舎上がりのイモ女でもヤるか」
俺はそう言って、ターゲットを探し始めた。
「よぅ、嬢ちゃん。お前、冒険者成り立てだろ?」
「はい…………って、アースヒーローズのカルロス様!?」
いかにも田舎上がりの女といったところだ。
顔もまだマシだし、俺と同じ戦士系だから、
今後育てて使い潰そうと思った。
「おうよ! 俺様が見たところ、お前は才能の塊だ。
俺が直々に鍛えてやるから、着いてきな」
「あっ、あっ、ありがとうございますっ!」
こうして誘い、酒にイロイロなクスリを混ぜ、
眠りこけた所をお持ち帰りするまでは上手く行った。
「さーて、先ずはタフさから鍛えてヤるかな?」
俺はそう言って、眠りこけた芋女の腹に加減した
拳を振り下ろした。
「ん? 硬い??」
芋女の腹筋が光り、矢鱈と硬くなっていやがる。
こうなりゃ全力だ!
「ギャーーーー!! あちぃーーーー!!」
まるで赤熱した鉄板を殴ったかのごとく、
腹にめり込んだ腕が大火傷をした。…………
しかもめり込んだ筈の芋女の腹が、元に
戻ってやがる。前世のオヤツのグミか何かか?
この女。
「…………ん?」
あ、芋女が目覚めた…………
「えっ!? えっ? ここどこ??…………カルロス様、
まさか私を酔わせて如何わしいことを…………」
「い、いやぁ、んな事、英雄様が、すると思うかぁ?」
…………くっ、徹底的に弄んで、外部に漏洩
できねぇ程の恐怖を与えねぇとな。
「…………バーに誘い、この路地裏に連れ込んだことが
何よりの証拠じゃありませんか。手持ち金を置いて
おきますんで、帰らせて頂きます!」
そう言って歩みを始めた瞬間に腕をのばーす!
「いてっ!?」
「?」
俺の腕が何かに弾かれた!?
「テメッ! いったいどんなパッシブスキルを持ってやがる!!」
「し、知らないですよ! こんなことをしようとした天罰じゃありませんか!?」
このクソ女。俺様が神に捌かれるべき
ゴミだと? 絶対多目的奴隷にしてやる!!
「ウルゥア!!」
俺のパワーに勝てる奴なんざ、居ねぇんだよ!!!
「オゴォッハァッッ!!」
目の前のクソ女の顔面をひしゃげさせようと
した俺だったが、下から特大の水が突き上げてきて、
天高く吹き飛ばされちまった。
「ヒッ!! こ、今回の件はギルドに報告
しますからぁ!!」
そして、この隙に奴は逃げやがった。2日目は
趣向を変えて、普通の暴力を楽しむために、雑魚男を
誘ったのだが、またしても同様の現象が起きやがった。
お陰で、3日目はギルド長がアーロンの兄貴にチクら
ないように土下座する羽目になっちまったぜ…………。
さっすがに、今朝偶々見つけた家族と家を失った
ばかりの人妻をヤっただけじゃあ、物足りねぇにも
程があるよなぁ。
~回想終了~
(あのクソ女なのか、誰だか知らんが…………
絶対にぶっ殺す!!)
「よぉし、3人とも、私の背中に手をかざしたまえ」
お、兄貴の光速移動で任地へ赴くんだな。
…………アリスがあからさまに俺を避けてやがるな。
何故かアイツもクソ不機嫌で、俺の治療こそ
受け付けてくれたが、流れの夜の誘いを断られた
上に、「兄貴に言いつける」なんて脅されたからな。
どいつもこいつも女の分際で調子に乗りやがって!
