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副官の着任と会談の準備

【ア島統合基地】最高司令官 官邸 執務室


自分が指揮する部隊も増え、今後は自衛隊のみならずなども考えなければいけなくなる。そこで副官を置くことにした。暫定的に今回は1名が着任する。


「上田 安奈 3等海佐です。最高司令官副官を命じられ、只今着任致しました。」


副官に着任したのは笑顔が素敵な女性自衛官だった。外交の時とかには有利だろう。笑顔は第一印象を明るくする。


現実でこんな事言ったら炎上しそうだが、思うまでは自由だ。最高司令官といっても18歳の男子だから許してほしい。


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【ア島統合基地】最高司令官 官邸 執務室


「それではYS-11搭乗員の帰国に向けた会談に伴う要人輸送任務についてご説明いたします。」


陸上自衛隊第1ヘリコプター団長の高田 翔平陸将補と自分の副官である上田3佐から要人輸送について説明を受けていた。


「まずは、今回の使用戦力です。こちらをご覧ください。」


プロジェクターに映像が映し出される。


「航空機は第一ヘリコプター団所属のCH-47JA輸送ヘリ2機とUH-60JA3機を使用します。」


要人はCH-47JA輸送ヘリ1機に搭乗する予定だ。その他必要装備はもう1機に搭載される。


「人員は特殊作戦群から2個班20名が手荷物検査及び護衛任務に就きます。」


今回の任務は前例がない危険な任務となるため、王国側の要人と接触するのは特殊作戦群が担当する。


「当日の流れをご説明します。」


「部隊は9時00分にア島統合基地を離陸。迎え場所であるシーバーンには9時30分に到達予定です。最初にUH-60JAから1個班の隊員がラぺリング降下を実施。降下中も常に1機のUH-60JAが襲撃に備え上空から警戒します。降下した員が着陸場所を確保したのち後、CH-47JAを着陸させます。武器使用は正当防衛射撃までを想定しています。」


王国とはYS-11の搭乗者帰国で合意しているとは言え、あくまで今も戦争状態にあるのは確かだ。着陸場所の確保が一番危険が高い。特殊作戦群が遂行する任務とは言え、心配はある。


「その後王国側の要人と接触し手荷物検査を実施後、機内へ搭乗させます。離陸は10時15分を予定しており、その後要人を乗せた機は10時50分に最高司令官官邸の大型ヘリポートへ、その他の機は11時00分までにア島統合基地へ到着できる予定です。」


「会談終了後は行きと同じようにCH-47JAが王国側の要人を輸送します。離陸後、基地上空で他の4機と合流しシーバーンへ向かいます。参加航空機は14時15分までに基地に帰投できる見込みです。」


「以上が参加部隊と当日の作戦スケジュールです。ご質問はありますか?」


「ヘリの武装はどうなっているか?」


「UH-60JA1機にドアガンとして12.7mm重機関銃M2を2丁設置し離着陸で無防備になる機を上空から援護します。」


「わかった。」


「それでは次に私から会談についてご説明します。」


王国の要人到着までの流れの説明が終わったところで、副官である上田3佐が口を開いた。


「会談は11時30分より最高司令官官邸の応接室を予定しています。時間は1時間程度を想定していますが長引く可能性もあります。当日の議題は、保護しているYS-11搭乗者の帰国方法や日程の調整についてです。副官である私のほかに、陸上総隊司令官、自衛艦隊司令官、航空総隊司令官の3名とその副官が出席します。また会議室では特殊作戦群4名が最高司令官を常時警護します。」


「王国から会談について連絡はあったか?」


「はい。王国側の参加者についての連絡がありました。会談に参加するのはYS-11の所有者であるトオマ商会から航空輸送事業の責任者である航空輸送本部長1名、王国外交部から外交官1名と外交補佐官1名、王国陸軍から将校1名の合わせて4名とのことです。こちらがリストです。」


王国トオマ商会航空輸送本部長 セレスティーヌ = フィノ

王国外交部主席外交官 トリスタン = オージェ

王国外交部外交補佐官 クレマン = ホーイ

王国陸軍司令官 レミ = ブレヴィル


「全員が貴族か。やっぱエリートなんだろうな。」


「王国では貴族にのみ家名が付きますから全員が貴族と思われます。特にトオマ商会の航空輸送本部長のセレスティーヌ=フィノは王国の有数の大貴族であるセレスティーヌ侯爵家の令嬢だそうです。」


貴族令嬢をCH-47に乗せるって駄目じゃないか?


