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08 レイブン


 ICUフロアをケインが駆け去っていく。


 斉藤は傍らに立つ石井真樹を見た。

 真樹は受けた視線を廊下の先に向ける。

 ケインを追って足早に遠ざかって行く二人の男が見えた。


「バックアップだ。心配ない」真樹は言った。


「この病院で、あいつの行くところは決まっている」斉藤は言った。


 真樹は微かに首を傾げる。


「西エリアの研究棟だ。そこに妹がいる」


 真樹はポケットから小型のイヤフォンマイクを取り出すと、ケインを追っている同僚に指示を出した。


「サイトウさん」

 ジェイミーが声をかけた。

「サラに面会できるように交渉してくる」


「わかった。俺も後から行く」


 斉藤はICU受付に向かうジェイミーを眼で追いながら、真樹に言った。


「頼みがある」


「内容は?」


「人を捜してほしい」


「専門外だ」

 真樹は素っ気なく言った。


「探偵じゃない」

 斉藤は首を振った。

「IDの認証履歴」


 真樹は表情を変えた。斉藤に向き合い、鋭い眼でじっと見つめる。


「……情報省にクラッキングしろと?」


「内部にルートがあるはずだ。イーノ・セキュリティなら」


 真樹はしばらく黙っていたが、ついと視線を外した。


「ボスに連絡する」


 それはほとんど承諾したという意味だ。


「これがIDだ」


 斉藤はメモを真樹の手に渡した。


「高くつくぞ」真樹は小声で言った。


「金は問題ない」


「……待っていろ」



 真樹はそう言うと足早に歩いて行った。

 会社と連絡を取るために通信ブースに向かったのだ。

 斉藤はフロアに配置されているソファに腰を降ろした。


 疲労した様子で目頭を押さえ、動きを止める。それは束の間の休息を取っているように見える姿勢だったが、斉藤は強い精神力で自身の感覚を極限まで集中させていた。


 —荒神よ。


 斉藤は強く念じた。


 —どうした。答えろ、荒神。


 懸念があった。

 昨晩まで感じていた荒神の存在感が今朝になって消えていたのだ。

 斉藤は心の中に静かな水面を描き出した。

 その波一つない水面に水滴を落とし、感覚の波紋を広げる。波紋は同心円を描きながら広がり、減衰して消えてゆく。


 斉藤はこの波紋の感知法を含めていくつかの思念操法を荒神から教わっていた。しかし、いつもなら必ず捉えられた巌のような存在感が感じられない。


 荒神はラボ・タワーにいる。

 既に何年も会ってはいないが、思念による連絡は斉藤の脳に直接送られて来ていた。それは大抵明け方の浅い眠りの時間帯で、その度に悪夢を見るような苦しさに目覚めたものだ。


 —荒神よ。


 斉藤は念を送る。


 —ケインは『フレイム』を発現させた。レイブンから聞いているはずだ。


 深層記憶探査の過程で『焔』の発現を待ったが、それは起きなかった。

 荒神はケインをレイブンの『不可知領域』に取り込み、強制的に発現を促すと決めた。そして対戦相手であるフラクタル社のチームにレイブンを送り込む手配をしたのは、斉藤だった。


 その斉藤の動きに間宮が不審を持った。


 斉藤は逆に間宮に情報漏洩の嫌疑をかけ、行動の自由を奪った。

 今もイーノ・セキュリティのスタッフによってマンションの自室に軟禁されている。

 間宮にしてみれば身に覚えのない疑惑だから否定するしかない。そして否定すればするほど、拘束は長引く。


 数週間前、荒神は思念によって『次のラボ・タワーでの深層記憶探査が最後の機会になるだろう』と伝えて来た。


 ケインか、それとも妹であるミオが理由なのかはわからない。

 年齢による成長に伴い、脳の神経組織の結合状態も変化する。繰り返し行われたダイブで蓄積された潜航航路データが役立たなくなってしまうのかも知れない。

 いずれにしても十年近い時間をかけた計画は、その最終段階を迎えていた。

 ここで失敗すれば今まで積み上げて来たすべてが水泡に帰すのだ。


 —荒神よ、障害はすべて排除した。


 茫漠とした空間に向かって念を送り続ける。


 —どうしたのだ。なぜ答えない?


 斉藤は闇の求道者に向かって呼びかけた。


 —これから俺は、どうすればいいのだ?