「では、行くよ。光速移動!」
刹那、4人を構成する素粒子は全て光子へと
変わり、一直線に目的地の洞窟へと進んだ。
「……………………あれが魔王様を討伐することが
期待されているっていう、アースヒーローズねぇ」
猫の獣人のような耳が生えつつも、尾の先端の
三角形や背中の羽は悪魔を彷彿とさせ、180cmは
あろうかという高身長が、異様なオーラと合わせて
彼女を恐ろしく見せていた。
「おっ、ショウ…………いや、ワイルド君だ」
アースヒーローズ4人とうってかわり、ワイルドの
姿を見る表情は、楽しげだった。
「期待の注目株を、鑑定っ❤️」
・ワイルド・サモン・フェリン レベル55
職業 : 召喚士
HP……………………
はーい、もっと正確に表示しましょうね~~。
正確には~~
・ショウ・ザ・マジック レベル55
職業 : 召喚士
HP 1800/1800(+600)
MP 7500/7500(+1500)
物理攻撃力 2000(+1600)
物理防御力 1000(+600)
魔法攻撃力 8000(+1400)
魔法防御力 5100
身体操作性 2000(+1790)
敏捷性 2400(+1700)
幸運力 200
称号 召喚士アーサー、漢入門、荷物持ち、
肉体派召喚士、猫大好きマン、猫インスパイアー、
激臭足男、アクロバティカルマッチョ、竜肉料理人、
超感覚人間、海王神召還士、メテオストライカー、
座標マニア
召喚レベル8
並列召喚レベル3(NEW)
召喚範囲拡大レベル4(NEW)
座標移動レベル8
座標転移レベル4(NEW)
痛覚耐性レベル8
激痛軽減レベル4(+1)
強酸耐性レベル1(NEW)
疲労耐性レベル2(NEW)
瞬食レベル3
超速消化吸収レベル4
治癒力レベル8
超回復レベル1
剛力レベル6(NEW)
腕力レベル4(NEW)
脚力レベル8(NEW)
投擲レベル7(NEW)
魔流身レベル7(NEW)
憎魔回路レベル7(NEW)
頑丈レベル6(NEW)
韋駄天レベル8(+5)
神風レベル1(NEW)
加速術レベル8(NEW)
縮地レベル1(NEW)
回避レベル7(NEW)
跳躍レベル6(NEW)
アクロバットレベル7(NEW)
軽業レベル7(NEW)
エアロビタフネスレベル3(NEW)
アネロビタフネスレベル4(NEW)
視覚レベル8
聴覚レベル8
嗅覚レベル8
触覚レベル8
平衡感覚レベル6(NEW)
第六感レベル8
イマジナリーレベル6(NEW)
遠視レベル6(+1)
照準レベル6(NEW)
明目レベル7
反響定位レベル8
絶対音感レベル1
軌跡嗅読レベル1
臭分解析レベル1
空力感知レベル1
動振感知レベル1
揺感知レベル1
殺気感知レベル3
未来予測レベル1
異世界観察レベル8
第10426宇宙式物理現象適応
「いつも使っている物理戦闘力こそ、アース
ヒーローズの連中に一歩及ばないけど、総合
ポテンシャルは、間違いなく1番…………いや、
全人類ひっくるめてトップクラスよ。これは
念のため魔王様にも驚異として伝えなきゃ
いけないわね…………メンドいけど」
女性はそう言って、猫らしい大あくびをした。
これでも人に見られないように、気配は探知した
上での行為だ。
「でもさぁ、プフフwww 時々称号に変なのが
混ざっているのが、本当に笑えるのよねぇ~~wwwww」
純粋に、ワイルドの称号がツボにはまっている
らしく、笑いを隠す様子がまるでない。
「というか、海王神召喚士とメテオストライカー
って、何かしら? 本当にそんなこと出来ちゃうの
…………まぁ、観察すれば分かるか。おっ、」
ワイルドが任務へと向かい始めた。その道中で、
縮地を連続で行い始めた。
「おおー、任務に行く道でも修行するのね。頑バ~~」
ストイックな姿を見て、無意識に応援の言葉を
送っていた。
「ん? あの女は…………」
黒髪の女侍が、ワイルドを追跡しているのを
