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53.深部へ

その白い鳥は、速度を緩めることなく、むしと速めるようにして暗闇を奥へと飛んでいった。その間何度も何度も行進する黒人形とすれ違った。スニークは考察する。先ほどの林でのこの黒人形同士の間隔と、この洞穴での彼らの間隔は微妙に異なっている。黒人形には3種類存在しているが、中の一体に歩行スピードが速いものがいる。この三種類が等間隔で排出されれば、距離を増すごとに、速い黒人形は前を歩く別の種類の黒人形に追い付くように距離を縮めていく。先の林では、その距離がこの洞穴でのそれより近くなっている為、この洞穴で排出されたばかりということが分かった。等間隔が等間隔のままであるということは、同じペースで彼らは命令と受けて出発しているということになる。それがこの奥へと続いている。

道中、黒人形にぶつかったり、壁に衝突したりすればかなりの痛手を負うだろう。この速さで飛んでいるからこと、黒人形には感知されていないのだから、一度でもロスをすればたちまち悲惨な状況になる。

スニークは感覚をかなり研ぎ澄ました。洞窟での任務はこりごりだと思いつつも、適性が身に着いてきたのも確かである。

漸く、その白い鳥は羽根を落ち着ける。もう、深部にたどり着く寸前であった。狭い道の終わり、この先のだだっ広い空間にその指令者と黒人形の待機場があるに違いなかった。

「・・・」

策のないままこのまま突入するのは全くのナンセンスで、頭を回転させる必要があるのは当然の事だが、時間が全くない。既に感覚を空けて次の黒人形が近付きつつある。どうするべきか。集中を深くするスニークの耳に聞こえてくるのは、なんとも不思議な生き物の荒い息であった。

その生き物はかなり低く、この洞窟に相応しく響く声の持ち主だった。息遣いから、かなりの大きさであることがうかがわれ、彼の対峙したどの生き物よりもエネルギーを持っているだろうことが分かった。

(これは、まさか)と思う彼の耳に、今度は全く別の種類の生き物の声、すなわち人間の声が飛び込んでくる。

「分かってるから。入ってきてよいのよ」

こうなってしまえば、先ほどまで考えていた策を捨て、素直にその場に入っていくよりほかの方法がなかった。黒人形も近づいてきている。

白い鳥は飛び立ち、その広い空間へと突き進む。やはりかなりの広さの中に、何体かの巨大の生き物の動きが感じ取れた。そして、先ほどの声の主はその空間の中央当たり、しかも仰向けに寝ているような恰好でそこにいることが分かった。

「竜だろ。これは」

人の姿に戻ったスニークは対話に応える形で時間を稼いだ。この状況は戦いにおいては絶望的に不利だ。相手が何をこの化け物たちに命じるか分かったものではなかった。

「そうよ。あなたたちのところでは見慣れないかもしれないわね」

「俺たちのことを知っているのか」

「知ってるも何も、この竜たちはあなたたちのところへと今送っているところなのよ」



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