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57.城下町で

スニークの活躍によって市街地に送られるクスの数は4体に抑えられていた。しかし、黒い翼をもつ巨大な竜がその街を覆うさまは不吉以外の何物でもなく、状況そのものが好転したわけでもないのであった。

 「お前たちは地上に目を向けていてくれ。上空の事は彼らに任せよう」ジャニーは自らの率いる兵士にそう声をかけた。地上の黒人形はヲサイヤの白人形及び上級魔法使いが対応してくれている。この戦況を大きく動かす必要性はないだろう。超級魔法使いを王たちの援助に向かわせる。少しでも足しになるだろう。

 何やら王とサーロンは話している様子だった。本来ならば、ジャニーと王が連携を取ることもできたのであろうが、王立図書館の大司書サーロンはこの場においては王の次に強いことは彼も分かっていた。ここは彼らに任せ、自分たちは地上の任務に専念するべきだろうと思った。

 気がかりなのは竜が4体もいて、それぞれの強さが彼にも全く分からないことであった。王やサーロン自身の実力も不明であるし、彼らの力で鎮圧できるのか、それとも竜はそれ以上の力を持っているのか。その点が一番の問題である。

 話が終わったようだった。王は超級魔法使い達をしばらく下方に配置した。それも、なるべくそれぞれがお互いに距離を取っているように、である。完全に守りの手だった。恐らくは、竜が直接街に攻撃を仕掛けた際に対応できるようにといった策だろう。

 対して自ら、及びサーロンは引く様子もなく竜たちと対峙している。自分達が矛になることを決めたとはいえ、最初の一手を伺っているのだろう。

「クスクススススススススス」

一体のクスが声を上げ始める。伴って王が構える姿勢を取った。

開け放たれたクスの口からは火球が次々と王へと向かっていく。その熱さは、地上にいるジャニーが感じることのできるようなものであり、これが街に一つ落ちればその被害は尋常ではないことが想像できた。

家一戸分ほどの火球が3つ、王へと襲い掛かる。王はたじろぐでもなくたたずんでいた。

「あんなもの、防げるものなどいるはずが・・・」

焦ってはいけないと分かっていても、国王への忠誠心からジャニーは気が気ではなかった。

そして、人3人分ほどの間を空けて火球が王に迫った時、王は体の周りに結界を展開した。と、火球は勢いをかなり落し、最終的には王のマントで払われてしまった。

「王家の魔法は守りの魔法。それだけではない。竜から人々を守るために創られたその歴史を、お前たちに見せてやる」

王。その国の主たる威厳を証明する者の姿であった。


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