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The Two Days  作者: 李仁古
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二日目2

 清水は椅子に座らされ、手を後ろにして手錠されている。部屋は暗く、何処になにがあるかも分からない。無の恐怖。だが清水は自分に言い聞かせていた。松田が来ると。絶対に。そんな事を考えていると、突然部屋が明るくなった。



 重い瞼を開けると、目の前にタボールが置かれていた。松田はタボールの銃把を握り、立ち上がった。だがよく見ると銃身が曲がっているのに気づき、その場に捨てた。

 松田は辺りを見渡したが、清水の姿はなかった。ただ、壊れた二体のアンドロイドと壊されたタボールが転がってるだけ。松田は舌打ちをし、通路をかけた。

 走りながらベレッタを抜き、弾倉を出して弾が詰まってる事を確認してから戻す。すると、『57』と映る下にドアがあった。ドアを開けると螺旋階段らせんかいだんがあったので、それを駆け上がる。上りきると再びドア。

 ドアを開けると、フェンスに囲まれた敷地に出た。そこを出ると超高層ビルが立ち並ぶオフィス街だった。雨が降る中、ワイヤーを使って走るモノレールが頭上にある。そして松田が立っている向かいには飛行車ホバー・カーを開発した新井勉あらいつとむの会社があった。

 突然ポケットの入った携帯電話が震えだす。画面には村上の番号が映っている。

「はい」

『なんでさっき切ったんだよ! それに一体なにが……』

「悪いが話してる時間はない。十分後に銃を持って、新宿駅に来てくれ」

「おい! はな……」

 村上が何か言おうとしたが、松田は電話を切った。ここから新宿駅までは五分弱でつく。松田はタクシーに乗り込み、新宿駅に向かった。

 新宿駅に着くと既に村上が松田と同じ服を着て立っていた。大きなボストンバッグを持って。

「二つ条件がある」

 松田が頷くと、村上は話し出した。

「一つは俺も行く。もう一つは詳しく話せ」

 松田は別れたあとの事を全て話した。そして犯人は今野正樹だとも言った。確かな証拠はないが、あれほど上手く出来た戦闘アンドロイドはアームズ社の他にいないと思っただけの事だった。

「……お前に言っておく事がある。実は元井さんも……アンドロイドだった」

 村上はそう言ったあと、別れたあとの事を話した。

それによれば、村上と元井は撃ち合いを続けているうちに元井の左目を撃ち抜かれた。だが、何事もなかったかのように撃ち続けていた。村上はすぐにその場を離れ、松田を追ったが追い付かなかった。その時に松田から電話があり、署にいると聞いた松田はすぐに署に行ったがいないので松田に電話した。という流れを簡潔に言った。

「……大塚あいつだ」

 松田は大塚が車を調達しに行くと行った時に電話したと考えた。今の時代、違法携帯電話があれば好きな番号で電話する事が出来る。大塚はそれを使ったのだろうと松田は確信した。

「だが声は……」

 村上が何か言おうとしたが、止めた。

 アンドロイドの中には声を似せるC80という違法なアンドロイドがいる。多分これ系統のアンドロイドが使われたのだろう。

「……車を用意しといた」

 村上はそう言うと松田を連れて走り出した。駅を出ると、路肩に日産のスカイライン――村上の愛車――が停まっていた。それに乗り込み、スカイラインが急発進させた。

 松田は後部座席でバックから銃を出した。銃はH&KのUMPだ。軽量化の為にプラスチックを多く使い、水に濡れていても気にする事なく撃てる。そして銃の本体にはレールもあり、カスタムがしやすい。弾倉には四十口径の弾丸が三十発詰まっている。

 その他にバックから予備の弾倉を三本を出した。それを弾倉袋に入れた。

「悪いな、付き合わせたりして」

「気にすんな」

 村上は笑いながらハンドルを左右にきっていく。車をどんどん追い越し、アームズ社に向かう。

 アームズ社のビルはドーナツを半分に切ったような形をしていた。村上はスカイラインを裏に停め、裏口から入る事にした。UMPの銃把を握り、車から降りた。村上も助席に置いてあるベネリのM4スーパー90という散弾銃ショットガンを持って降りた。