「どうした? 大丈夫か?」


 眼を開けると、真樹が立っていた。


「ああ」

 斉藤は手の甲で額の汗をぬぐった。

「大丈夫だ」


「具合が悪そうだが?」

 真樹は隣のソファに座ると、気遣わしげに言った。


「もうわかったのか? さすがだな」

 斉藤は小さく笑ってみせた。


「IDの最終認証はこのメディカル・センターだった」

 真樹は斎藤の横顔を見つめながら、低く言った。

「その人間は、ここに入院している」


 斉藤は驚いた様子もなく部屋番号を訊いた。


 真樹は眼を細めた。

「知っていたのか?」


「おそらくそうだろうと予想はしていた。だが、部屋まではわからない」


 斉藤はそう言うと膝に手を突いて重たげにソファから立ち上がった。


「ケインのガードを頼んだぞ」

 真樹を見下ろし、硬い声でいう。

「明後日の深層記憶探査は、必ず受けさせるんだ」


 真樹は斉藤を仰ぎ見た。

 鋭く、厳しく、そして思い詰めたような顔だ。

 何かに取り憑かれているようにも見えた。


「あんた……」

 真樹は立ちあがった。

「何か情報を隠しているな?」


 真樹に背を向け、斉藤はぼそりと言った。

「在日米軍に動きがあったら、教えてくれ」


「待て!」

 真樹は怒りのこもった口調で言った。

「今度は米軍か。いったい何が始まるんだ!」


 斉藤は答えずに歩み去って行く。その背中には問いかけを拒む堅さがあった。



 斉藤はエレベーターで中央棟最上階にある個室病室フロアに昇った。

 木目の美しい木の壁、深い臙脂色の絨毯が敷かれた通路は、一流ホテルのような重厚さだ。分厚い絨毯を踏みしめ、ある部屋のドアの前に立った。

 認証プレートに向かい、IDをかざす。

 網膜のスキャンを受けると分厚い木製のドアは音もなくスライドした。


「入るぞ」


 斉藤は低く声をかけ、足を踏み入れた。

 広い室内はホテルのスイートルームのように豪華なインテリアで飾られている。

 ただすべての窓のカーテンは引かれ、部屋の中は夕暮れのように薄暗く、しんと静まり返っていた。


 斉藤は部屋を横切り、奥にある寝室のドアを開けた。

 照明の消された室内は暗い。バイタルデータが表示されたディスプレイが闇の中で青白く光っている。斉藤は暗闇に向かって眼を凝らした。

 ディスプレイの微かな光に照らされて、セミダブルのベッドと壁際に並ぶ医療ユニットが浮き上がる。


「あなたのIDを登録しておいたの」

 ベッドから女性の声が言った。

「あなたがここに来ることは、わかっていたから」


 暗闇に慣れた眼に、ベッドに仰臥する人間の輪廓が見えた。

 斉藤は枕元に歩み寄り、置かれていたストゥールを引いて腰を掛けた。


「……ひどい火傷だな」


 ベッドの女性は顔全体を皮膚保護用のポリマーマスクで覆われ、毛布から出した両腕は指先から肩まで包帯が巻かれている。


「あれは煉獄の火よ。なんて恐ろしい……」

 女性は低く言った。

「あの子があんなものを生み出すなんて……」


 斉藤は身を乗り出して言った。

「聞いてくれ、飛鳥。荒神が捉えられなくなった」


 飛鳥と呼ばれた女性は微かに身じろぎをした。枕元に広がった豊かな黒髪が揺れる。

「荒神……」


「お前が奴と最後に思念で話したのはいつだ?」


「ねぇ」

 マスクの口元のスリットから、ふうっと深い溜息が漏れる。

「私たち、何年ぶりに会うのかしら?」


 斉藤は口をつぐみ、ゆっくりと頭を下げた。

「……すまない」


 沈黙の時間が流れた。

 脈拍をモニターする小さなクリック音が響く。


ずるい人」


 飛鳥は囁くように言った。斉藤は頭を垂れたまま黙っている。


「マスクをとって」

 飛鳥は言った。

「あなたが見たい」


 斉藤は手を伸ばし、慎重にポリマーマスクをめくった。

 微かな光の中に、白く美しい顔が現れた。

 大きな黒い瞳がじっと斉藤を見つめている。


「飛鳥、俺は……」


「疲れた顔」

 言葉を遮り、飛鳥は言った。

「無理をしているのね」


 斉藤は入って来た客間を振り返った。天井にカメラアイは見当たらない。


「ここは大丈夫よ。そのためのお部屋だから」


「誰が手配したんだ?」


「朝比奈博士」


「そうか」

 斉藤は吐息をついた。

「やはり、荒神は……」


「荒神の力は尽きようとしている。もう研究の主導権は朝比奈博士が握っているわ」


「それは、いつからだ?」


「あなたとあの子、ケイン君がラボ・タワーを出て行ってからよ。荒神はあの子のために残っていた力を使い切ったのかしら。急速に衰えてしまったわ」


