早すぎる瓦解
二話ほどヴィランサイドです。
ヴィランのリーダーがとんでもない差別的な発言を
繰り返していますが、作者にその気は一切無いことを
記載しておきます。
新たなる力を獲得し、アーロン達への復讐・悪行の
阻止を誓ったショウ。一方、アーロン達は…………
~少し時を戻し、アーロン視点~
(嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろぉぉおお!!!)
俺…………いや、私達は現在、人間の力が及ばない
厄災を前に、絶望的な力の差を思い知らされている。
「アーロン様あっ!」
何せ俺が光速移動を用いなければ、回避できない攻撃を
放つような相手だからな。俺の回避を認識出来ていない
アリスが悲鳴を上げたのが、何よりの証拠だ。
「あ、案ずるな、移動スキルで逃げたから無事だ。
だが、悔しいが、我々ではレッドドラゴンに勝てない
だろう」
ああ、言っておきながら、腹ただしい事この上無し!
この俺のパワーが…………テクニックが…………なにより、
誰よりも速いスピードが通じないだと!?
「逃げるっつったって、兄貴と両脇に抱えれる
女共が限界だろう」
回復し終えたカルロスが、絶望を認識していた。
そもそもコイツの攻撃が1ミリも通らないのがおかしい。
傷口さえ作れれば、俺が瞬く間に広げて殺せるものを!!
しかし、このまま挑んでも死ぬだけなので、俺は
女共を片腕ずつ、抱きにいった。
その途中、今まで楽しませてくれた畜生君にも、
お別れの挨拶をすることにした。
「…………ショウ」
「え…………?」
最後の最後だ。いつも女共に向ける愛想笑い
じゃなくて、ホンモノの笑顔を向けてあげたのさ。
『にぃっ…………!!』
まぁ次の瞬間、女共を両腕に抱えながら、
心底侮蔑した表情で言ったがな、
「今までありがとうねぇ…………」
ってね、そしたらよ、女共まで俺と
同調して嗤うものだから、いよいよ畜生君が
マジで面白ぇ顔になってやがるんだわ。
(はーあww 傑作wwwww!!! それじゃ、光速移動!)
俺は、女共ごと、自らの肉体を光の粒子と化し、
向いていた方向へと世界最高速度で直進した。
『ギャリ…』
「光速移動」
壁などの固体に衝突すると、この技は解除され、
粒子から肉体へと戻る。このタイミングで地面に
足跡を着けつつ、方向転換して再びスキルを使う。
こうでもしないと、あの犬が迷子になっちゃう
からなぁ~~。
それからしばらく、この動作を繰り返した。
「この辺が良さげだな」
女2匹の素粒子まで粒子化していたから、
MPも無駄に食ったな。
「ああ…………アーロン様…………流石の判断と肉体の
スピードですわ…………」
アリスが俺を褒め称えた。この虐殺魔女は、
何度も抱かせてやった甲斐があり、とうとう完全に従順に
なったな。俺の命令は絶対死守、苦労した甲斐があった。
「フフフ、当然さ。私のスピードなら、逃げも完璧に
こなせるのだよ!」
俺はそう言って、女共を揉みほぐし始めた。
これで幾分か、全員のストレスが解消s…
「んっ……!? こ、んなところでっ……!!」
「…………」
アリスの悦びを聞き流しつつ、逆サイドを見ると、
愚かにも、低沸点女が俺に不満の眼差しを向けて
いた。…………自分の立場が分かっていないのか??
「ローズ、その目はなんだ?」
「あうっ…………」
俺は、女の肩を握る力を強めつつ、尋問を
開始した。
「…………ア、アーロンは、デ、デキル男だから
余裕かもしれないけど、カルロスが無事に帰って
来られるとは限らないじゃない…………」
…………この女、2人目の癖に、
俺より先に犬の心配をしただと?
