スノボ旅行
彼氏と彼女になるには、お互い好きだと自覚して、どちらかが告白して付き合うものだと…思ってた。
少なくとも私の周りにいた友達は「イイナ」と思った人に告白されたらとりあえず付き合う。
というか、恋愛上級者である美紅や笑里など…友達のほとんどは、告白されるように仕向けるのだという。
―――私は持っていない、女の技である。
『ゆうり?もしもーし』
(そもそも…――――想い合っていない私と外山くん…、果たしてこれを“彼氏と彼女”と呼べるのか?)
『おーい。悠莉、聞いてる?』
ボーッとそんなことを考えていると、耳元で彩美の声がした。
「あ―――…ごめん、聞いてるよ」
彩美は中学からの友達で、高校を卒業してから現在に至るまでは、合コン仲間としても仲良くしてきた、“同士”だ。
『もぉ!急に黙るから電話切れたかと思ったじゃん。』
「ごめんごめん。前から話してた、来週のスノボ旅行のための買い物、明日付き合ってって話だよね?」
『そう。それなんだけど、長塚くんが一緒に行ってくれるって』
「え、長塚…って。絢人のこと?」
久々に聞く名前に、私は思わずそう聞き返していた。
絢人は先々月、たまたま彩美と飲んでいたところを突然合コンすることになり、連れて行かれたメンバーの一人だ。
『うん。今回のスノボ旅行、こないだの合コンメンバーで行くことになってたじゃん?』
(あぁっ!忘れてた…っ!)
そこで出逢った長塚絢人は、背も高くかなりのイケメンで、彩美が人数合わせに呼んだ大学時代の女友達二人が一目惚れして、明らかに狙っていたのだ。それもあってこの“お泊まりスノボ旅行”が計画されたのだった。
(外山くんのことで頭一杯で、すっかり忘れてたよ…)
「そう…、だったね…」
なんとも歯切れの悪い返事になってしまった私に、彩美は不思議そうに聞き返してくる。
『なに、なんか都合悪いの?』
旅行の代金もすでに支払い済みで、今からだとキャンセル料もかかってきてしまう。でも。
(“合コンで知り合った”男達と泊まりって…まずくないか?)
というか、こういう場合って…外山くんに相談とか…すべきなのか?
今までは“束縛する彼氏なんて要らない”とか思っていたし、彼氏になる前から少しでも束縛されたらうんざりしてすぐ嫌いになったり…してたくせに。
そんな思考が働いた自分に驚きながらも、ふと思う。
(っていうか、あの人って…本当に私の“彼氏”なんだよね?)
クリスマスも終わり、あれからもう一週間も会ってないけど?
ていうか、連絡も来ないけど?
『もしもし?悠莉、どうかした?』
「あ、いや…なんでもない!」
(とりあえず、これを口実に外山くんに連絡してみよう。)