発見した。
「鑑定」
・クレイン・ササキ レベル38 職業 : 侍
HP 1100/1100 MP 200/200
物理攻撃力 1400
物理防御力 500
魔法攻撃力 200
魔法防御力 400
身体操作性 1600
敏捷性 1800
幸運力 700
称号 女侍、求道者、居合の侍
剣術レベル8
剣豪レベル5
剛力レベル2
脚力レベル4
韋駄天レベル8
加速術レベル8
縮地レベル1
回避レベル5
跳躍レベル4
エアロビタフネスレベル4
アネロビタフネスレベル5
時間感覚加速レベル3
「…………その内アーロンってナルシスト位は
超えそうだけど、ワイルド程のポテンシャルは
感じないわね~。というか、ワイルドの真似
し始めたな」
しかし、6連続目の縮地を終えたタイミングで、
足が動かなくなり、座り込んでしまった。
「まぁ、あの女はモンスターが来てもどうにでも
なるだろう」
猫耳の女性はそう言って、路地裏へと舞い降りた。
~路地裏~
「お…………の…………れぇ…………あ……の……男…………
殺…………す…………」
カルロスに弄ばれ、ボロボロになった女性が、
2時間近く涙を流して動けなくなっているようだ。
「へっへっへっへっ…………」
そこで、下品な男達2人組が品定めするように
女性を見ていた。と、その時
「そこのお兄さん達、ちょっと良いかしら?」
「あん? うおおっ!? ビックリしたぁ!」
後ろから声をかけてきた、獣人らしき女性の
背丈があまりにも大きく、1人は驚きのあまり
仰け反った。
「デケェ…………けど、見たことねぇ位
絶世の美女だな…………」
もう1人はこれまた品定めするような目付きで
猫耳女性を舐め回し、その美貌を評価した。
「こんな半端な場所で、こんな身なりの
なっていない女を相手にせずにさ、私に
着いてきてよ。2人まとめて最高の思い出
作ってあげるわよ」
猫耳女性は色めかしい表情で、腰を僅かだけ
動かしながら、2人を誘った。
「うっひょーー!」
「3人で思い出作ろぉーーぜぇ!」
この誘いに、2人は嬉々として着いていった。
…………30秒後。
「「ギャアアアアアッッ!!」」
裏路地内に響き渡るが、表通りにはほとんど
聞こえない断末魔が2つ聞こえてきた。
更に30秒後。
『ジャリ…………』
「…………金…………?」
ボロボロの女性は、心ここにあらずといった
様子で、無意識的に中身を見始めた。
「な、何十枚も金貨が…………え!?」
我に返った様子で、猫耳女性を見上げた。
「あー、勘違いしないでね。アタシの知り合いが、
お姉さんみたいな人を救えってうるさくてさ、
この金押し付けられちゃったの」
「で、ですが…………こんな大金…………」
「貰いなさい。1度出したものを引っ込めさせる
のは、失礼に当たるのよ。舐められないように、
高めの服を買うことをお勧めするわ。後は銭湯や
美味しい料理を食べてリフレッシュでもしたら
どうかしら? それじゃ~♪」
猫耳女性は、常人視点で瞬間移動と見紛う速度で、
その場を離脱した。
~時計塔の頂点~
「…………あーもぉ~~、アタシ何やっているのよ~~
…………魔王軍の幹部が何で弱っちい人間を助けてる
のよ~~…………」
自分とは思えない行動を起こしてしまった理由が
分からず、困惑しているようだ。
「ショウならこうするって思ってアイツから盗んだ
金を恵んでしまったけど…………アイツと会ってからの
アタシ、何か変ね。たまにアタシじゃない誰かの
記憶も垣間見る事があるし…………」
大きな人間の腕に抱かれながら、泥水に沈み行く
記憶を回想しながら言った。
「…………今度猫娘の姿で遊んだときは、ここから
大金落とそっか。悪い政治家の頭にでも激突させたら
面白そうね」
そう言って、朝寝を開始したのだった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。




