35.同時刻、王都
既にガンセンが魔女の土地へ、ヲサイヤが山海賊の土地へ出向いた後であった。兵との連携で少し時間がかかったが、既にユハとニラード達はルーハイへと向かっている。都に残っているのはソラン姫に執事、そして半分の兵である。
「一気に寂しくなったわね」ユハのことを想ってなのか、全体的なことを言っているのか。ともかく、ソランはこう呟いた。
「何事も起こらないといいのですがね」
城の周りはジャニーをはじめとした兵士たちが守ってくれている。その中には、新入りの兵が多く補充され、国力は次第に回復に向かっていっていた。
「そろそろイカゴへと向かわれた頃でしょう」この場においては白魔法使いと連絡を取ることのできるのは執事しかおらず、姫は彼の言葉をきいて事情を把握するしかなかったのである。
「スニークさんとは連絡が取れないの?」彼女の心配事の1つがやはり、長い間連絡の取れない彼についてのことだった。
「そのようですね、状況が安定してきたら、捜索隊を派遣することも考えましょう」
「どこかで危ない目に遭っているんじゃ・・」
「それには及びません」心配をする必要はないと彼は言う。
「地下室にはまだ彼の視覚が保存されています。つまり、彼はまだ能力を奪われた状態であること。白魔法との契約中にあることを示しています」
「だったらどうして・・・」
「そればっかりはどうしてもわかりません。特別な事情があることは確かでしょうが、彼を追求することは今の優先事項ではないでしょう。失礼」ユハ達から連絡があったようだった。
「そうですか、それではこちらからもう半分、兵を送るのがよろしいでしょうか。はい、かしこまりました。ただ今」
「どうしたの?」
「イカゴで敵に囲まれました。戦力が足りないので、送ってほしいとのことです」
「待ち伏せされていたの・・・?」
「そういうことになりますね。何故でしょうか。今回の遠征は突発的に決めたことですから、情報が洩れるといったことはあまり考えられない。要所要所に見張りを置かれていたか、或いは情報をすぐ流す内通者がいる、とも考えられますね」
「信じられないわ。裏切者がいるってこと!?」
「飽く迄一部の可能性です。ジャニー様を呼んでこさせましょう。彼に状況を説明して、兵を送っていただきます」




