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共有結合  作者: 粥
19/28

20、もっと楽しい場所を

今日は校外学習。ということで、普段制服のクラスメイト達が、私服を着てセンスを見せつけたり、普段一緒に遊ばなそうなメンバーで遊んだりと、思惑は人それぞれ。

集合場所の大きな公園に全クラスのみんなが集まり、大きな塊となっていた。その中にはもちろん伊達と良二も居るが、人混みが苦手な二人は少し離れたベンチに腰掛けて点呼で呼ばれるまで待つ事にした。


(かしま)しいね」

「まぁ普段見慣れねー姿にそりゃあ感想の一つや二つでてくんだろ」

「良いよね、クラスメイトの違う一面が見れる感じ」

「見れたって徳はねぇけどな」


良二が片肘ついて面倒そうにしていると、点呼も終わり伊達と一緒に目的地へ向かう。


「そういえば、DJ。お前は大路さんも一緒に行動すると思ってたぞ」

「そう?あ、でも途中で一緒に会ったら行動一緒にしようって言ってる」

「分かった、そん時は俺迷子になるから」

「いや別に一緒にいて良いよ」


目的地は大きなお寺。このお寺は恋愛と勉学の神様が二人いる様で、受験に燃える学生と恋に燃える学生が多く集まる。

もちろん伊達達の学校の生徒達もこぞってやって来ているので人でごった返していた。


「おちおち土産物も買えねぇな」

「どうしようか」

「分かってた事だが、ここが空く日なんて無いからな。諦めて違う所に行くか」

「何か面白いところあるかな」

「流石にあるだろ」


二人は諦めて別の場所へ向かった。

次に行く場所は山奥にある神社で、地元民しか知らないという穴場の場所らしい。そこなら観光客も少なく、人でごった返している事はないだろうと踏んだ。


目的の場所へは歩いていく。移動手段が無いというのもあるが、せっかく来た土地なので、何か良い発見があると期待しての事だ。


「海風が気持ち良いねぇ」

「写真撮っとこうかな」


海沿いを歩いていた二人。良二はそう言ってスマホのカメラで、海の写真を一枚だけ撮った。

海沿い道を少し行き、しばらくしてから山の神社に続く坂道を歩いていく。入り組んでいる道を間違えない様にマップを確認しながら進んでいく。


「周り誰もいねーな」

「ここを歩いているの僕らくらいしかいないのかな」

「まぁサイトもかなり奥の方まで探して見つけたしな」

「もう無かったりして」

「店ならまだしも、神社はそうそうなくならねーだろ」


あまりにも道中人に合わな過ぎて不安に駆られる二人だが、進んでいくうちにそれっぽい道案内の看板を見つけ、ようやく神社にたどり着いた。


「あった」

「良かったちゃんとあって」

「綺麗な(やしろ)だね」

「建て替えたのかな」


参拝する為に賽銭箱らしきものを探すが、どこにも見当たらない。すると、ある岩の陰から二人の女子が現れた。伊達たちと同い年くらいで、そのうちの一人を伊達と良二は知っていた。