「輸送手段変えたほうがいいかな?」


「いえ、その必要はないでしょう。今回はあくまでもトオマ商会の代表者としてくるのであって、家柄の考慮はいりません。」


この質問が自分から出るのは上田3佐も想定してたのか変える理由言っていないのに先読みして答えてくれた。


「わかった。このまま準備を進めてくれ。」


「承知しました。」


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【ブリュンヒルド王国】王宮 某部屋


「では、遭難したYS-11乗員乗客の日本国からの帰国に向けた会談に備えた会議を始めます。」


会談に参加する4者の意向確認やための会議が行われていた。


「陸軍としては王国主導で軍用機での帰国を強く求める。」

「航空基地のほとんどは壊滅したでしょう。外交部としては帰国手段問わず迅速な帰国を実現すべきと考えます。」

「外交部の意見に速やかな帰国に賛同します。トオマ商会としては我々が責任をもって事故に遭われた貴族の皆様を特別機で帰国させたいと考えています。」

「まず、トオマ商会がこの事故を起こしていなかったらこんな事にはなっていないだろう。事故機の乗客はほとんどが貴族だ。軍が責任をもって対処する。」

「日本国とは戦争中です。軍が主導で帰国させるとなれば、日本国を刺激することになります。無意味な戦いをすることになる可能性も高いと考えます。帰国の輸送はトオマ商会に一任しましょう。」


会議というより喧嘩みたいな状態だ。


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【ア島統合基地】最高司令官官邸 執務室


「YS-11の搭乗員帰国の手段の案は纏まったか?」


「はい。陸上総隊司令官と航空総隊司令官、自衛艦隊司令官の3者が帰国方法について5つのプランを用意しました。」


「概要を教えてくれ。」


「1つ目はア島から一番近い海の街シーバーンへの航空輸送です。第1ヘリコプター団のCH-47JAを使用します。陸上総隊司令官が立案し第1ヘリコプター団長を指揮官とします。」


王国の要人で用いる輸送手段と同様だ。会談時での輸送実績があるなら確実性は高いだろう。


「2つ目は同じく海の街シーバーンの港へ第3護衛隊の護衛艦で輸送するものです。第3護衛隊群司令官を指揮官とします。」


入港実績のない港と言うだけならまだしも、戦争中の国家へ護衛艦を派遣するのはリスクが高すぎるだろう。シーバーンの港に対応などの対水上兵器がある可能性もある。攻撃を受けた時の損害が大きすぎだ。


「3つ目は王国国際空港への航空自衛隊の第1航空輸送隊のC-130H輸送機を用いた航空輸送です。第8航空団のF-2A戦闘機と航空警戒管制団のE-767早期警戒管制機が護衛に就きます。また、現地では陸自の中央即応連隊と特殊作戦群の混合部隊が機材と他部隊の警護に就きます。使用部隊の規模が大きいため航空総隊司令官が指揮官となります。」


これもリスクが高すぎる。もし実現させるなら王国に対して攻撃禁止を約束させなければならないし、王国は国際空港への乗り入れを認めたくないだろう。C-130H輸送機は紛争地域での在外邦人輸送任務など高リスク地域での実績や米軍などの諸外国軍での運用実績も十分だし、王国乗り入れであればこれが良いだろう。