「んっ…………あ、あれ? アーロン様??」
アリスはアーロンの寵愛が急に無くなった
事に戸惑った。
「戦闘中のアリスへの暴言に、リーダーの俺への
不信感、君は一体、何様のつもりだ??」
そのアーロンは、ローズの胸ぐらを掴み、岩壁に
押さえつけていた。
「私だって、アリスを守ったのに、治療をモタモタ
したk…」
「口答えするな!!」
『バシィ!!』
「うああっ!!」
アーロンのビンタに、ローズは悶絶した。
「フン、1人じゃ直ぐに死に行く分際で、調子に
乗るんじゃない。今後は謹みのある振る舞いを
行いたまえ!」
そう言って、アリスの両手を握り、その先の行為を
行おうとした。
その時
『ズズゥン!!』
「何だ今のは!?」
突如、尋常ならざる揺れが襲ってきたのだ。
「明らかに異常な揺れでしたよ! ローズ、何か分かる!?」
アリスは半ばパニックになりながら、ローズに振った。
「…………レッドドラゴンが暴れているのじゃ無いかしら?」
ローズは冷めた様子で、自身の見解を述べた。
「バカ言え! 幾らアイツでも、下層のあそこから
上層のここまで、この揺れの一撃を出せてたまるか!」
アーロンは、レッドドラゴンの近くにいたからこそ、
その力量を正確に理解していた。故に、"奴の本気"で
あっても、"この規模の振動"が発生しない事を理解
していた。
『ドドンッッ!!』
「ひゃあっ!?」
「まだ揺れるの!?」
更に振動がやって来て、近場の岩も砕け落ちた。
「フッ!!」
アーロンは、手始めに跳躍し、ローズに直撃
しそうな岩に足を着けると、移動がてら軌道を
逸らし、ローズへの直撃を回避した。
「ハアッ!!」
そして、アリスへ落下していた岩に、全身を
捻転させ、威力を増幅させた蹴りを直撃させ、
こちらは砕くことで守り抜いた。
「た、助かったわ」
「ありがとうございます。ローズも、もう少し
素直になれると良いですわね」
この、人の感情をまるで配慮しないアリスの発言に
「…………それもそうね」
ローズは心底不服だったが、アーロンに難癖を
つけられない程度のスマイルで返事を返した。
しかし、ここからが地獄の始まりだった。
『バゴジュウウウウウウウウッッッ!!!』
突如、20m先の地面が、間欠泉というには
巨大すぎる水柱によって、天井諸とも砕き抜かれた。
「くっっ!!」
二度あることは三度あるといわんばかりに、
アーロンは直ぐ様女2人に触れてから、光速移動で
遠方の安全地帯に移動した。
「こ、ここなら安心ですわね!」
アリスがようやく肩の力を抜けると安堵の声を
上げた。しかし、それがまずかった。
「…………治まったわね」
数秒後、轟音と勢いが嘘のように間欠泉が停止
したことを、ローズは確認した。…………次の瞬間
「ああ、そうだなぁ…………」
「ッッ!?」
人とは思えぬ程、目を血走らせたアーロンが、
ユラリと背を起こした。
「あの…………アーロン様…………??」
この姿には、アリスですら顔をひきつらせるほどだ。
「アリス…………」
「は、はい…………(い、痛い…………!!)」
両腕を強く握られ、今度は彼女が岩壁に追い詰め
られる。
「服を脱げ」
その言葉に一瞬間を置いてから
「こっ、ここでですか!?」
衝撃を受けた叫びを木霊させた。そして
『バチッ!』
「ギャッ!」
顔面への張り手で地面に倒された。
「俺の言うことが聞けないのか?」
「いいえ! このアリス、アーロン様からご命令を
賜れた事を、一生の誇りに思います!」
左頬を腫れ上がらせながらそう言って、着々と
淫行の手筈を整え始めた。
「私達は、ここの岩場で事を済ませる。ローズ、
その間、モンスター共の襲撃をとめておきたまえ」
「は…………い…………」
ローズは1人、これまで自身と関係良好だと
思っていた男女の喘ぎ声を聞きながら、屈辱的な
見張り番をさせられる事となった。
「ア、アーロン…………私だけじゃなくて…………
アリスとも…………関係があった…………なんて
…………………………」
ショックに項垂れるローズに対し、
(やっと拝めたぜ。恐怖に怯え、俺に依存
し始める女の顔と、殴られても喜んで
尽くそうとする女の顔。犬が来るまでの
間、じっくり楽しませてもらうぞぉ、アリスゥ…………)
眼前で喘ぎ声を上げる女を見下ろしながら、
アーロンは悦に入っていたのだ。
最後までお読みくださりありがとうございます。