「大路さん」

「伊達くんと羽島くん。何してんの」

「そっちと同じ事しに来た。つかどっから出てきたんだ今」

「この神社この岩の中に賽銭箱があったからその中から」

「マジか、すげーな」

「僕らも行こう」


伊達と良二の二人は先ほど大路たちが出てきた穴から入って参拝しに行った。

穴の中には少し小さめの鳥居があって、そこに祠がポツンとある。祠の周りは池の様になっており、祠の前までは渡り石が設置されていた。


「お洒落っていうか、風情があるな」

「涼しいね」


二人並んで祠の前で手を合わせ、岩から出てくる。

すると、大路がベンチに腰掛けて待っており、一緒にいた女子はどこにもいなかった。


「あれ、大路さんまだ居たんだ?」

「約束したし」

「あー...覚えてないと思ってた」

「何の話だ?」

「どこかで会ったら一緒に回ろうって約束したの」

「へぇ、大路さん人付き合い面倒とか思ってそうだからすっぽかしてどっか行くかと思った」

「大路家は約束は必ず守る」

「素晴らしい家訓だね。ところで一緒にいた友達は?」

「あんたらと回るって言ったら、どっか行った」

「嫌われてんのか俺たち二人は」

「知らなかった」

「いや、そういう雰囲気じゃ無かったけど、面倒だから理由は聞いてない」


一先ず、良二と伊達は大路を加えて次の目的地へ向かう。


「お腹空いてきたね」

「確かに」


三人は一先ずご飯を食べることにした。

定食屋さんが良いと大路の希望で、近くの定食屋に入ることになった。中はあまり人がいなかったので三人でも待つことなく入ることが出来た。


「あ、こっから海見える」

「マジか」

「ホントだ」


三人で海を見ていると、定食屋の店員のお婆さんが料理を運んできてくれた。


「あなたたち学生さん?」

「え...あ、はい」

「ここで何してるの?」

「校外学習中です」

「あーなるほど。良いわねぇ」


お婆さんはそう言ってにっこり笑って厨房の方へ帰っていった。


「穴場でも聞けば良かった」

「お会計の時に聞いてみよう」

「.................」


大路が少し退屈そうにしている様に思えた良二は申し訳なさそうに尋ねる。


「ごめんな、もし居辛かったらさっきの友達んとこ戻っても良いぞ」

「大丈夫、これがデフォだから」

「そ、そうなの...?」

「さっきの友達と居ても多分こんな感じ。というか私こそ場を悪くさせてるんじゃないかと思って...」

「いや、大丈夫。大路さんとは喋ったこと無いから、今日で仲良くなれたらなぁと思う」

「そか」


良二がニコッと笑うと、大路は少しホッとした様に、でも表情を崩すことなく返事を返した。

ご飯を食べ終わり店から出て、三人で歩きながら今後の方針を決める。


「この後どうする?」

「私はもう帰りたい」

「はやっ、まだお昼過ぎだよ」

「もう足が限界。歩きたくない」

「まぁ確かに自由解散だしな」

「えー...せっかく揃わなそうな三人なのに」

「「また今度遊んでやるよ」」

「絶対嘘じゃん」


その後本当に帰ってしまった二人、伊達も一人で回ったところで暇なので一緒に帰ることにした。


「信じられないよ本当に帰ってるんだもん」

「だから残ればよかったじゃん」

「一人で回ったって楽しくないし」

「めんどくさいなぁ」


今、大路と伊達は同じ電車で帰っている。良二はというと早く帰れたので行きたいところへ行ってくると言って街に繋がる方面の電車に乗って行ってしまった。

なので二人は今お昼過ぎの空いた電車に二人座りながら帰っている。


「そういえば羽島くん、良い人だった」

「でしょ、良二は良い人なんだよ」

「伊達くんより話が合いそう」

「何故僕を引き合いに出したのか。でも何となく思ってたけど、良二と大路さんはなんか似てる」

「そう?」

「うん、あんま人に興味無い癖に、友達には優しい感じとか」

「ふーん」


心底興味なさそうに大路は返事を返す。大元の話は大路から切り出したというのに。

ここで伊達は大路が電車に貼ってある広告を見ていることに気付いた。広告の内容は植物園についての広告だった。

今乗っている線のうちの一つがその植物園の最寄駅らしく、常に貼ってあるよく見る広告だ。


「植物園の広告見てる?」

「うん、行ったこと無いなぁと思って」

「そうなの?小学校とか行事で行ってない?」

「無いな。今から行こうかな」

「付いて行っていい?」

「良いんじゃない?」


二人は急遽降りる駅の一個前の駅を降りて植物園に向かった。


やって来た植物園は平日の昼過ぎということもあってあまり人がいない。


「草臭い」

「言ってしまえば一面草だからね」

「花の香りは良いものと聞いてたけど、そんなことは無いんだね」

「いや、だってここはまだそのゾーンじゃないし」


来た癖にぐちぐち言いながら大路は進んでいき、ようやく花がたくさん咲いている場所にやって来た。

このゾーンは丘の様になっており、チューリップ、薔薇、鈴蘭などの色彩豊かな花々が咲き誇っていた。


「へぇ」

「それだけ?」

「反応した上に愚痴も出ないなら良い方でしょ」

「いや思ってた反応じゃなかったから」

「まぁこんなもんでしょ」

「一面綺麗な花の中で言う?そういうセリフ」

「まぁ綺麗ではあるから」


大路はそう言って花壇の間の道を歩き進む。

本人に何の自覚も無いんだろうが、靡く髪と少し軽い素材のカーデ、花の香りのする風、綺麗な横顔がとても絵になっていた。


「カシャっ」

「................?何撮ってんの勝手に」


伊達は思わずスマホのカメラで前を気持ちよさそうに歩く大路を撮った。するとシャッター音で気付いたのか少し不機嫌そうに伊達の方へ振り向く。


「ごめん、あまりにも絵になってたから」

「あっそ、まぁ良いけど」

「怒らないの?」

「どーせ捨てるでしょ」

「...うん、まぁそうだね」


伊達は嘘をついた。

今まで見た綺麗な絵や風景よりも、たった一枚の同級生が映ったこの写真が何よりも綺麗に思えた。きっとこの写真の中に大路がいなかったら、すぐに消えていただろう。


程なくして二人は植物園を出た。


「どうだった?初めての植物園」

「まぁ良かったんじゃない?」

「煮え切らないね」

「想像通りだったからね」

「そか、じゃあさ」


大路の隣を歩いていた伊達は、ふと立ち止まり、言いかけた言葉の続きを告げた。


「もっと面白いとこ、今度一緒に行こーね」

「................」

「今日みたいに途中で飽きたりしない様な、ずっと居たくなるような場所」

「自信満々だね」

「そりゃもちろん」

「じゃあまぁ、ほんのちょっとだけ期待しとく」

「うん、任せてちょーだいよ」


伊達は胸を張ってそう答えた。

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