 この銃の最大の特徴はセミオートマチックの散弾銃である事だ。銃床は伸縮式で扱いやすい。

 裏口にある電子パネルに警察のIDナンバーを打ってドアを開けた。中に入ると水色の壁をした通路を進み、業務用のエレベーターで最上階にある今野オフィスに向かった。

 松田はいつでも撃てるように棹桿を引いて初弾を薬室に送り込んだ。

 あっという間にエレベーターは最上階につくと扉に開いた。UMPを構えた先には今野ではなく……。

「元井……さん」

 サングラスをかけた元井がデスクの上に座っていた。村上はM4を元井に向けたままエレベーターを降りた。松田も構えながら降りる。エレベーターを降りてすぐに秘書の女が眉間を撃ち抜かれて倒れていた。

「マルタイは何処だ!」

 松田が叫ぶと、元井はゆっくりと立ち上がった。

「“何処だ”だと?」

 元井が不気味な笑みを見せる。村上がベネリを撃った。排莢口エジェクションポートから赤い十二ゲージのショットシェルが飛び出す。弾は元井の左腕とデスクに乗っていた電話を吹き飛ばした。

 元井は無表情でなくなった左腕を見る。

「おいおい、これ直すの大変なんだぞ?」

「もう一度聞く。マルタイは何処だ?」

 松田はUMPを構えながら言った。村上は引き金に指を置く。だが元井は何も言わなかった。村上が引き金を引く。その瞬間。元井は体を屈め、弾を避け――散弾した数発が顔に当たり、サングラスの右側がなくなる――間を詰める。

 慌てて膝蹴りをするが、元井は右の拳を放つ。村上は元井のパンチをまともに喰らい、後ろに吹き飛ぶ。絵画が掛けられた壁に突っ込み、絵画が外れて床に落ちる。

 松田は素早く照準を合わせるが、元井の方が早かった。右の拳が飛んでくるが、なんとかそれを顔を反って躱す事出来た。今度は松田が右の拳を放つ。元井の顔面に当たるが、やはり無表情。今度は左のミドルキックをするが、それは簡単に受け止められた。そして、そのまま投げ飛ばされた。

 松田はガラス製のテーブルに突っ込んだ。ガラスが派手な音を立てて割れ、飛び散る。元井が松田を掴み、引き起こそうとした時だった。銃声と共に、元井の頭が消し飛んだ。村上が倒れた状態でベネリを撃ったのだ。

 だが元井は松田を掴み続け、持ち上げた。松田はベレッタを引き抜き、元井に弾がなくなるまで撃ち続けた。遊底が後退したまま固まった。弾切れだ。

 すると、元井の体が震えだした。松田は元井を蹴ってなんとか腕から逃れた。今度は村上が得意の回し蹴りで元井を吹き飛ばすと、窓に突っ込んで落ちていった。元井の体はモノレールに使うワイヤーで真っ二つになった。 松田はベレッタの弾倉を替えながら溜め息をついた。

「そうだよ! マルタイには確か発信器をつけてたよな? ならGPSで位置を確認できる!」

 そう。清水の体には特殊な発信器――警護期間が過ぎると自動的に消滅する――が注入されている。それなら追跡可能だ。

 早速、村上は警察用携帯電話で発信器のナンバーを打ち込んだ。すると画面に地図が現れた。

「イージー・ライフ社?」

 画面にはイージー・ライフ社のビルがあるマスに赤い点が点滅している。

 イージー・ライフ社とは新井勉が二一八五年に立ち上げた会社だ。新井勉は科学者の中では世界で五本の指に入るほどの実力者。松田はそんな会社に何故清水がという疑問が浮かんだ。

