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ニールは村の広闊な大地にできた穴を見下ろしていた。5メートルほどの深さの穴がそこにはあり、7体ものそれらは、結界に閉じ込められて身動きができないでいた。

「ギリギリ気付いてくれて良かったよ」

彼の両隣に、村の大人たちがついていた。「山のラグ」の大人たちは、このような仕方でインエイグマを捉える。体の大きな熊に普段使っている魔法を、この怪物に応用したというわけだ。彼らは最初仲間が犠牲になったことを受け、敵の強さを推し量った。そしてまずは息を潜めるよう、魔法を使い気配を消していたのだという。狩りに使う魔法だったが功を奏したようだった。もしこれが「海」や「森」だったら、また違った戦い方があったのだろうか。

「王宮の使いが来るまでこのまま抑えておく。それまで他の者を呼び寄せるな」

大人はそう言い、怪物たちを観察していた。

ニールも同様、やつらの姿を確認しようと穴倉を覗き込んだ。それらは、ぎゅうぎゅう詰めの結界の中を窮屈そうに蠢いていた。7つの目。それが一斉に光りだし、群体は激しく暴れ始めた。

「おい、どうなってるんだ・・・!?」

魔法をかける大人たちの手が震え始める。結界が弱まっていく。

「やばいな―離れろ!!!!」

――パキン。

嫌な音がして、7体は飛び出した。それも不幸にも、かなりの勢いをもって。彼らは、結界を自分達に施してきたその術者に矛先を向けた。殊更大きな体格をもつものから怪物の餌食となっていった。明らかに激怒していた。

―バン、バンという音を立てて、呆気なく大人たちはなぎ倒されていった。暇を持て余したそのうちの一体がニールの元へ向きを変え、そのまま進んできた。魔法の盾を作り、それを押しやったが全く効果が無くそれは突き進んできた。

―もう、自分を助けてくれる人はいない。周りを見回すと、瀕死の大人たちがそこら中に転がっているだけだった。空を何かが飛ぶ音がする。それは鳥だった。自分の死の瞬間をその瞳に収めようと、こちらをずっと見ているのだろうか。そのまま近づいてきたその鳥は、白く輝きだすと人型に姿を変えた。

幻想を見ているような気分であった。

―死んでこのままこのまま連れていかれるのかな。向こうの世界に。

「僕を連れて行って」

手を差し伸べるニール。短い人生だったが、未練はなかった。村の犠牲になった人々が不憫であったが、今となっては彼もその仲間。力が未熟であったことは時が彼を見捨てたからだ。

もう少し、彼が長生きして、力をつけていれば村人たちを危険な目に遭わせることはまずなかっただろう。

彼の回想をよそに光の人は、ニールをかすめて怪物の方へと向かっていった。


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