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思春期拗らせたら大変な目に遭った  作者: 夢呂
そして今に至る
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思わせ振りな態度

(イタ…っ!)


頭に何か当たり、私は目を開ける。

まだボーッとした頭で、思い出しながら体を起こす。


確か…――――、外山くんが野菜を切る包丁の音を聞きながら、寝たふりをしていたはずだった。



だけど、一瞬本気で寝ていたらしい。

そして体を起こして驚いた。

―――目の前に、外山くんの足があったから。


どうやら私が寝た後に、外山くんは料理を終えてベッドに上がってきたらしい。

だけど、おかしいのは…―――私の頭の方に足。私の頭の方に足を向けて寝ていたこと。


(なんで?なんで頭と足を逆にして寝た?)


先程の頭の衝撃は、寝返りを打った外山くんに蹴られたのだと推測できた。


(―――マジでなんなの、この人…)

普通、女の子蹴ります?



私が苛立ちながらベッドから降りるとすぐ、外山くんが起きた。


「あ、起きた?晩飯食おうぜ」


(コイツ…!!寝たふりだったのかよっ!)


まさか寝たふりを、寝たふりで返されるとは思わず、私はまたイラッとした。


(こないだは、キスしてきたくせに!なんなの?)


何もしてこない。

何も仕掛けてこない。


(この人、本当に分からない!)






結局その日、外山くんは晩ご飯を食べたらさっさと帰っていった。



(何も、無かった・・・・)


私は一人、静かな部屋で思い出していた。



クリスマスに女の子の部屋に来て、ホラー映画観て、麻婆豆腐作って、頭を蹴って、帰るって…。


(ロマンチックの欠片もない!!)


じゃあ、…こないだのあのキスは…なんだったの?


そんな乙女めいた思いが一瞬浮かんだ。


(ないない!)


外山くんはどう考えても、私のことなんか好きじゃないし。

っていうか、私だって外山くんのこと好きじゃないし。


(本気なわけないんだから…)


ただ、キスは出来たから。

ちょっと“付き合ってもいいかな”って思えただけで・・・――――。



その夜寝る前に私は外山くんに、メールでお礼をした。


「今日はありがとう。料理美味しかったよ。惚れ直しちゃった」


これは、私のいつものメール。

“惚れ直しちゃった”は、卑怯な手法。


相手が本気にして、返してくれたらそれで付き合う方向にもっていける。

断ってきたら“冗談だから”と返事を返せる。


私は、どちらでも構わない。


(さぁ外山くん、どう返してくる…―――?)


私は、ドキドキしながら彼からの返事を待った。






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