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荒ぶる猫魂、企む極悪


「セット…………おおおおおおっっ!!」


 俺は、体力測定の50m走をイメージし、全速力で

駆け出した。一寸前まで、ノロマという称号を持って

いた俺だけど、こう見えて前世では短距離のスピードは

結構速かったんだ。

 …………まぁ、後は長座体前屈と立ち幅跳びしか録な

記録にならなかったけどね。


「限界を…………超えろッッ!!」


『ピロリン♪


 スキル : 韋駄天がレベル4に上昇しました。


                     』


 機械のような音声が流れると共に、俺の最高速度(トップスピード)

更に上昇(アップ)する。


「…………ゼエッ! ゼエッ!」

『コツン!』


 脚が限界を迎え、速度が出なくなったと同時に踵を

落として音を鳴らす。これで周囲の地形とモンスターの

分布を把握するのだ。


「…………それにしても、あの筋トレマニア君の

言っていた事、凄く使えるかも」


 周囲を把握しながら、前世で同級生だった、

陽キャ陰キャ区別無く、筋トレを布教しまくる

陽気なゴリマッチョの言っていたことを思い出して

いた。


「パワーとスピードは、7秒間の一瞬で鍛え抜く

ゼッ、ヒェー!…………だっけ? 陽キャ達にウザ

がられていたけど、韋駄天を短時間でレベル4まで

上げれたのって、鍛え方が良いからなんだろうな。

加えて」


 荷物箱から、取り出したレッドドラゴンのステーキ

ブロック5ポンド程を、20秒で食べた。


『ピロリン♪


 スキル : 瞬食がレベル2に上昇しました。

 スキル : 超速消化吸収がレベル3に上昇しました。


                     』


 早食い系列のスキル成長を知りつつ、筋断裂を

多少起こしている股肉が、凄まじい勢いで

回復・強化されているのを感じる。


「激痛軽減レベル3のお陰で、短距離走で

限界以上に脚を追い込めるのは勿論だし、

超速消化吸収がレベル3と超回復レベル1の

効果で、信じられない速度で筋肉が回復・強化

されるんだよね…………我ながらコワイ」


 特に、第10426宇宙式物理現象適応…………

とかいう、要するに元居た地球の物理法則が適応

される俺にとっては、脚力の向上は敏捷性だけで

なく、物理攻撃力の向上にも繋がる。


「まぁ、現状は地球の物質を殴り壊す位しか、

物理攻撃力が上がる恩恵は無いけどね」


 そうこうしている内に、リザードマンの群れが

やって来た。


「君達とは、どのみち出会う運命だった。だからさ、

ドリブル練習に付き合ってよ」


 そう言って、群れのど真ん中へと真っ直ぐ

突っ込んだ。


「グギャアッ!?」


 俺が想像以上に速かった為、対面の

リザードマンは、あわてて棍棒を振り下ろした。


(よーく見て…………左っ!!)

『ザッ!!』


 棍棒は空を殴り、俺は左へと爆進する。


「ギュアッ!!」


 素手の個体が、鋭い鉤爪を横に凪いできた。


(…………おお!)


 俺は身を屈めて鉤爪を回避しつつ、左手で地面を

押しながら、身体を伸長させた。すると、身体が

真横へ回転を始めたので、腕の力を強め、勢い良く

飛び出した。


「ぐおおおっ!!」


 超低空を飛行する俺を踏みつけようと、

進行方向に居る個体が脚を振り上げた。


(イメージは…………ボスの座を夢見ていた三毛のあの子!)


 空を飛ぶ虫を捕獲しようと、宙返りのような

動きを見せた三毛猫を思い出し、自身の身体の

イメージと重ね合わせた。


「おおっ!?」


 最高到達点で、真下の景色を見下ろすと、

リザードマン達が、俺の動きに驚いた顔を

見せていた。


「…………って、(次どうやって動くか考えて

ねぇ~~!!!)」


 考え無しに3連続の側転を行い、4回目で

側宙の動きを見せつつ、壁を蹴る。そして、

対面の壁を蹴ってから、1体の棒持ち

リザードマンの間合いへ突っ込んだ。


「グオオオッ!!」

「見えた!!」


 今度はロシアンブルーの友達が、足を滑らせて

高い塀から落ちた際に、身を翻して着地した時の

シーンをイメージし、同様の動作で棒の回避と

着地をこなした。


『ピロリン♪


 スキル : 回避レベル1を獲得しました。

 スキル : アクロバットレベル1を獲得しました。

 スキル : 軽業レベル1を獲得しました。

 スキル : イマジナリーレベル1を獲得しました。

 スキル : 体感時間加速レベル1を獲得しました。


                     』


「…………良いじゃん!」


 燃えてきた俺は、回復が進みゆく脚を動かして、

更に増援が押し寄せるリザードマンの群れへと

向かっていったのだった。


~アーロン視点・門の前~


「!、アースヒーローズ御一考様、おかえりなさいませ!」


 クソマジメって感じの門番(ゴミ)が、労ってきたなぁ。


「門番諸君、ご苦労様だねぇ。気分転換の

運動がてら、門を開けたまえ」


「「はっ!!」」


 まぁ、この俺に労い返されちゃあ、心が舞い上がる

のも納得だよ。けど、こっちは汗かいた後なのに、

暑苦しいオーラを出しながら、門を開けるのは

何とかならないものなのかねぇ?


「次期英雄、アースヒーローズのお帰りだぞーー!」


 片方が余計なことを言うものだから、向こうまで

熱くなったではないか。まあいい


「おや…………ショウ様の姿がお見えになりませんね…………」


 もう片方がショウの不在を不審がり始めた。


「へへっ、教えてやるぜ」


 (カルロス)が楽しげにしゃしゃり出てきたなぁ。

まぁ、泳がせておこう。


「あの荷物はな、俺達をも超えるレッドドラゴン

から逃げるためのエサにしてやったぜぇ。憎悪に

満ちた表情で、俺を見ていたのはチョー笑えたぜwww」


 格下の虐待は、精神の安定に有効だ。(カルロス)なりに、

自己管理を覚えたものだ。


「そwwれwwはww死亡確定じゃありませんかぁ!

私も思っていたんですよぉ、アイツは貴方達と

あまりにも不釣り合いだとね」

「お前分かってるじゃねーか!」


 ギャハハハとむさ苦しい声が響き渡った。

これ以上熱くするなよな…………。


「…………」


 ん? もう一人(いっぴき)は微妙な表情だな。100歩

譲っても荷物(ショウ)が見殺しにされたことに疑問を

抱きはしないだろうが、英雄が肩書き外れの行動を

したことには疑問を抱いていそうだ。


(…………下手な動きを見せた時に、殺せば良いな)


 凡愚(ゴミ)が幾ら死んだところで、誰も困りはしない。

俺の障害は全て斬り捨てるまでだ。


「さぁて皆ぁ、女王様と謁見をしようではないか」


 (ゴミ)の称賛を全身に浴びながら、俺達4人は

女王の部屋まで歩みを進めた。


「アースヒーローズ代表アーロン。只今ここに、

パーティーの帰還を報告します!」


 俺がそう言ったと同時に、(カルロス)女共(ブタども)も揃って

ひざまづいた。

 …………今に見ていろ女王。近い内にお前を屈服

させ、更には俺の…………


                  つづく。

最期まで読んでくださりありがとうございました。

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