「取り会えず行こう」

 松田はUMPを拾い、再びエレベーターに乗り込んだ。エレベーターは数秒で一階まで下りた。松田たちはエレベーターを降りて、スカイラインに乗り込んだ。村上はスカイラインを音を立てて急発進させた。

「この事件……どう思う?」

 村上が運転しながら言った。

「分からない。もしこの事件の犯人が新井だったらもっと分からない」

「……だな」

 村上はスピードを上げて走る。雨がフロントガラスやボディを叩く。ワイパーが忙しく動く。

 イージー・ライフ社までは十分程でついた。スカイラインを降りて、正面の入口から入った。

 正面に受付カウンターがあり、そこに女が二人いた。その二人に何も言わずエレベーターに向かう。松田はエレベーターのボタンを押した。

「四十二階だ」

 村上が画面を見ながらそう言うと、後ろから警備員が走ってきた。

「君たち! 何をしてる!」

 村上が警備員の顔面に肘打ちをし、気絶させた。受付にいる女が唖然としていた。

 エレベーターのドアが開き、中に乗り込んで、42のボタン押す。あっという間に四十二階につくと、見るからにアンドロイドの男たちが通路に立っていた。

 すると、男たちが右手を刃に変形させた。松田たちはそれぞれの銃に一斉射撃を開始した。銃弾を浴びて倒れる者もいれば、刃で銃弾を斬っていく者もいた。

 村上はベネリを撃ちながらエレベーターを降りると弾切れになった。そこに松田がUMPでカバーする。それを交互にしながらアンドロイドたちに撃ち込んでいく。

 すると二人の銃が弾切れになった。

そこに生き残った三体のアンドロイドが間を詰めてきた。松田は最初に来たアンドロイドの刃を躱し、アンドロイドの頭を掴んで壁にめり込ませた。村上は得意の足技でアンドロイドを吹き飛ばしていく。次に来たアンドロイドは村上が刃を躱しながら腕を捻り、そこに松田がアンドロイドの頭を膝蹴りで飛ばした。

 松田と村上は通路を進み、ドアを一つずつ開けて確認していった。一つ。また一つ。

 松田がドアを蹴り開けた。その中に清水はいた。清水は安堵の表情で松田を見た。そして、奥には新井が立っていた。松田はベレッタを抜いた。

「警察だ! 動くな!」

 そう言うと後ろから村上が同じベレッタを持ちながら来た。松田は構えながら清水に向かうと、突然横から蹴りが飛んできた。それをまともに腹に喰らった松田は後ろに吹き飛んだ。

 出てきたのは小柄な男だった。

 村上がベレッタを撃つが男は銃弾を躱して間を詰めた。そしてベレッタを持つ手を捻り、左肩を撃ち抜かれた。悲鳴をあげる村上。それを見て新井が笑う。

「これはなかなかいいよ」

 新井は横の椅子に座る今野に向かって言った。すると突然、新井がグロック19で今野の頭を撃ち抜いた。血と肉片がテーブルに飛び散る。

「だけど私より目立っては困るなぁ」

 そう言ってもう一発撃った。今度は脳みそと肉片が飛び散る。松田は立ち上がり、新井に向かった。しかし、男が立ちはだかる。右の拳を放つが、それよりも早く右の拳を喰らう。眼鏡が吹き飛ぶ。次に回し蹴りを後頭部に喰らった。視界がぼやける中、松田は構えた。