「それで、朝比奈博士は」


「多分、荒神をどこかに隔離した。博士は思念で会話できることを知らないから、それで充分だと思ったのでしょう」


「荒神は、俺に何も言わなかった」


「必要がなかったからよ」

 飛鳥は、きっぱりと言った。

「あなたの役割は、あの子のブレイン・ギアが深々度に到達できるように試練を与えて鍛え上げること」


 斉藤は眉根を寄せて考え込んだ。

「それは、そうだが……」


「言ったとして、あなたに何かできて?」


 斉藤はむっとして顔を起こした。

 飛鳥はまっすぐに斉藤を見つめている。その眼に非難する色は浮んでいない。

 現実を直視すれば、たしかにできることは何もなかった。


 斉藤はふうっと大きく息を吐いた。


「では、次の深々度ダイブは?」


「予定通り行われるわ」


「荒神は、次が最後の機会になると言った」


「それは、聞いていないわ……」

 飛鳥は疲れたように眼を閉じた。

「でも、確かに中間点にさえ到達できなければ、とてもその先の重圧には耐えられない」


「フォローできないか? お前の力で」


 飛鳥は押し黙った。頭の中で、様々な考えが巡っているのがわかる。

 沈黙は続く。ようやく飛鳥は口を開いた。


「朝比奈も荒神も求めているものは違う。私とあなたも、違う。でも」

 飛鳥は強く言った。

「方法は一つしかない」


「……」


「深く潜るしかないの。自分の力でね。誰も手助けなんて、できやしない」


 斉藤は険しい顔で飛鳥を見つめた。


「私は荒神のように闇を求めているわけでも、あなたのようにこの世界を憎んでいるわけでもない。でも、どんな理由があったとしても」

 飛鳥はこみ上げる感情に声を震わせた。

「そのために優をあんなところに沈めてしまうなんて……私には、許せない」


 斉藤は唇を堅く結び、黙っている。


「しかも、優の子供たちまで使って」

 飛鳥は目をつむったまま顔を振った。

「なんてむごいことを……!」


「すまないとは、思っている」

 斉藤は視線を逸らし、苦しげに答えた。

「しかし、俺もお前も、荒神に従うしかないんだ」


「一緒にしないで!」

 飛鳥は声を上げた。

「憶えていないの? 言ったはずよ。私はただ優を助け出したいから協力しているんだって!」


 脈拍のクリック音が早まる。ベッドに横たわった飛鳥は喘ぐように大きな呼吸を繰り返し、たかぶった気持ちを鎮めようとした。

 斉藤は顔を上げた。飛鳥の頬が濡れている。

 閉じた目尻から溢れる涙を、斉藤は指でそっと拭った。


 硬い声で飛鳥は言った。

「荒神は消えてはいないわ」


 斉藤は息を呑んだ。

「本当か?」


「微かだけど感じるの。どこかはわからないけど、確かに存在している……」


 斉藤は深く長い息を吐いた。

 それは安堵の息のようでもあり、未だ桎梏から逃れられないことへの嘆息のようでもあった。

 飛鳥はゆっくりと眼を見開き、天井を見上げた。


「今度こそ、あの深淵から優を救い出す」

 自分自身にいい聞かせるように、飛鳥は言った。

探深錘アンカーだった私を、優は助けてくれた。夢の底に沈められ、ロストしかけていた私を……」


「三十年前の、実験だな」斉藤は言った。


 当時のラボ・タワーでは意識の深層にダイブする『人体実験』が極秘裏に行われていたと斉藤は聞かされている。

 選ばれた被験者は十四歳までの少年少女達で、御門優と飛鳥はその中にいた。

 そして危険な実験は『闇の具現化』によるラボ・タワーの消失事故を引き起こし、すべては終わった。そのはずだった。


 しかしブレイン・テクノロジーの創発という科学革命は、中止されたその実験に新たな可能性をもたらした。

 ブレイン・ギアは本来『知覚を保護する外殻』として研究・開発されている。つまりむきだしの精神でダイブするのではなく、ブレイン・ギアを深海探査艇のように使えば、意識の最深層に到達するのは決して不可能ではない、と。


「意識の底にある障壁に到達できたのは、優一人だけ。そして優の魂は今もそこに繋がれている」

 飛鳥は重く言葉を続けた。

「優を助けるには障壁を裂くしかない。でも、そんなことをしたら何が起きるか……」


「再び現れるのか、『闇』が……?」


「根源の恐怖……」

 飛鳥は呟くと頭を振った。

「荒神も昔は確かにそれを『闇』といっていた。でも今では、どのような言葉も概念も当てはまらない、こちらの世界では存在し得ない完全に異なったものと考えているみたい。人間には到底理解できないものよ」


