スキー場へ
(やば、時間ギリギリだ…っ!)
走って待ち合わせのバス停へ向かうと、ちょうどバスが来ていた。
今回の一泊スノボツアーは、夜行バスでスキー場に向かい、早朝に現地に到着。一泊して翌日の昼過ぎに帰るものだった。
「悠莉っ」
走ってる私に気づいてか、絢人が停車していたバスから降りてきて声をかけてくれた。
私だけは彼を含めた男子メンバー全員と、たまたま同じバス停から乗ることになっていた。他の女子たちは隣の市なので次のバス停から乗ってくる。
「あぶねぇな、遅刻寸前」
からかうように、絢人が私に笑いかけてくる。
「ごめーん、ありがとね絢人」
(あー、今日もイケメンだなコイツ。)
自分でもモテるのは自覚してるんだろうな、この長身イケメンは。
笑顔でお礼を言いながら、内心そんなふうに彼を妬んでしまう私は、―――…本当にひねくれている。
(一度でも良いからあんなふうにモテてみたいもんだわ)
だけどいざそうなったら、嫌悪感ばかりで逃げ回るんだろうけど。
素直に好きという気持ちを受け入れられなくなってしまった私は、本当に誰も本気で好きになれないのかもしれない。
(ーーーー秋の、せいでね…)
「悠莉、どした?眠いのか?」
前の席から、絢人が心配そうに身を乗り出してくる。
「え、あ。…そう、眠くて」
真っ暗な窓ガラスをボーッと眺めていた私は、咄嗟に話を合わせた。
「もうすぐ彩美たちのバス停だぞ」
「あ!ほんとだね」
そう言っていたところでバスは、彩美たち残りの女子メンバー3人を乗せた。
彩美とは頻繁に会うけれど、合コンの場で知り合った彩美の大学時代の友人、のっこちゃんとまきちゃんとは、あれ以来だ。
「わー、久しぶりだね」
「こんばんわー、今日はよろしくね」
彼女たちも、男子メンバーと会うのは合コン以来だったようで。
キャピキャピとはしゃぐ姿を私は少し距離をおいて眺めていた。
「悠莉、」
彩美が私の隣の座席に座りながらこそっと耳元で言った。
「のっこもまきも、長塚くん狙いみたいよ」
「うん、だよね。すごい頑張ってるもん」
私もこそっと彩美の耳元で返す。
見れば分かるよ、二人とも完全に恋する乙女モードだもん・・・。
そんな二人を可愛いなぁと眺めながらも、心のどこかでもやもやしていた。
(なんで…だろ?)
私、焦ってる。
絢人が他の女子にとられるのが、嫌だと思ってる。
(私には、外山くんがいるのにーーー)