 松田は左右の拳を連続で放つ。だが全て男に躱され、腹部を蹴られた。続けて前屈みになった松田の頭を膝蹴りをした。そのまま窓を破って落ちる。



 清水が見守る中、松田は落ちていった。何も言わず、静かに落ちていった。新井は口を大きく開けて笑った。肩を撃たれた村上は歯を食いしばりながら男を睨みつけた。

「ホントにお前はいいなぁ〜」

 新井がグロックを握りながらゆっくりと歩いてきた。

「新井! そんな事して何になる!」

 村上が肩を抑えながら言った。すると新井はグロックの照門フロントサイトで眉を掻いた。

「邪魔なんですよ。私が新しい商品を出すとすぐに清水こいつ今野あいつが出しやがる」

「それだけの事で人を殺すのか!?」

「殺すんじゃない。障害物を壊すだけだよ」

 そう言ってグロックの銃口を清水に向けた。清水は銃口を見た。真っ暗な闇が広がり、清水はまるで地獄に行く気分になった。

「終わりだ」

 新井は口角を上げながらゆっくりと引き金を引いた。銃声。しかし弾丸は清水には当たらなかった。そのかわり、

「邪魔するな」

 村上は息を切らしながら倒れていた。口からは血がこぼれる。胸から血が溢れてきていた。

 新井はグロックを村上の頭に向けた。その時、窓ガラスが割れた。そこに現れたのは……

「貴様……」

 頭から血を流した松田だった。



 体が宙を舞い、ガラスの破片が雨の中を撒き散る。すると、太いワイヤーが脇腹にめり込んだ。松田はぐっと痛みを堪えながらワイヤーにしがみつく。横を見るとモノレールがゆっくりと向かってきた。

 松田は両足を上げた。背中をモノレールの屋根が擦る。そこで手を離し、モノレールの屋根にしがみついた。しかし、雨で屋根が濡れている為、思うように掴めず横に滑る。だが、なんとかモノレール下についたパネルに捕まった。

 モノレールはゆっくりと上に向かった。すると反対側を走るモノレールがこっちに向かってきた。松田は一か八かで屋根によじ登る。

 屋根に上がった松田は、ワイヤーに気をつけながら立ち上がった。モノレールがゆっくりと向かってきた。松田はモノレールが目の前を通った瞬間に飛んだ。飛距離が足りず、モノレールのボディに当たった。

 慌て窓の枠に捕まった。乗客が松田を見て目を丸くしていた。無理もない。地上五十メートルの高さを走るモノレールに人がしがみついているなんて前代未聞だ。

 屋根によじ登ると先ほど割れた窓がすぐ近くにあった。今度は助走をつけてから飛んだ。松田は窓ガラスを割りながら再びビルに戻った。

「貴様……」

 新井が目を大きくしながら言った。その側で村上は血を吐きながら倒れており、清水も椅子ごと倒れていた。

「邪魔するな!」

 新井がグロックを松田に向けるよりも早く、松田が目の前にあったテーブルを蹴る。するとテーブルは新井の腹部に当たり、テーブルに突っ伏する形になった。透かさず松田はグロックを払う。

 そこに男が飛び掛かってきた。松田は近くにあった椅子を使って男にぶつけた。男は真横に吹き飛び、デスクの上を滑っていった。その隙に松田は新井が持っていたグロックを拾う。そして、男が起き上がった瞬間に弾倉にある弾を全部使った。男は壁に寄り掛かるようにして死んだ。

 遊底が後退したグロックを捨て、今度は自分のベレッタを拾った。

「おい、英雄ヒーローさん! 撃てるもんなら撃て!」

 新井は村上のベレッタを清水の頭に突きつけていた。清水は今にも泣きそうな顔をしながら松田を見ていた。

「どうだ!? 撃てないだろ!? ははは!」

「……いや」

 松田は素早く新井の眉間を撃ち抜いた。新井は頭をのけ反らせ、椅子を巻き込みながら倒れた。

「……即死なら関係ない」

 そう言ってベレッタをホルスターに戻した。松田は清水の手首についた手錠を外し、清水を立ち上がらせた。次に村上の容態を見たが既に息をしていなかった。遠くからサイレンの音が聞こえてくる。

 松田は眉間から血を流して死んでいる新井を見た。事件は終わった。

お疲れ様です。

こんな作品を最後まで読んで下さって感謝いたします。感想は思った事を率直に書いて下さると嬉しいです。

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