「4つ目も王国国際空港への特別航空輸送隊のB-747政府専用機を用いた輸送です。第1航空輸送隊のC-130H輸送機が必要機材を輸送し、先の案と同様に第8航空団のF-2A戦闘機と航空警戒管制団のE-767早期警戒管制機が護衛に就きます。また、現地では陸自の中央即応連隊と特殊作戦群の混合部隊が機材と他部隊の警護に就きます。こちらも使用部隊の規模が大きいため航空総隊司令官が指揮官となります。」


これもまたリスクが高い。3つ目と同様、王国に対して攻撃禁止を約束させなければならないし、王国は国際空港への乗り入れを認めたくないだろう。しかし、B-747の大型機やジェットエンジンの輸送機を運用する能力が日本にあるというアピールにはなるだろう。今後、王国の考え方に影響を与えられる可能性もある。しかしながら、任務にあたる特別航空輸送隊の高リスク地域への任務実績が不十分だ。


「最後は王国主体の帰国輸送です。トオマ商会に特別機を用意してもらい、ア島統合基地へ迎えに来てもらいます。警戒空域内では第9航空団のF-15J戦闘機が特別機の横を飛行し警戒します。地上滞在中は特殊作戦群と中央即応連隊が攻撃に備えます。こちらは陸空の統合任務部隊を編成し、第9航空団長を指揮官とします。一番手間が少ないプランですが、ア島統合基地の位置はもちろん、部隊規模なども露見する可能性がありますので、リスクも高いです。」


一番楽なのはこれだが、長期的に見たリスクは一番高いだろう。基地の正確な場所が正式に露見するのは避けたい。しかしながら、YS-11の乗員にはここがア島だと既に把握されている。基地の場所が露見するのは時間の問題だが、部隊規模が漏れるのはよろしくないだろう。


「以上が提出された輸送作戦案です。この情報は会談時の情報ファイルに資料として入れておきますのでお役立てください。」


「上田3佐ありがとう。」


会談は明日に迫っている。


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【ア島統合基地】飛行場区画


政府専用機を使ったYS-11搭乗員の帰国プランを発動する事に備えて、特別航空輸送隊を配備することにした。機種はB747-400とB777-300ERの2機種で合計6機だ。この世界では同時運用する。


B747-400は全長70.6メートル・全幅64.4メートル・全高19.4メートル・航続距離13450キロメートル・巡航速度マッハ0.92。CF6エンジンを4機搭載している。[より速く、より大きく、より遠くへ]そんな時代を作った飛行機だ。

その機体の大きさはB747全体では1067人を一機で輸送した記録があるほどだ。

政府専用機はもちろんVIP仕様であるので座席数は約150席となっている。

貴賓室・秘書官室・随行員室・一般客室・事務スペース・会議室・小型個室がメインデッキに用意せれており、2階はクルースペースとして利用されている。


B777-300ERは2代目の政府専用機として導入された。

全長73.9メートル、全幅64.8メートル、全高18.5メートル。巡行速度マッハ0.89。航続距離14000キロメートル。GE90エンジンを2機搭載している。このエンジンは航空史上最大の大きさを誇り、小型機の胴体幅と同等であるほどだ。B747-400に比べると巡航速度は多少低下したが、航続距離が大幅に伸びている。B747には無かったエンターテイメント設備が追加された。座席数は約130席。


この2機種を同時に運用するため、1個飛行隊(第702飛行隊)を新編し部隊規模を拡大する。


任務時は実際に飛行する主務機と副務機の2機と基地で待機する予備機に分かれて任務を遂行する。

実際の政府専用機は2代目であるB777-300ERの2機のみが運用されています。

この世界では高リスク地帯が多く、1機が故障や大規模整備で使用できない場合に稼働できる機が1機のみになってしまい、副務機を用意できなくなると任務遂行に支障が出るを防ぐため3機体制としました。(実際に当時の防衛庁が過去に検討したことがあります。大蔵省に却下されましたが。)

2機種運用にしたのは、単純に作者が好きだからです。

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