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共有結合  作者: 粥
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5、友達と言っていいか迷う奴

(あ...先輩だ)


授業中、窓際の席である理沙は、真下にある校庭で良二を見つけた。

良二は体育着に着替えており、伊達と喋りながら一緒に歩いている。


(笑ってる、何の話してんだろ)


教室からじゃ全く聞こえない会話、だけど楽しそうなのは良二の表情を見れば分かる。


「なーに見てんの」

「わっ!びっくりしたぁ...」

「あ、伊達先輩とあの先輩じゃん」

「そだね」

「見てたのあの二人?」

「まぁね」

「伊達先輩とあの先輩、なんで仲良いんだろ?だって何か合わなくない?」

「知らなーい、先輩と私友達じゃないし」

「そなの?」

「まぁでも先輩が良い人だって言うのは、話してれば分かるよ」

「へー。まぁ話さないけど」


そう言って友達はどこか行ってしまった。

ああは言うものの社交的なので話そうと思えば話せるだろうし良い子だが、偏見が邪魔して仲良くなるのに時間がかかるだろう。


「今日の授業はここまでにしよう。終わり」


授業が意外と早く終わったので、理沙は校庭に降りて良二のところへ行ってみた。

石段の段差を使って座り込んで休憩している良二の後ろから、先程買った水を良二の頰に当てて驚かした。


「えいっ」

「ぅわっ!びっくりしたぁ...お前かぃ」

「びっくりしました?」

「お前授業は」

「早く終わったので先輩の体育を見学しに来ました」

「どういう事だよ...」


良二の隣にちょこんと座って、水を飲む理沙。


「あ、伊達先輩やってますね」

「運動は嫌いらしいけど、運動神経は良いんだぞあいつ」

「へぇ〜そうなんですか。意外ですね」

「あいつが想定内だった事は一度もない」

「ポテンシャル高めですね。そういえばレアガチャ引いたんですけど、このキャラどうです?」

「お、当たりじゃん。良いなぁ、俺それまだゲット出来てないわ」

「じゃあこの子リーダーにして編成した方がいいですかね」

「そうな、その方が良いんでない?」

「先輩フレンド申請したんですけど、承諾しました?」

「やべ、してない」

「早くしてくださいよ〜」


そんな会話をしながら、ふと校舎側を見るとクラスメイトが何人かこちらを見ていた。恐らく理沙が積極的に話していく男子がいる事を知って、物珍しさで野次馬行為に及んでいるのだろう。

良二が気づいたら嫌がりそうなので、理沙はそれを教えずに話を続けた。


「先輩、先輩は何か噂を流された事はありますか?」

「噂?あー...一回だけあるよ」

「え、いつですか?」

「お前がまだうちの学校に入学する前、つまり俺が一年生の時に一回だけな」

「どんな噂です?」

「うちのクラスにモデルいるって言ったろ?あいつと付き合ってるって噂」

「先輩って意外と隅に置けないですよね。でもどうしてそんな噂が流されたんですか?」

「仲が良いんだよ、普通に。人目を気にせず喋ってたら、俺があっちを好きみたいな感じの噂を流された」

「へぇ」

「まぁそんな事はあり得ないって二人で言って回って終わり」

「そんな事があったんですか」


体育の授業が終わり、理沙は良二と一緒に食堂へ向かった。


「今日は蕎麦にしよ」

「じゃあ俺はカレー」

「カレーうどんと蕎麦、どっちが好きです?」

「うどんかな」

「気が合いますね」

「蕎麦じゃん」

「うどんが無いんですもん」

「ほんとだ」


カレーうどんは明日だそうだ。

二人向かい合ってご飯を食べ始める。


「そういえば、そのモデルの人を一度も見かけませんけど、学校来てるんですか?」

「一応来てるよ、たまにだけどな。仕事が忙しいんだろ」

「成績とかってどうなんです?」

「頭は良いらしい。俺と同じくらい」

「今さりげ自分の頭の良さをアピールしましたね」

「何のことかね」

「先輩、数学得意ですか?」

「まぁ人並みには」

「じゃあ今度教えてください。そろそろ期末じゃないですか、不安なので」

「暇だったら」

「ありがとうございます」


話はまたモデルの子の話に戻った。


「やっぱ可愛いんですか?」

「綺麗系だな」

「先輩の好きな顔ですか?」

「全然」

「先輩ってどんな人が好きなんです?聞いたことありましたっけ」

「いや、言ってないんじゃないか?タイプなぁ〜、考えた事無かったな」

「髪の長い人とか、目は二重の人が良いとか、あるじゃないですか」

「んー髪は綺麗な人が良いな、黒が好き」

「へぇ」

「あんま考えた事ないから、そんくらいしか考えられない」

「色恋沙汰に全く興味ないんですね。先輩本当に高校生ですか?」

「失礼な、俺ほど青春を謳歌してる人間はいないぞ」

「どの口が言うんですか」


理沙にピシャッと突っ込まれ、それ以上良二が何かを言うことはなかった。

すると珍しく良二から理沙に話題が振られた。


「お前こそ、大層おモテになるみたいだけど、どうなんだ?当たりはいたか?」

「何ですか当たりって...。私そんなに軽い女じゃないので」

「そーいう事言ってる奴ほど全然彼氏出来ねーんだよな。果てには30代になるまで良い奴に出会えず、結果ビミョーな奴と結婚して子供作って浮気、こんなもんか」

「人の人生を勝手に堕とさないで下さいよ。それに私、最近気になる人いるので」

「へー」

「気になりますか?私の好きな人」

「別に、どーでもいい」

「むぅ...つまらないですね」


ご飯を食べながら会話していると、良二のスマホが鳴り、良二は電話に出た。


「もしもし?おーお前か...うん、え?今日?...あーまぁいいけど。んあ、あいよ、じゃな」


何だか急な用事が入ったみたいで、良二は少し面倒そうだった。

話し相手は漏れてくる声からして女性の様だ。理沙は電話中自分のカレー蕎麦を啜っていた。


「どなたですか?」

「んー...友達?かな?」

「どうして疑問形なんですか」

「何とも言えねーからな。...さて、そろそろ戻るわ。じゃあな」

「はい、また食べましょう」


良二は先に食堂を出て、教室に戻った。


まだ教室に先生のいないお昼休み、良二は荷物を纏めて学校を出た。

その途中、伊達に会った。


「良二?あー...『呼ばれたんだ』」

「そ、反論すると面倒だし、時間作って来たみたいだしな」

「気を付けて」

「おぉ...。明日学校来れるかな」

「そんなに?」

「この前は次の日の昼までだったから...」

「あー」


良二は少し面倒そうにして、学校をサボって何処かへ行ってしまった。

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