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39.集結

「話を整理しよう」

王の間に集結していたのは、近々国の未来をかけて戦うことが期待されている面々であった。白魔法使いのユハ、ニラード、ヲサイヤ、ソニーワイドに加え、東の山海賊のソール、そして北の魔女サリア。これらを統率するのがこの国の王、ガンセンそして姫のソランであった。

「ニラード、イカゴでは何があった」

「はい、私とユハが岸に着いた時、そこは既に戦場でした。待ち伏せをされていたのだと思います。多くの黒人形によって囲まれ、苦戦を余儀なくされました。今回、従来のものとは異なったいでたちの黒人形が2種類いたためにらくな戦いではありませんでした。死傷者を出したのは事実ですが、なんとかその場を収めここに帰還いたしました。新たな2種類の黒人形の情報は資料を作って皆さんに後ほどお配りします」

「そうか、なぜ待ち伏せを?」一同は考えた。執事も以前より思案に暮れていたことだが、どうもやはりタイミングに問題があったらしい。

「それは後で考えよう。次にヲサイヤ。東の報告を」

「はい。我々は東の山海賊の領域に足を踏み入れました。ここにいるソールを仲間に引き入れるためです。理不尽な奇襲を受けましたが特に死傷者を出すことなく、山海賊の長との面会に成功。力を貸してくれることとなりました」

「楽な遠征ではなかったろう。余の事については何か言ってなかったか?」

「いえ。特に国同士の話をすることはありませんでした。我々を助けようというよりは、ソールの経験の為にという理由で助力を得たという感触でした。そのほかの山賊、海賊をよこしてくれるなどといった気は起こしてくれませんでしたからね」

ソールはなんともいえない表情をしている。二つの国の事情に挟まれて、なんとも虫の居所が悪かった。

「分かった。次は北へ行った時の報告だ。当初、『廃滅の魔女オブノーラ』を取り込むためにこの地を発ったが、道中一人の召使を失ってしまった。魔女の誘惑に乗り、深い森の中へと消えてしまったのだ。『廃滅の魔女』の領域に至り、オブノーラと接触することに成功した。しかし魔女の世界の事情により彼女の助力を得ることはかなわず、代わりにその弟子であるサリアを迎え入れることに成功したのだ」

「は、はい!よろいくお願いしあm州!」

サリアは聞かれてもいないのにテンパって返事をするなどしている。

「そして最後。ここでは何があった?ソニーワイド」

「はい。ユハ様、ニラード様がイカゴへ行き、ヲサイヤ様、王様がこの地を発った後で、残されたのは兵の半分とソラン様、そしてジャニーを私でした。イカゴでの待ち伏せの報告を受けて兵の更に半分を派遣した結果、白の防御は手薄になったと言えるでしょう。その隙をついてか、2人の黒魔法使いによって襲撃されたのです」

「そうだったな。そのことについて詳しく聞かせて欲しい」

「はい。ジャニー様の報告をまとめさせていただきます。大男が城門に鎮座し彼らの注意を引きました。その間に小男の方が城に侵入。私達のところへと至りました。大男は感情をかき乱す技を心得ていたらしく、兵の統率ができなかったと、ジャニー様は言っています」

「厄介だな。早急に対策を練らなければまた突破されてしまう」

「ソラン様は部屋に隠れていたのですが、何故かその先にもまた別の男が既にいて、何やら示唆に富んだ物言いをしていたと聞いています」

「ソラン。それについて教えてくれ」

「うん。また来るって言っていたわ。だからいろいろ安心できないのよ。皆が戻ってきてくれて本当にほっとしているわ」

「一体何がどうなっているんだ。城内に進入してきたのは小男一人だけじゃなかったのか」

「そのはずです。私は部屋の前におりましたから、しっかりあたりの様子は把握できています」

「そもそも悪い方向に運びすぎている。アサゴでの待ち伏せ。それに伴う兵の派遣の間に城内が突破される。それも余とヲサイヤが不在にしているこのタイミングでだ」

「まさに相手にとっては絶好だったでしょうね」ヲサイヤが口を挟んだ。

「今回は敵の策があまりにも完璧でした。まず我々が国にいないことを把握した上での決行。アサゴに黒人形を配置して更に城から兵力を割かせる。弱まった国力を見て直接城に攻め込んでくる。どうしてこのような万全な策を講じることができたのでしょうか」

「それについては、ソニーワイドが良い働きをしてくれた」王は執事の方を見る。

「はい。私も今回は相手に利がありすぎると思いました。そこで考えたのは、①この状況を把握することのできる、偵察に優れたものが敵の側にいる。②この状況をこちら側から伝えているものがいる。この2つです」

「内通者ってやつか」ソールがここで漸く口を開いた。

「そんなものが存在するとしたら、今この場にいないやつを置いて他にないだろう」ヲサイヤが指摘している人物のことは、ソールとサリア以外の全ての人が分かった。

「スニーク・・・」ニラードは割と思ったことをすぐ口に出す。

「その答え合わせができるものがいます」執事は目配せをした。

「どういうことだ。まさか帰ってきているのか」ヲサイヤの目に殺意の炎が灯る。

「いえ、黒魔法使いです。私が捕らえました」

部屋に連れられて入ってきたのは、先の小男であった。


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