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燦然とした鳥は少女の形となり、おぞましい生き物たちの上空へ現れた。左手で7体の頭、それらを数えるようにかざし、右の手で天を指さした。立方体の空間がそれらの上に覆いかぶさって怪物たちを包み込んだ。今度こそ動けなくなったのを知るや否や、それらは急に大人しくなって立ちすくんだ。
「・・・皆は、大丈夫なの」
彼女は聞いた。ニールは自分の身体がぴんぴんしているという事実に気付くのに少々時間がかかり、返事ができないでいた。彼女は、倒れている大人たちの元へ駆け寄ると彼らの介抱を始めた。
「ニラードか・・・」
「今治すから、ゆっくりしてなさい」
「こんな無様な姿、見たくはなかっただろうな・・・助けてくれて・・・ありがとう・・」
「久しぶりに帰ってきたと思ったらこんな状況だとはね。恩返しをするには万全な状況とは言えないわ」
「いや、この窮地を助けてくれただけで何とお礼を言ったらいいか・・子供の命を救ってくれて、ありがとう・」
「あぁ、彼だけ無傷ね。他の子供はどうしたの?」
「山の方に他の物を導いているはずだが」
「ともかく場違いな子ね」ニラードは振り返ると、7つの立方体を直列に繋いだ。
「じゃあ、このまま行きなさい」
蛇のようなうねりを見せて、箱の集まりは遠方、王都へ向けて旅立っていった。
「あ、ありがとうございます。あの、僕」
「話はあとにして。あなたに構っている暇はないわ。皆を助けるのが先よ。もうじき他の人たちが来る。それまで皆を少しでも回復させないと」話が終わらないうちに、彼女は他の人びとの元へ行き、治療を始めていた。
「僕も少しなら傷を癒せる」ニールは少しでも役に立とうと、怪我の軽い者の治療に取り掛かる。
もう少し経って後援が追い付いた。既に送還される怪物と入れ違いになっていた彼らは事情を把握していたらしく、共に怪我人の救護にあたった。ニールは森の人びとに安全であることを知らせに戻った。
危い行動をとったことを咎められはしたが、それ以上は何も言われなかった。村の被害、それも人命の面で多く受けてしまったルーハイというこの地域は、一気に静かになった。
助けが来るのが遅かった「海のラグ」はほぼ全滅していたし、村での戦いを見せた『山』も重傷を免れなかったのである。
長い間平和を享受してきたこの村において、今回の事件は様々な教訓を与えただろう。残っている村の人間で今一度情報の共有が急がれた。




