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「出ました」王立図書館の大司書、サーロンは大図鑑を眺めていた。

「ザウルグです」

「やはりですか」執事は彼の向かいに座り、渋そうな顔をしている。

「もう少し詳しく聞かせてくれませんか?」

「はい、ザウルグというのは元々イカゴに生息していた怪物で、ここには伝説に残る限りの記述しかありませんが、まさに今目の前にいるこやつらの特徴と一致しております。たった一つの大きな目。一本一本が堅くて黒く、太い体毛に覆われている」

「イカゴ原産ですか。どうりでこの国では見かけない訳です」

「それがどうしてこんな、ルーハイという土地にいるんでしょうね」

「それは私が質問したいところですが、心当たりがあります。まず、いきなりアサゴに生息するようになったのではなく、イカゴからやってきたんでしょうね。生体が多かったのもそのせいでしょう。泳いで渡るには幼体には難しい。だとしたら、何か理由があってやってきている筈です」

「食べ物を求めに来たとか?」

「何を食べるんでしょうね、そこまでは分かりませんが、可能性としては残しておきます。私の見立てとしては―」

「ほう」待っていたかのように身を乗り出すサーロン。

「―天敵が現れた―あたりでしょうか」

「というと?」

「先日現れた黒人形に関係があるように思えます。あれらが現れたのもここ最近のことでしょう。尤も、人形は食事はしませんから、食べ物を奪い合うことはしないでしょうね。しかしあの戦闘力と異様さは、ザウルグをおびえさせパニックに陥らせるには十分でしょう」

「それほど危険なものがイカゴ内に生息しているというのか。ザウルグも含め、アサゴにとってはちょっとした脅威ですぞ」

「そうですね、ここから先はガンセン様の伺いを立てなければなりませんが、性急に解決しなければならないようです。またいつ次のザウルグの群れがルーハイに上陸してくるかが分かりませんからね」

「全く、大変なことになったもんだ。この国が忙しくなったのは、ここ20年くらいずっとなんじゃないですかね」

「何か決定的な行動を起こす必要に迫られています。目を向けるべきは国外の世界です。そうしなければ国民の不安が収まりません」

執事は図書館を去った。まっすぐ王宮へと、王のいるところへと向かっていった。依然として連絡の取れない男のことを思い出し、彼は不安そうな顔をした。

「一体何がどうなっていることやら・・・」

スニークの現在を知る者は彼しかいない。


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