 飛鳥は短く笑い、初めて揶揄する口調で言った。


「本当は、荒神だってわかっていない。あの男は、唯それが見たいの。たとえそのために世界が滅ぶとしても」


「そのために『フレイム』は生み出された」

 斉藤は重々しく言った。


「そう。荒神と、私達によって」

 斉藤は飛鳥をじっと見た。

「あなたも私も知らない。あの紅蓮の炎がどこから来たのかを。私達は恐ろしい業火の種を、あの子に植え付けてしまったのね……」


「飛鳥」

 斉藤は身を乗り出した。

「俺達はもう引き返せない。やるしかないんだ」


 疲労の滲む声で、飛鳥は呟いた。

「……わかっているわ」


「それならば」


「私はあの子を深淵まで連れて行く。あの子しか障壁は切り裂けないから」

 飛鳥の声は暗く沈む。

「それでこの世界がどうなるかなんて、私は知らない。でも、これを終わらせるには、それしかないの」


 再び、室内に沈黙が流れた。

 しばらくして、枕元の医療ユニットからブザー音が鳴った。


「点滴が始まるわ」

 飛鳥は気怠そうにいい、眼を閉じた。

「多分、眠ってしまう」


「飛鳥、頼みがある」


「もう、行ってちょうだい」飛鳥は顔を背けた。


「これが本当に、最後の頼みだ」

 斉藤は身体を乗り出した。

「もう一度、ブレイン・バトルに」


「……」


「飛鳥?」


 静かな寝息が聞こえる。飛鳥の胸がゆっくりと上下している。

 斉藤はしばらく飛鳥の顔を見つめていたが、急に顔を強張らせた。

 寝室の中ににかわのような獣臭い匂いが立ち籠めてくる。


「お前……レイブンか?」

 飛鳥は規則正しい呼吸を繰り返している。

「レイブンだな?」


 飛鳥は顔を背けたまま肩を震わせ、くつくつとわらった。


「答えろ!」

 斉藤は厳しい口調で言った。


五月蝿うるさい奴め」

 しわがれた老婆のような声が応えた。

「こいつが眠らなければ、わしは出て来れないのだ」


 飛鳥、いや、レイブンが顔を起こした。

 闇の中に赤い眼がひかる。

 斉藤は拳を握りしめた。


 深淵でロストしかけた飛鳥を乗っ取ろうとしたのが、この誰ともわからない過去の魂魄だ。この魂は大鴉エル・クエルボと名乗り、『魂の器』である飛鳥の肉体に無理矢理居座っている。

 レイブンが発生させる『不可知領域』は、大鴉という魂が数百年以上彷徨っていたであろう意識の底、深淵の闇そのものだ。


「頼みがあると言ったな?」

 レイブンはからかうように言った。

「聞いてやる。いってみろ」


「きさま」

 斉藤は低く唸った。

「調子に乗るなよ」


「ならば、帰れ」

 レイブンは即座に言った。

「お前に用などないわ!」


 斉藤は大きく息を吐くと、声を絞り出した。

「頼む、レイブン」


「……」


「もう一度、ブレイン・バトルに出てくれ」


「いやだ」


 かまわずに斉藤は言った。

「俺のチームに加わって欲しい。ジャパン・カップで優勝するんだ」


たわけ!」

 レイブンは吐き捨てるように言った。

「それでわしになんの得がある?」


「お願いだ。頼む」

 斉藤は深く頭を下げた。


 レイブンは赤い眼を光らせ、しゅうしゅうと生臭い息を吐いた。


「何を考えている? また儂を騙す気か?」

 警戒するように声を低めた。

「儂はもうこの女の魂と融合した。切り離せはしない。最早手だてはないぞ」


 それがブラフであることは斉藤もわかっている。

 融合したのであれば人格が交替して現れることはないからだ。


 斉藤は顔を上げ、静かに言った。

「お前は後悔している」


「ふん」レイブンはそっぽをむいた。


「本当は、知っている。この女の魂が自分よりも強く、取り込めないことを」


「……」


「認めろ、レイブン」

 斉藤は声に力を込めた。

「お前は、失敗したんだ」


 突然、飛鳥の身体が硬直し、ベッドの上で弓なりに仰け反った。その喉から獣のような異様な呻き声が上がる。


 斉藤はレイブンの様子を窺いながら言った。

「深淵に戻れば、お前は離れられる」


「があああああ!」


 レイブンは激しく身体を波打たせた。


「自由になれる。そうだろう?」


地獄に堕ちろ(アル・ディアブロ)!」


「もう一度リコンストラクションするんだ」

 斉藤はストゥールから立ち上がった。

「飛鳥の意識に従え。消滅したくなければな」


「おのれ!」

 しゃがれた叫び声。

「おのれーッ!」


「諦めろレイブン。この女はお前よりもずっと深い闇を見ているんだ」


 斉藤はこの上もなく、暗く重い口調で言った。


「とてつもなく、くらい闇を……」

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