クリスマスイブの過ごし方 (後半)
(えっと…――――今日って、クリスマスイブだよね?)
現在私は…そう思わずにいられなかった。
レンタルビデオ屋でDVDを借りて、近くのスーパーでシャンパンとクリスマスケーキを買って。
―――そこまではまだ、良かった。
私のアパートに着いて、今日買ったばかりのDVDプレイヤーを外山くんが設置してくれた。
そして外山くんが、早速買ったばかりのDVDプレイヤーに、先程借りてきたDVDを入れた。
―――そこまでは、想定内だった。
(なのに、なんだこれ…―――。)
テレビに映し出され始まったのはなぜか、私が以前にも苦手だと言っていた、ホラー映画だったのだ。
女の子と映画観るのに、ホラー?
クリスマスイブなのに、ホラー?
どんだけ自分本位なのこの人!
マイペースどころじゃないよ、これ!!
ただの自己中でしょ、これ!
(って、観だしたし…―――)
少し間を開けて外山くんの隣に座りながら、私は横目で彼を観察する。
あの日キスをして以来の再会なのに、何もなかったかのような平然とした顔が腹立たしい。
(私って…やっぱ女としての魅力がないのかな?)
チラッとそんな考えが浮かんで慌てて蹴散らす。
(いやいや!ていうか私別に何も期待してないし!)
クリスマスに独り身は寂しいから。
たまたま休みが合ったから。
元々誰でもよかったんだし、只の暇潰しなんだから、これは。
だから。
(ドキドキなんて、してないし!どーでもいいし!)
結局怖いのにストーリーが気になって、目を塞いだり耳を塞いだりしながら一人、怖さに堪えて映画を観ていた私。
(何やってんだろ、私…)
「腹減ったな。夕飯なんか作ろうか」
嫌々観ていたホラー映画がようやくエンドロールになり、外山くんが初めて私に話し掛けてきた。
「え、作るの?」
(私、自炊全然してないから作れないけど…)
「俺が“外山家特製麻婆豆腐”作る!」
「え?麻婆豆腐?」
――――クリスマスなのに?
驚いて私が聞き返すと、外山くんは真顔で言った。
「麻婆豆腐食べたくなったから。」
「…―――そう、ですか」
キッチンは二人が立つには狭いし、私は居ても邪魔だろうから一人リビングに戻り、外山くんの料理姿を眺める。
トントントンと包丁のリズミカルな音。
みじん切りの速さと、料理の手際良さに感心してしまった。
「外山くんて、料理出来たんだねぇ」
「まぁ。俺、大学時代六年間自炊してたから」
外山くんは大学院卒。
私は短大卒で入社したから、入社は私の方が一年先輩だが、年は外山くんの方が上だ。
「・・・・」
料理出来るまで、暇だなぁ。
私のアパートは1Kだから、テレビもリビングもベッドも全部その一部屋にある。
だから先程からベッドに寝転んで、すぐ隣のキッチンを眺めていた。
(寝たふりでもしたら、外山くんの本性が分かるかもしれない)
ふと、そんなことを思い付いて私は寝たふりをすることにした。
彼がどんな行動に出るのか、興味があった。




